そら(あいつなら)そう(言う依頼を喜んで受けるだろう)よ
契約の詳細を詰めた後、仲間達に報告をする為に一度屋敷から出る。気絶したまま運ばれたから分からなかったけど、驚いた。なんとここ、上級区でした。
中級区の街並みも綺麗だけど、上級区はもうワンランク上って感じ。三車線ほどの幅のある表通り。出歩いている人の姿なんて殆ど見当たらない。建物は白亜色の建築材が使われている。商いをしているような建物なんてまるで見当たらない。
「何考えて高級感出してるんだろう……」
前から疑問に思っていたけどお金持ちってどうして家を大きくするのかな? 家が大きければ自分の権力を誇示できるとか考えてるとか?
無意味に土地を余らせるぐらいなら大きな家を建てて、職人や屋敷の維持の為の使用人を雇ってお金を循環させるとか……いやでも、この地区じゃそう何件も家なんて建たないし、精々改築や修繕が関の山だ。
……或いは趣味の為に使う金の使い道が思い浮かばないからとりあえず家大きくしたり壺とか絵画とか買うのかな? 確かに下手に事業に手を伸ばすよりはある意味安全な金の使い道かも知れないけど。
しかし、こっちに来てから何かと女装と縁があるな僕。
藤堂さんを買い取る為にメイド服を着てお嬢様を接待。
そして今度は水精霊への奉納の為にフィアッセさんの代役を務める。
昔、双子のヒロインが居て主人公に内緒で入れ替わって付き合っていた、なんてゲームがあったけどまさか自分がそれと同じことをする日が来るなんて。
……これは母さんには絶対に、絶対に話せない秘密だ。あの人のことだから危機として自分がデザインした服を着せようとするに違いない。一万ガ●ス賭けてもいい。
「カオル様……ッ!」
下級区へ戻り、一先ず冒険者ギルドへ行こうと仕事帰りの労働者に紛れて歩いているとクローディアちゃんが飼い主を見つけた犬のように駆け寄ってきた。妖狐族なのに犬っぽいとはこれいかに。
「カオル様、ご無事でしたか!?」
「うん。僕はこの通り元気だよ。バルドと藤堂さんは?」
「バルド様とトウドー様は手分けして御主人様を探してます」
「そっか。クローディアちゃんも頑張ったね。偉い偉い」
クローディアちゃんを労いつつ、さり気なく狐耳を堪能する。やっぱりモフモフは正義だ。すれ違う人達がもの凄い形相で僕のこと睨んでいるけど気にしない。疚しいことなんて何一つしてないから僕は無実です。
「あの、カオル様。六刻の鐘がなったら冒険者ギルド前に集合することになってますから、その……」
「分かった。まずは皆と合流しよう」
クローディアちゃんの提案に乗っかって、その足で冒険者ギルドまで向かう。今回の事は皆に相談もせず僕の独断で決めちゃったから事後報告になるけど……うーん、状況から鑑みれば仕方ないって割り切れなくもないけど。
後ろ髪を引かれる思いをしながら冒険者ギルド前まで移動すると藤堂さんが出入り口付近で立っている。あと、絶対に逃がさないと言わんばかりに腕をしっかり組まれている娘がいるけど……あれ?
(えーっと、あの人はもしかすると……)
多分、そうなんだろう。世の中にはそっくりさんが三人いるっていうけど、まさか自分がそういう珍しい体験をするなんて夢にも思わなかった。
藤堂さんが脇をしっかり固めているその人はまさに僕の現し身とでも言おうか。恐らく彼女が当代の巫女を務める筈だったフィアッセだろう。
(まさか本人と対面することになるなんて……)
面倒なことにならなければいいけど──内心で溜め息を吐きながら僕は二人に声を掛けた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バルドを待ってからギルドでご飯を食べる。飲食店は他にもあるけど何処もピークを迎えているから満席状態。その点、冒険者ギルドは良い。周りの視線さえ気にしなければカウンターで食べられる。この時間は女性冒険者優先の時間なのでテーブル席はどうしたって利用できない。
注文した料理が届くのを待っている間、僕は掻い摘まんで事情を説明した。誘拐された経緯とフィアッセの代わりに奉納をすることになったこと。報酬は国境越えの手引き。
次にフィアッセがここに居る理由について。これは藤堂さんがこれ以上ないくらい分かり易く説明してくれた。具体的には三行で。
「屋台。行き倒れ。私が捕獲。大体こんな感じ……て、どうしたの最上君?」
「あー、うん。ちょっと既視感が……」
何故だろう。つい最近、行き倒れた何処かの姫騎士に串焼きを奪われたような気がするんだけど……。
しかし、そうか。これであのときの謎が解けた。フィアッセは逃避行の過程で宿屋で働くことになった。だけど彼女と僕はあまりにもそっくりだからエリナさんは僕とフィアッセを見間違えてしまった。そう考えれば一応は辻褄が合う。
「それで、私をどうするつもり?」
