彼女の日常
朝、起きたらそこは異世界でした。
気にしないでください、これは作者が書きたかっただけなので。朝起きたらごく普通の生活が始まってるってよくあるよね!あはは、今日も今日とてごくフツーでぇす!(SE:しゃららららーん)
テレビでは昨日起こったゲーム店強盗襲撃の事件でにぎわっている。ニュースによると「昨夕乙女町茨城団地4丁目のゲーム店”国士無双“にて金目的の犯行と思われる強盗グループが押し入り、人質をとるといった事件があった。犯人グループは8名おり、いずれも客を装い一斉にバットや拳銃といった武器を取り出し店内をジャックしたものとみられる。途中、人質らが反抗したとの理由から犯人グループは店のガラスを割るなどの暴力行為に及んでいるが、怪我人はいない模様。人質はその時店内に居た店長ら含め12人となっており、事件から3時間後無事に救出された。詳細は後ほど追ってご紹介する予定です」
つまりは、だ。まだ私がバイクに乗って誘拐されたっぽいとかは少なくとも世間には知られていないわけだ。今後警察に事情を聞かれてしまうのかな、と考えると気が重くなったが今はこの青春をシングアンドシング(謳歌)しようじゃないか。
ピンポーン。
ほら来た。フゥ!ごく平和な生活なんてそうそうあるもんじゃないってね!
私は小粋にエア口笛を吹くと読むつもりもない新聞紙をばさりと勢いよく広げた。
「小春、警察の方だって」
母親が蒼ざめた表情で玄関を指さす。私は「やれやれ、アイツはホント困った奴だよ」といった感じで首をすくませる仕草をすると余裕綽々な態度で玄関に出た。
「はい、私が小春ですけど……」
正直にいうと玄関を開けて刑事さんを見るまで余裕綽々だった!
「君が小春さんですね。あのちょっとしたことを聞きたいだけなんだけど。昨日君はこの店に行かなかった?」
目の前にはいかにも真面目といったスーツ姿の男性が警察手帳をひらり、とみせる。
そして思った通り、国士無双(ややこしいのでこの後の表記はゲーム店という)の写真を見せられる。この場合どう答えたらいいのか分からないので適当にお茶を濁すことにする。
私は一瞬で悲劇のヒロインの設定を自分の中に設定した。
設定はこうだ。
ごく普通の村娘(もちろんファンタジー世界)だった主人公は突如として現れた騎士団達に「ちょっと来てもらおうか」と言われている。
当然ごく普通の村娘である(オプション・かよわい)私は騎士団の姿を見ただけで恐れ多く、そしておびえるのだ。
よし、完璧だ。
「え、どういうことですか?」(微かに震えながら)
「いやね、昨日この店で強盗未遂があったんだけど、知らないかな?」
「強盗未遂?」(さっぱりわけが分からず、怯えている)
「ああ、やっぱり知らないんだ。もしかしたらと思ったんだけどね。時間を取らせて悪かったね。それじゃ、失礼するよ」
あれ?強盗未遂ってどういうこと?そう言えばニュースでも「襲撃」とだけで何かが盗まれたとかはなかったような。
というか警察だろ仕事しろよ。と思ったがここら辺の高校生っつたら相当な数なのでいいかげん疲れているのかもしれない。
よくみたらスーツはよれよれだったし、髪はぼさっとしていた気がする。それにしても、妙だ。うーん、考えてもわからないからこれは放置しておこう。
呆気にとられたまま帰ってくると母親が「やっぱりねえ、私も言ったのよ。確かにあの子は常連だけど、昨日は行ってないって。だって貴方店から帰ってくると様子が違うもの」といっていた。どうやら目撃者情報で私くらいの年の子が店から出ていくのを目撃されたというらしい。バイクに乗って。
「他には、何も言ってなかった?」
「何も?てかあなた昨日どこで何してたのよ。昨日は放心状態だったから何も言わなかったけど。もしかして学校で何かあったの?」
「ううん。なんでもない」
私はふわふわとした思考で考えていた。
このまま現場に居たことを話さないままでいいのだろうか?でも、話すとしたらバイクの事、それから自分の能力の事を話さなければならなくなる。一体どうしたらいい!
読んで下さり、ありがとうございます。
(改)しまくりです。どうもありがとうございます。
「推敲、って言葉知ってるかい?」と今自分に聞いている所です。
それにしても短いなこの話。一体何があったんだ。
では、また。