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4、家に帰って人と話す訳ではなく、眼鏡に話しかけた

家に着いて早速今日新調したばかりの乱視眼鏡をかける。

テレビの画像が今までよりもクリアーだ。眼の疲れも感じない。

今まで使っていた眼鏡とのその差は歴然で、ちょっと驚く。

折角だから今まで使っていた眼鏡ちゃん達と、今日仲間に加わった「新・眼鏡ちゃん」をかけ比べてみることにした。

クローゼットのドアを開けるとそのドアの裏側に自分で作った眼鏡コーナーがある。

100均で買ってきたフック二つにこれまた100均で買ったプラスチックチェーンを引っ掛けて、そのチェーンの穴に眼鏡をかけている眼鏡コーナーというには実に素朴すぎるが、結構機能的で私は気に入っている。そこには5本の眼鏡があった。

「さて、眼鏡の先輩達、新しくパープルちゃんが仲間に加わります。仲良くしてあげてください。彼女はちょっとエッチな雰囲気を醸し出していますが、なかなか優等生です」

眼鏡たちに話しかける。周りが見たらキチガイと思われそうだ。

眼鏡の先輩の1本目をかける。本棚に置いてある背表紙の文字が少し歪んだ。

新入り乱視眼鏡ちゃんにかけ替えた。背表紙の文字のブレが治まった。

続いて先輩眼鏡2本目。こんどはパソコン画面を見る。やはりパソコン画面の文字がややぼやける。

新入り眼鏡ちゃんに替えた。パソコンの文字のブレが治まった。

先輩眼鏡3本目、新聞紙を読んでみる。今度は文字がブレることなく読めた。でも、目が疲れる

新入り眼鏡ちゃんに替える。眼の疲れはそれほど感じない。

4本目、なんだかこんなことしても答えが出てるなと思ったが、一応顔に掛けた。言うまでもなく周りの景色全体が歪む。

新入り眼鏡ちゃんを試すまでもなく、最後の5本目。

この眼鏡はもう5年くらい前に買ったものだ。当然度は合っている訳ないと自分でも思う。結果案の定で、話にならないほど周りが見えない。

そして今日買ったばかりの乱視眼鏡にかけ替えた。

なんて明るい世界。曇天の空に一筋の光が差したような明晰さだ

今まで自分が見ていた世界は何だったんだろう。ちょっと悔しくなる。

今日、敏腕眼科医に言われた一言を思い出す

「ちょっとした意識の持ち方で、今の眼鏡が自分に合っているかどうか、解ることもあるんですよ。常に目に対して意識を向けてあげてください。」

「見た目だけの美しさや可愛さで眼鏡やコンタクトを作っているだけの人は段々と視力も下がっちゃいます。それじゃ、本末転倒ですよね」

今まで私が掛けていた眼鏡、それは眼鏡男子君と付き合っていた頃に眼鏡デートで買ったものが過半数。勿論そうでないものもある。だけど、見た目のかわいさやデザインや周りのウケ重視で、今、自分がどういう風に見えているのかちゃんと伝えていなかった。

今まで使っていた眼鏡と同じ度数で何本も何本もコピーするみたいに眼鏡を量産していた。あの敏腕眼科医、たった30分位のやり取りで私の性格を見抜いていたのだろうか。

というか、初対面の人に簡単に自分の行動を見抜かれてしまう己の行動を恥じた方が良いかも知れない。

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