「電姫」
「コオオオン!!コオオオン!」
遠くで毒狐の鳴き声が聞こえる。
ズシャ 大剣を持ち直す。
今宵は満月 モンスターの狩り度時だ。
「ヒャッハアアアアア!!」
満月の下で俺はモンスターを狩り踊り狂う。
「『狂気乱舞』発どおおおおおう!!!」
武器スキルの『狂気乱舞』を使いつつ、モンスターをひたすらーー斬る。
「おららららああ!!!!」
こんな状況では狩りを楽しむしかない。
ーLAMO発売から2ヶ月がすぎた日
あの日学校が休みだったため、一日中LAMOにログインしていた俺は、そろそろログアウトしようと思い
ウィンドウを開き、ログアウトボタンを押したーーーー
「はあっ!ログアウト出来ないだとっ!?」
とっさに俺はそう叫んでいた。
ログアウトボタンを押したら
【現在 諸事情のためログアウトが出来ません。】というテロップが出たのだ。
俺の言葉を聞いた周りにいたプレイヤー達が急いで確認してそしてパニックに陥った。
「なんでだよ!?」「俺が知るわけねえだろーが!!」と喧嘩をし始めたプレイヤーもいた。泣いている女性プレイヤーの姿も見えた。
俺も泣きたい気持ちだった。
LAMOの中心部である「ラモスシティ」では数万人のプレイヤー達がパニックになっていた。
「どうするよ・・・・これ」と俺がフレンドプレイヤーに連絡を取ろうとしていた時だった。
空中に大きなモニターが現れた。
モニターにはサングラスをかけた女性が映っていた。
『みなさーん!こんにちはー!
【電姫】でーす!』
なっ!?電姫だと!?本当に女だったのかよ。
電姫とは世界的ハッカーのあだ名である。今まで起こしてきた事件の数は数千にも及ぶとか、及ばないとか。
警察の調べでは未だ「女性」ということぐらいしかわかっていないとか、ネットで噂されていたな。
『皆さんももう気付いてるとおもうけど、あなた達はLAMOからログアウト出来ませーん!』
と軽く電姫が言った。
こいつかよ。こいつの仕業かよ。
世界にはいまだに【電姫】のハッキングを止めれる人はいないと誰かが言っていた。
それが本当ならば、俺たちは本当にこのゲームの世界から到底出ることはできないのだ。
『勘のいい人なら気付きますよねえ、そうです 私の仕業でーす!』
いや、気付くだろ普通。
ザワザワッ
「出してくれッ!」「どうやったら出れるんだよ!?」などプレイヤー達が個々に【電姫】に叫びかける。プレイヤー達の目には[絶望]の文字が映っていた。
電姫が再び口を開いた。
『この世界から出る方法 ーーつまり、ログアウトの方法は二つあります。一つは、私が造った「塔」の攻略です、「塔」は500階までありすべてにボスモンスターがいます。ボスモンスターを倒すと、次の階が開放されます。
500階にいるラスボスを倒すとプレイヤー全員がログアウトできるようになります。
二つ目はこの世界で死ぬ、つまりデスエンドをすることです。
しかしデスエンドにも当然リスクがあります。
この世界で死ぬと現実でも死にます(^ ^)』
はあっ!?ありえんだろ、そんなこと!だ・・・だが相手は【電姫】だぞ!あり得るかもしれない
そしてここから俺たちの【電姫】との戦いが始まったのだった。
【電姫】は最後に非情にもこう言った。
『では プレイヤーの皆さん頑張ってね!』
ピュン モニターが消えて絶望の世界が始まった。