彼女は開き直ったのか、堂々とした態度で僕達に話しかけてる。腕と足を組んで、僕達を品定めするかのように。こういう人、凄く苦手なタイプだけど話さない訳にもいかないし……。
「ご飯食べたら連れ戻すけど?」
「嫌よ。戻りたくないわ」
だよねー。そうでなきゃ家出なんて大それたことしないよね。家出とかしているわりに全然家出じゃない気もするけどそこは黙ってあげよう。
「じゃあ訊くけど、フィアッセさんはどうするつもり?」
「奉納が終わるまで面倒見て」
「悪ぃが、俺達は子守の依頼は受けない主義なんだ」
「私もトラブルメーカーを抱えたいなんて思わないよ」
そうだね。今回ばかりは僕も皆の意見に賛成だ。お人好しな僕だってわざわざ手元に彼女を置いておこうなんて思わない。それに……ほら、控え目なクローディアちゃんだってそれとなく僕の袖口掴みながらコクコクと首を縦に振ってる。
「キミが奉納できない状態なの、エキドナさんは知ってるみたいだけど?」
「奉納が出来ないからと言って義務がない訳じゃないわ。私は言うことを聞くだけのお利口さんじゃないの!」
「だから人様に迷惑を掛けて良いっていうの? 私達だって家出娘を匿ってあげるようなお利口さんじゃないのよ」
「そこまで世間知らずじゃないわよ。養ってもらう分にはちゃんと働くわ。これでも私、中級レベルの治癒魔術が使えるのよ。本当ならお金貰うところを特別にタダでやってあげるんだから。感謝なさい」
治癒術士って本当ボロい商売できるよね。元手ゼロで利益を出せるんだから。病気と違って怪我なら少し魔力を消費して魔術を発動するだけでお金が貰える。不公平という言葉すら温い。
余談だけど中級レベルになると骨折を治すことができる。ゲームなら重傷を負ったキャラクターに下級であっても回復魔法をかけ続ければいずれは全回復するけどキャパシティーを越えた怪我に対して治癒魔術を掛けてもせいぜい自然治癒速度を手助けする程度だ。
治癒術士の需要については言うまでもない。冒険者は勿論、貴族や王族もその貴重な人員の確保に懐柔工作をする。実際、下級レベルの治癒魔術しか使えなくても冒険者グループ内でも充分活躍の場はあるし、治療院を開業することもある。上級ともなれば誰もが羨むような好待遇で迎え入れられる。
そういう事情もあって、治癒術士は常に大人気。彼女のように売り込まなくても向こうから是非にと頭を下げてくるのだから。
だけど──
「悪いけど、僕達のパーティーは治癒術士が欲しいほど切羽詰まってないから」
それに新しくメンバーを補充するとなれば慎重にならざるを得ない。僕自身、上を目指す理由も向上心もないっていうのもあるけど。
「何でよ!? ……そ、そうだわ。あなた男だから魔術に詳しくないだけよッ! 良い、治癒術士って言うのは──」
「僕達が相手にしているのはゴブリンがメインだし、今更そんな雑魚相手に遅れを取るような人はここにはいないよ。簡単に言えばキミの力が必要とされるような魔物と遭遇するリスクは極力減らしているんだ」
当然、そうした安全マージンを取っている理由は僕の【無成長】が関係しているけど、そこまで説明する必要はない。
「向上心がないわね。それでも冒険者なの? 常に上を目指し続けなきゃ大成なんてできるないわよ」
あぁ、なんか意見に齟齬をきたしていると思ったらそういうことか。彼女は僕達がもっと上を目指したいけど人材不足で喘いでいる低ランクパーティーだと勘違いしてるのか。
確かに冒険者として正しくあるなら向上心を持って上を目指すべきだろう。けどぶっちゃけ、僕は上位冒険者には興味ないしそんな器じゃない。
目的はあくまで家に帰ること。ただ、その為にはどうしたって強い人の力を借りる必要がある。より具体的に言えば戦闘向けのチート能力持った日本人と接触する。
「それにフィアッセさん、状況理解してないでしょう? 僕はキミの身代わりをエキドナさんから頼まれた。貴女が僕達の近くにいるのは何かと不都合なんだ。貴女が自活できるだけの能力があれば違った対応もできた。だけど大人に囲まれて生活してきたお嬢様がある日突然、自立できるなんて僕は思ってない。だから貴女は今すぐエキドナさんのところへ帰るべきだ」
「……嫌。帰りたくない」
うわぁ、まさに反抗期って感じだよ。どうする? あまりそういうのは好きじゃないけど事態が事態だし、無理矢理にでも──
「ねぇ、いい加減にしてくれない?」
と、ここで僕とフィアッセのやり取りを眺めていた藤堂さんが低い声で割り込んできた。
「バルド君じゃないけど私達、あなたの我が儘に付き合ってあげるほどお人好しじゃないの。どうしてもって言うなら私が力尽くで言うこときかせるけど?」
「藤堂さん、暴力は良くないと思うけど……」
物騒なチート能力持っている人とか特に。
「力尽く? あなたにできるの? 見たところ魔術師ですらないように見えるけど?」
「私はあなたのように自惚れた人間とは違う」
