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オラクル11のふたごころ  作者: 立夏 葉


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5/13

王 5

私にはずっと引っかかっていたフレーズがあった。オラクル11が何度か示したフレーズ。それは「憧れ」だった。この言葉をどう施策にいかせばいいのか、いろいろと条件を変えて試したがいい結果を得ることはできなかった。うんざりした私はオラクル11と離れ、一番好きな季節を過ごしに息子を伴って別邸にやってきて、疲れた頭を休めようとしていた。


 初秋の夕暮れはサンストーンのような鮮やかさから徐々に闇を帯び、柔らかな紫が色を深くしていった。毎日のように見ることができる光景なのに、一度として同じ夕焼けはないのだ。感慨深く思っていた時、夕焼けに照らされた次男の端正な横顔が視界にはいった。長男は夫とともに雪崩で亡くなったため、王の役目は跡継ぎとして育てた長男ではなくこのオブシディアンに継がせることになる。オブシディアンは次の王として、誰かを娶り後継ぎを作らなければならない。それは一族の使命だった。何をぐずぐずしていたのだろう。もうオブシディアンは20歳、けして早すぎることはなかった。彼は亡くなった夫に似て極端に無口で、遠慮深い若者だった。おおらかで大胆だった長男とは気質が違い私と気が合うとは言えなかったとはいえ、突然長男と夫を失った私にとってオブシディアンはかけがえのない存在で大事に育ててきたつもりだった。彼の容姿は長男よりもずっといい。夫によく似た、寡黙でも信頼される立派な王になるだろう……。



「憧れ、ね」


 私は思わず、声に出してしまった。オブシディアンが訝しげにこちらを見る。

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