怠け癖
働くのやだなぁ…
自慢じゃないけど俺は無能なんだ
長所なんて健康くらいのものさ
大学受験に失敗してからというもの、浪人三年生
まあ実質的にはニートだよ
勉強してなかったし
うんうん、よく引っ張れた方だ
でも最近の親の様子を見るにもう限界だな
特に親父
やばいよ…
俺殺されるんじゃないかな…
そんなわけで心機一転、就活!
とは素直に行くわけない
まずは親に泣きついた
いきなり正社員は無謀だし怖い!
だからまずはアルバイトじゃだめ?
自慢の涙目震え声上目遣いアッセンブル
OK貰っちゃえばこっちのもの
俺知ってんだよね、実質ニートみたいなバイト
そう!治験!臨床実験!
条件無し!デブOK!
最近ちょっとだけ腹が出てきた俺でも安心!
なんとこれ、母親が求人持ってきたんだよね
探す手間すらノンストレス!
「こんな感じの経緯で始めたよ、俺は」
俺は明らかに増えた顎下の脂肪を震わせながら、顔の整った引退後の力士みたいな男と談笑していた。
「しっかし、デブOKとはいえ…」
辺りを見渡すと人数の割に部屋が狭く感じる光景が広がる。
「デブしか居ないな…」
「上林さん、検査室にどうぞ」
鼻筋が通ったスレンダーな白衣の女性が目の前の肥満体型を手招きした。
赤い縁の眼鏡がキラリと光る。
週1回検査室では、体脂肪率チェックと血液検査、お腹を謎の器具で挟む謎の検査が行われる。
画面に出力された数値を白衣の男が眺めた後、数種類の薬を渡される。
普段はその後、このホールに戻されるんだけど…
この日、上林さんは戻ってこなかった。
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