うん、確かに藤堂さんはチート能力に自惚れてなんかいない。ただちょっと異常なまでに消極的なだけで。
どうしたものかなーと、見えない火花をバチバチ散らす二人を見つめながら考える。このまま止めるべきか。それともキツめのお灸を添えるべきか。
フィアッセをどうにかしたいとは思うけど、女の子相手に暴力を振るって屈服させるってやり方、僕は好きじゃない。例えそれが女同士であったとしても。
「何の騒ぎですか?」
一触即発の雰囲気にそぐわない、玲瓏な声が響く。それに合わせて野次馬根性で見物していた周囲の冒険者たちはサッと声の主に道を譲った。
「エカテリーナさん」
何てことはない。現れたのは産休しているギルド長の代わりを務めるエカテリーナさんとウルゲンさん。後者の存在を認識できなかったのは単純に一言も喋ってないから。
「ギルド内での騒動は控えてもらおうか。自分だけの施設じゃないからな」
「大した才覚もない、しがないギルド職員は口を挟まないで貰えるかしら?」
言葉こそ丁寧だけどその実、彼女の感情は言動と全く一致していない。
パッシブスキル【心理学】による分析結果、軽蔑二割侮蔑一割で……あれ? 七割が憎悪ってどういうこと?
確かにこの世界は女尊男卑の色が強いけど、もしかして彼女はウルゲンさんに個人的な恨みでもあるとか? いやでも、ウルゲンさんとフィアッセさんに接点なんてあるの?
「口を慎みなさい、姫巫女殿」
「エカテリーナ様、ですが……ッ」
「ウルゲン殿はギルド職員として自分の職務をこなしてます。諍いが起これば仲裁に入るのも仕事ですが、彼はお二人の口論を鑑みて、大事に発展する前に割り込んだ方が合理的と判断した。ただそれだけのこと。いつまでも女尊男卑を掲げて有能な人間の仕事ぶりに難癖を付けるようでは程度が知られますよ?」
「……ッ」
僕は、正直驚いていた。フィアッセさんが大人しくなったことに対して、ではない。エカテリーナさんが人目のある場所で堂々と、そうするのが当たり前であるかのようにウルゲンさんの仕事振りを評価したことに。贔屓とも取れるかも知れないけど、エカテリーナさんの言う通り、二人がやって来なければ危ない雰囲気だったから反論しても簡単に封じられてしまう。
「で、二人が口論してた理由だが……カオル?」
「えっと、フィアッセさんが上から目線で自分をパーティーに入れて欲しいと懇願してきたのに対して間に合っていると拒否したらご覧の有様です」
藤堂さんがそれとなく静かに怒りを爆発させたことも付け加えておく。二人が来なければ喧嘩に発展していたかも知れないことも付け加える。
「事情は理解しました。当代を務める姫巫女殿が行方不明であるのはこちらでも把握してました。ギルド側としてもこうして家出娘が見つかった以上は身柄を確保しなければなりません」
身柄を確保、と言っているけど多分この人、フィアッセさんが姫巫女としての能力を失っていることにそれとなく気付いているんじゃないかな。そうでなければ長期間、カンドラ内で家出娘を放置するなんてあり得ない。
彼女は僕と瓜二つの容姿だ。左右で瞳の色が違う人はどうしたって目立つし、この世界では極めて珍しい黒髪。藤堂さんのような素人でも捕まえられるんだ。少し人員を割いて捜索を命じれば簡単に見つけられるし、いつでもエキドナさんのところへ差し出せる。
そうするとなんで今まで放置していたのかっていう疑問も残るけど──
「発言いいッスか?」
と、ここで意外なことにバルドが口を挟んできた。本当に珍しい。こういう場面では僕に投げっぱなしだというのに。
「ギルドの力ならそこの家出娘を捕まえるなんて訳ないッスよね? なのにどうしてそんな白々しい台詞が出てくるか自分にはまるで理解できないんスけど……」
「……バルド、変なものでも食べた?」
「そりゃないッスよ兄貴。自分だってたまには頭使いやすよ」
そうだけどさ、今までのことを思うとそう言わずには居られないよ。
「あー……エキドナ様から依頼受けてるなら話してもいい……のか? 代理長殿」
「そうですね。訳も分からないまま利用されるよりは自分の立場をしっかりと把握しておいた方が良いでしょう。特にカオル殿はそういうタイプの御仁とお見受けします」
と言う訳で──
僕達は鶴の一声によって別室で話をすることになった。場所は以前、ホモ野郎からヘッドハンティングされそうになったあの部屋。
「まずは現状確認だ。カオル、お前はこの件、何処まで理解してる?」
質問するのはエカテリーナさんではなく、ウルゲンさん。本来なら彼女の仕事だというのに、どういう訳か彼女は給仕に徹してる。
ギルド長の代理を務める人が人数分のお茶とお茶請けを用意して、事務員でしかないウルゲンさんがどっしり構えて俺達に問い質してくる。
……何とも奇妙な光景だ。
「フィアッセさんが姫巫女としての能力を失い、その代役として僕が身代わりになる、ですね」
「あぁそうだ。その解釈で間違いないが……お前さんの見解が知りたい。どうなんだ実際? そこのバルドでも気付けたんだ」
「まぁ、内情を知れば流石に……」
なんてことはない。彼女が家出なんてしていると知られれば周りの人はフィアッセさんを義務から逃げた臆病者と一斉に非難する。
以下、エキドナさんから聞いた話だけど姫巫女は何も一人という訳ではない。むしろその役目を考えるなら予備がいるのは当たり前だ。そしてこれが表沙汰になるのは色々とまずい。
地球育ちの僕や藤堂さんだとどうしても『ふーん、そう』程度の認識しか持てないけど、異世界では精霊の存在は何よりも重要視される。もっと言えば自然界、ひいては世界の調和を保っていると言ってもいい。
その偉大な存在に対して奉納の儀式を行う姫巫女の存在。その能力が失われたということはイコール、精霊信仰を無くしたと世間は解釈する──らしい。
精霊が機嫌を損ねると災害という、これ以上ないくらい分かり易い形で街に不幸が訪れる。過去に姫巫女としての役目を全うできなかった事例があるそうだが、そのときは大津波が一晩中街を襲ったとか。街の被害と死者については語るまでもない。
姫巫女が他にもいるなら代理を派遣すればいい。普通ならそうするところだけどすると今度はそれを皮切りにこの土地を巡る利権争いが勃発するとかなんとか。
(クラミツハ様を見る限りそういうことする精霊には見えないけど)
わざわざ言う必要もないので敢えて黙っていたけど。
話が長くなってしまったけど、雑に纏めるなら世間体を気にして今まで放置してた。この一言に集約される。
「そこまで理解してましたか。カオル殿はやはり切れ者のようですね」
「それは過大評価ですよ」
出された紅茶を受け取りながら適当に答える。紅茶に詳しくない僕でも美味しいと思えるくらい、本当に美味しい。エカテリーナさんみたいな綺麗な人が淹れてくれた、という男ならではの悲しい補正も働いているかも知れないけど。
異世界の教養レベルは知らないけど、地球では僕なんて平凡かそれ以下の存在だ。貴族と交渉するとか間違いなく無理だ。陰謀とか搦め手とか、そういうのは本当に苦手だし。
「僕のことはいいです。それより本題に入りましょうか」
「あぁ。カオルの言う通り、姫巫女殿にはエキドナ女史の元へ戻るのが一番だ。どのみちカオルは姫巫女のレクチャーを受ける必要がある。既にエキドナ女史からも連れ戻すよう依頼されてる」
「私が姫巫女としての能力を失ってること、すぐにバレるわよ……」
「誤魔化し方なんていくらでもある。それに精霊への奉納は百年に一度だ。当然、貴女が百年後まで姫巫女を務められる訳がない」
それに……と、意味ありげにウルゲンさんは言葉を区切って、目線でエカテリーナさんに続きを催促する。
「例え今回の件がなかったとしても、身代わりを使うという方針は下されたと思います」
「エカテリーナ様、どういうことですか?」
「機密事項です。貴女にはお話しすることはできません」
言外に『貴女では信用できないから話さない』とエカテリーナさんは語り、悔しそうに顔を歪めるフィアッセさん。
けど、そんなことよりエカテリーナさんは気になるワードを口にしていた。
「あの、エカテリーナさん。先程の言葉ですが、それって最上君を身代わりにするのは決まっていたように聞こえるのですが……」
「その点については後ほど説明します。彼女が居ると話がややこしくなりますので」
やはりフィアッセさんは人格的な面であまり信用されてないようだ。純粋な姫巫女として評価するなら合格点だったかも知れない。もう過去の話になってしまったけど。
「それより、今は身代わりが必要な理由ですが……」
紅茶を啜り、喉を潤して一旦気持ちを落ち着かせる。美人は何をしても絵になるっていうけど、まさにその通りだ。こういう状況でなければ見惚れていたかも知れない。
「結論から言いますと、神殿が姫巫女の暗殺を企ててます」
「え? でも姫巫女の役割は──」
「勿論、神殿とて姫巫女の断絶を狙っている訳ではありません。正確に言えば他の姫巫女候補を推している貴族がフィアッセ殿を亡き者にして自分が抱えている姫巫女に奉納をやらせようとしているのです。奉納に成功し、精霊に祝福されるということは次に生まれる娘が確実に才能持ちとして生まれますから」
「才能ッスか。まぁ理解できねぇ訳じゃねぇッスけど……」
「姫巫女は箔が付くだけじゃなくて家の安泰が約束される。親と推薦者はその恩恵に預かれる……。よく精霊様ってそんな俗塗れな人間相手に恩恵与えようと思うわね」
バルドも藤堂さんも、思わず唸り声を上げる。特にバルドは体格面以外では才能に恵まれているとは言い難いだけにそう簡単に才能を与えられる存在を妬んでしまう。
「それで、神殿が雇った暗殺者についてなのですが……」
と、ここでどういうわけかエカテリーナさんが言いづらそうに僕と藤堂さんの方を見てくる。えっ、もしかして疑われてる……訳ないよね。
……ないよね?
「かなり腕利きの剣士を雇ったそうです。野良の上に出自も不明。常に子供を連れ歩いているところから『子連れ剣鬼』などと呼ばれてます。剣の腕は一流冒険者もかくやと言わんばかりのほど。正直、それほどの剣士が何故今までノーマークだったのか気になるところではありますが、それを踏まえた上でお二人にお尋ねします。……キサラギハヅキという名前に聞き覚えはありませんか?」
『…………』
思わぬところで同級生の名前が飛び出したことに、もはや僕達は天井を仰ぐしかなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
女尊男卑の世界に置いて男が苦労することは何か?
大きく取り上げるなら仕事と恋愛に分けられる。
ハローワークや常時パートタイマーを募集している日本と違い、この世界で定職に就くには知人のコネを頼るのが一般的だ。この辺は男女共に変わらず、そういう事情もあって近所付き合いは対人関係が希薄となった地球と比べるべくもないが、その辺は割愛する。
故に住人たちは隣人の付き合いを大事にする。子供が生まれ、適齢期になればコネを頼って仕事に就く。カンドラを例に挙げるなら大抵の男は港の開拓事業、建築関係、職人に弟子入りするのが通例と言われている。
反面、女性は神殿務め、商人、事務員に就くのが一般的。神殿勤めは幼少時に神殿が無償で行っている適性検査で魔術師としての適正があると認められた子供を神殿が責任を持って教育する。俗に言う出世コースだ。
何しろエルビスト王国に限らず、神官に才能ありと認められれば親は金を払うこともなく子供に高度な教育を施せるのだ。教育中は親元を離れての生活を余儀なくされるがそんなのは関係ない。大事なのは神殿の神官に認められ、魔術師として出世する、ということなのだ。魔術師としての力が失われないよう政略結婚が当たり前に行われる貴族社会と違い、平民にとって魔術師としての才能を持って生まれた娘は金山を掘り当てるのに等しい。
勿論、出世コースを外れたからと言って他の女性陣が惨めな思いをしている訳ではない。寧ろ真っ当な教育を充分に受けている分、世の中の男に比べれば待遇は良い。
残業はない。週休二日。平均給与は男性の一・五倍。高給取りともなれば三倍以上とも言われてる。毎日遅くまで汗水垂らして、何とか生活できる程度の給金しか貰えない男がこの世界で立身出世を果たすには幸運に恵まれるしかないのだ。
「さぁ呑め、歌え、そして踊れ! 今日は俺の奢りだー!」
そしてここに一人、幸運を勝ち取った男がその場に居合わせていた低賃金で喘いでいる野郎共に景気よく酒と料理を振る舞っている。木製のテーブルには銀貨が十数枚飛ぶような肉汁滴れ落ちる丸焼きが、古代ローマでも高級食材として位置づけられていた鰻の蒲焼きに酷似した、皿の上に山盛りに置かれた甘辛いソースで味付けをしたアンギユの蒲焼きが、仕事帰りで高ぶった身体を労う白い泡が立つイエロービールの大ジョッキが、これでもかというくらいに所狭しと並べられている。
宴の主催者の名は如月葉月。七ヶ月前に異世界へ飛ばされ、無計画に放浪の旅を続けてきた末に、彼はカンドラへ流れ着いた。
道中は決して楽なものではなかった。旅の途中で拾った奴隷のシャラは旅人に取って忌み嫌う存在であった。
忌み子。その特性は様々だが少女の持つそれは魔物を引き寄せるという厄介極まりないものだった。結界都市に入れば何てことはないが、一歩でも結界の外に出れば近くを闊歩する魔物、時には気性の荒い盗賊が蜜に吸い寄せられる虫のようにわらわらと寄ってくる。
そうした特異体質もあってシャラは嫌われ者だった。事実、奴隷商人や奴隷仲間も彼女は扱いかねていた。
だが如月葉月だけは違った。むしろシャラを仲間にしたことで定期的に襲ってくる理不尽な殺人衝動を消化することができる。ついでに言うと彼女は一通りの家事ができた。年相応の家事能力しか持ち合わせてないが面倒な雑用を全部押しつけられても文句を言わない存在はありがたかった。
葉月はシャラの体質を利用して殺人衝動を消化できる。
シャラは人間扱いしてくれる葉月の世話を焼くことで安全が約束される。
ウィン=ウィンな取り引きがここに成立していた。
「おらぁ、飲み比べだぁー! 我こそはと思う奴、前に出ろやぁー!」
「女がナンボのモンじゃあっ! 俺たちゃ港の開拓業で朝から晩まで安月給で働いてんだ、てやんでぇ!」
「ハーッハッハッハッ! この店で一番強い酒が三十五度なんざ笑かしてくれるぜ! スピリタス持ってこいやー!」
「うぉおおおっ! ハヅキの旦那が十人酔いつぶしたぞー!」
「ハ・ヅ・キ! ハ・ヅ・キ!」
「そうだそうだ、俺を崇めろ讃えろ敬え肉体労働者共ッ!」
『ははぁっ! 神様精霊様ハヅキ様ッ!』
「…………」
混沌。
まさにその言葉が相応しい光景を、奴隷のシャラはコップを握ったまま、唖然と眺めるしかなかった。
彼に拾われて一週間。彼女にとっては濃密な一週間と言えた。
まずこの男、計画性がない。目的を決めたら後はもうそれに従って突き進むだけ。盗賊を見かけたら適当にいたぶり、わざと逃がしてアジトまで尾行して追い剥ぎ。イチャモン付けてきた冒険者には拳で話し合って慰謝料を請求。見かけた魔物は手当たり次第皆殺し。
お金の使い道はもっぱら宿代と食費で消える。装備に関しては良い剣を貰ったらしいので今のところ変える必要がない、とは本人の弁。
とはいえ、長く使い続ければそれだけ消耗するので常時、予備の剣を持っている。勿論、全て盗賊の私物だ。そのことを咎めたら『未完成な法治国家なんだし問題ねぇよ。農村部なんて完全ほったらかし状態だし』という、良く分からない答えが返ってきた。
「ん? どーしたシャラ。食わねぇのか? 金の心配ならしなくていいぞ。ここの連中の飲食代全部払っても金貨五枚もありゃ足りるからよ」
と、木製ジョッキ片手に串焼きを加えたまま葉月が歩み寄ってきた。すぐ後ろには年末の電柱近くのアレを彷彿とさせる悲惨な光景が広がり、店員が迷惑そうに後始末に奔走している。
「お兄ちゃん、明日はどうするの?」
「もう明日の心配か? 銭コはまだあるから心配すんなって」
ジャラジャラと、貨幣が詰まった革袋を揺すりながら笑顔を見せる。思いがけない臨時収入で酒場の貸し切りとメニュー全注文をした後でも、三日は遊べる金が手元にはある。
「お兄ちゃん、無計画過ぎる……」
「宵越しの金は持たない主義でね。金ってのは使ってナンボだ」
「でもお兄ちゃん、字が読めない」
「計算ならできるぞ。自慢じゃないけど四桁の足し算・引き算なら暗算でいける」
「算術習ってるようには見えない」
「おおう、シャラ。お前はナチュラルに毒吐くな」
異世界において教育とは高度な教養。それが一般常識だ。
農村の人間は読み書きができないのが当たり前。簡単な算術も危うい。そうした最低限の教育を受けるには商人へ弟子入りするか教会や神殿で習うのが普通。最上薰、藤堂遙花がもう少し頭の回る人間であったなら、破格の授業料で青空教室でもしていただろう。
シャラの目から見た葉月はどうか?
身嗜みは普通。礼儀はあるが、あまり実践してない。剣の腕は一級品。金遣いが荒い。総合評価はガキ大将がそのまま成長した青少年。
「だ、だが……お前の気持ちは分からなくもないが、試してもいないのに決めつけるのは良くないぜ」
「……じゃあ、698+398は?」
「スーパーの特売みたいな数字だな。答えは1096だ」
「……デタラメ言ってるだけ?」
「いやシャラ。多分お前が計算できないからそう言いたいだけだろ」
スッと無言で目を逸らす。意外と負けず嫌いな性格をしてるらしい。剣士として育てれば良い剣士になるんじゃないかと、密かに思う。無理矢理やらせる気もないけど。
「お兄ちゃんが酔ってるだけじゃない?」
「悪いな。俺はいくら酒を呑んでも酔わないんだ」
過去に起きた異世界拉致事件。
その過程で葉月は【健康】なるチートスキルを選んだ。これのお陰で硬水をがぶ飲みしようが腐った肉を食らおうが体調不良にならない。酒に含まれるアルコールも同様にいくら呑んでも呑んだ側からアルコールが分解される。酒豪で有名な炭鉱族と飲み比べ勝負ができるほどだ。その場合、店側からすればただのカモでしかない。
「いやーしかし、いいなこういうの」
「騒がしいだけ」
「シャラからすりゃそうかもしれねぇけどよ……ほら、俺って故郷じゃかなり浮いた存在だったし」
「友達いなかった?」
「そんなトコ」
グビーっとジョッキに満たされた琥珀色の液体を飲み干す。
ここには、地球で過ごしていた頃の閉塞感などまるで存在しない。
当然、国家がある以上は法律もあるが大部分において法の恩恵を預かれるのは貴族や豪商のような有権者に限られてくる。その日暮らしが当たり前の労働者や冒険者は何事に置いても自己責任が基本。弁護士を呼ぶ権利などいのが当たり前。近年はそれが問題になってるみたいだが葉月の感覚からすれば『今頃問題視するとかバカじゃね?』としか思ってない。
如月葉月という男はそういう人間なのだ。
必要に応じてに他人には干渉するが深い関係にはなれない。知性よりも感性に従って行動する。自分が定めたルールの生涯は須く排除し、己が定めた生き様を貫き通す。
「面倒なことは多いけど……まぁそこは仕方ねぇ。が、ここは剣一本さえあれば生活できる。出世にゃ興味ねぇけど魔物切ったり盗賊殺したりできるのは魅力的だ。男って生き物は誰もが心の何処かで力を誇示したいって願望抱いてる欲塗れな生き物なのさ」
「では、その欲望を活かせる場所を提供すると言えばどうしますか?」
声は正面から。どんちゃん騒ぎで飲み食いに夢中な彼等とは明らかに纏う雰囲気が違う妙齢の女性と思しき人物。
胸ポケットに神殿の紋章が入った水色の服とジーパン。その上から羽織ってる神官用のローブ。隙のない身のこなし。即座に葉月は戦闘要員だと見抜いた。
(けど、大した相手じゃない)
元より相手からは殺意が感じられない。ということは純粋にこちらをスカウトしに来たのか。
「ここは人目が付きます。できれば内密に……」
「いいぜ。敢えて乗ってやろうじゃないか」
虎穴に入らずんば虎子を得ず。そんなフレーズを頭の片隅で認識しながら周囲の人間に気付かれないよう酒席を抜けた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おーおー、試しに付いてきて見れば随分ムードのあるところに連れてきてくれるじゃねーか」
案内役に追随して、やって来たのは潰れた場末の酒場の奥にある隠し階段を降りた先の地下室。等間隔で並べられた光源用の人工魔石に剥き出しの石壁。そして周囲に待機している護衛らしき人間。いずれも黒装束と仮面を装備している。
じめっとした地下室特有の空気に混ざる、戦闘員特有の気配を葉月は肌で感じ取った。
手練れは一人。ならシャラを護りながらでもいける。そう判断した。
「本当に子供を連れて来たか……」
「子連れ剣鬼は常に子供を連れて歩いているというが……まさか本当だったとは」
「生憎俺は一人でな。あまり目を離す訳にもいかないのさ。で、話ってのは?」
「えぇ。単刀直入に申しますとあなたにある人物の暗殺を依頼したいのです」
懐から一枚の羊皮紙を取り出して葉月に渡す。一応、この世界にもカメラに似た魔導具は存在するが一部の大貴族か珍品収集家でなければ持っていないというのが現状。
(暗殺、ね。うちは元戦争屋の家系だけど因果を感じるな)
如月家は元々とある高名な殺人剣術家の血筋で、連綿とその技を継承し、研鑽している。多くの人間は勘違いしているが殺人剣を教える家系だからと言って裏で役人・政治家の暗殺を請け負っている訳ではない。ほんの百年前まではそういうこともしていたそうだが現在は演目用の剣技、映画や時代劇用に見栄えを重視した型を教えている。ただ、一応は剣士の家系なので一族は慣習に則って殺人剣を修めている。
閑話及第。
改めて渡された羊皮紙に目を落とす。インクで描かれた人相画なので大まかな顔と注釈がいくつか書かれているだけの、簡単な似顔絵。
(左右で目の色が違う、ね。そういやクラスメイトにもそんなのがいたな)
「こいつを殺せばいいのか?」
「えぇ。今年の奉納は悲恋をテーマにした演奏会ですが……まぁその辺は良いでしょう。ターゲットは舞台でピアノを弾くので基本的に動きません。勿論、子飼いの犬が警護に当たるでしょうが……」
「暗殺を依頼する割りには情報不明瞭な点が多いじゃねぇか。鉄砲玉ってトコか?」
「テッポウダマ? 仰る意味が分かりません」
「使い捨てって意味だ」
「えぇ。ですが、暗殺なんてそんなものでしょう? 勿論、引き受けてくれますよね?」
言うと同時に、周囲で控えていた影たちが取り囲む。こっちが断れば無理にでも引き受けさせて、断れば殺すつもりでいる癖に。良くもぬけぬけとそんなことが言えたものだ。
「依頼を拒否したりはしねぇよ」
但し、この男はこの程度の脅しでいちいち動揺するほど肝の小さな男ではない。
「ところで一つ訊くが、決行日はこいつらも一緒か?」
「えぇ。いくか子連れ剣鬼殿とは言え、一人だけ向かわせる訳にもいきません。当日、この者たちはあなたのサポートをしてもらいます」
「お優しいねぇ。……けど、間引く必要はあるよな?」
「何を──」
案内人の言葉を合図に葉月の半身がブレる。同時に、シャラは身を低くした。
先日買ったばかりのダマスカス鋼鉄製の直剣が電光石火の速さで閃く。背後に立っていた者は仮面ごと顔面を叩き割られ、間欠泉のように血潮を噴きながら脳髄を撒く。
「な……ッ! 一体何を……ッ!?」
「喚くなよ。間引きっつっただろ」
二の太刀で剣を水平に振り抜き、円を描きながら両脇に立つ影者を斬る。案内人には早すぎて見えなかったが訓練を積んだ者は辛うじて葉月の剣筋に反応できたものの、地下室であったのが災いした。
葉月は暗闇での戦闘を考慮して、自身が扱う得物は全て刀身を黒く塗り潰すよう職人に依頼する。刀身が闇と同化していることも相まって護衛の人間は浅いながらも胸部を切られる。
(あっ、これまずいわ。てか無理。抑えきれない)
カチリと、脳の奥でスイッチが入る。間引き目的での奇襲は早くも殲滅戦へと切り替わった。
(ま、まぁ一人事故で殺しちまったけどいっか)
この男、究極なまでに楽観主義であった。
シャラへの攻撃を警戒しながら一緒に素早く部屋の隅へ向かう。一度に相対する敵の数を減らす為だ。自ら逃げ場のない場所へ陣取った葉月の行動をせせら笑い、負傷した二人が一斉に突きを入れる。
自らの勝利を確信した二人は、自らの死を垣間見た。
四隅の壁に足を掛けると同時に脚力にものを言わせて駆け上がる。漫画のような壁走りこそ叶わないが、見るものから見れば壁を駆け上がったようにも見える。
僅かな滞空時間で身体を地面と水平にして壁を蹴って加速。すれ違い様に二人の首を跳ねる。これで三人。
「地下室に連れて来たのは失敗だったな」
刀身についた血糊を振り落とし、ケラケラ笑いながら歩み寄る。
「ここなら叫んでも外には漏れない。魔術を使うにも使用は限定される。人目なんか気にしないで外でやれば良かったな」
「クッ……まさか貴様、皆殺しにするつもりですか……ッ」
「おいおい、さっきも言っただろう、間引きだって。魔術も使えないような雑魚に遅れを取るような駒なんて手元に置いても意味ねーだろ」
「……」
つぅーっと、首元を冷や汗が流れる。
魔術を使えない雑魚など、嫌味にしか聞こえない。今日、この日の為に集めたのは彼女が抱える暗部の中でも上位に食い込む手練れだ。例え接近戦であっても早々に遅れを取るような軟弱者ではない。
だがそれも、この男を前にすると霞んでしまう。自身も、嗜む程度に剣術を修めているからこそ、分かる。
子連れ剣鬼は、明らかに格が違う。
「そう怖い顔すんなよ。俺としちゃキチンと報酬さえ貰えれば満足なんだぜ? あぁ、ついでに言うと俺はこれでも人斬り好きでね。ちゃんと俺の要求さえ満たしてくれりゃ裏切る意味はないぜ。所詮俺達はビジネスパートナーに過ぎないからな」
「…………」
「じゃ、詳しい日程が決まったら連絡くれよ。ホールアウトっていう宿で寝泊まりしてるから連絡はそこに。じゃ、行こうぜシャラ」
「えっと、がご迷惑をお掛けしました」
心底申し訳なさそうにシャラが謝罪して、何食わぬ顔で出て行くハヅキの後を追いかける。後に残されたのは運良く生き延びた護衛と残忍な一面を垣間見て放心状態にある依頼主の二人だけ。
子連れ剣鬼と呼ばれる男。
日本へ帰る為に奔走する最弱の男。
最強を持て余した臆病者。
三人の日本人が再会する日は、そう遠くない。




