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6 これが竜?

似たようなキャンプ場をもう一カ所経由して目的地に向かった。

馬車の中で、これからの竜討伐について話をしていた。

「今度こそ俺は五体遣っ付けてやる。」

スタントンが息巻く。

「まあな、出来るかもな。君は光をマスターしたみたいだし。」

「ああ、今までは土の槍を使っていたけどなかなか刺さらなかったんだ。堅いからな地竜は。」

キラは気になったことを女子に聞いていた。

「君たちは2回しか、野営していないのに随分手慣れていたね。」

「何言ってるのよキラは。私達はもう何回も経験しているのよ。」

「ルシア、キラ君はまだ二ヶ月しか学園にいないのよ。知っているはず無いわ。キラ君、私達は初年度から、野営をしているの。初めは最初の野営地で一泊する課外授業が年3回あるの。3年目からは二番目の野営地まで来るのよ。最終学年になって、地竜の岩山まで来られるようになる。だから野営は馴れているのよ。初めは何にも出来なくて、大変だったわ。」

そうだったのか。随分馴れていたのは、何度もやったことがあったからなんだ。

キラだって野営は仕事みたいな物で、毎日父と一緒に山の中を走り回っていたが、野営の内容が違いすぎて手間取ってしまった。

立派なテントの設営は難しかったし、火起こしに魔法を使うなど考えられなかった。でも、馴れてしまえば何と言うことも無い。

きちんとお膳立てされたキャンプだ。そこでの決まり事さえ分れば遠足と変わりなかった。

「もう直ぐ地竜の岩山に着くわ。」

岩山の手前にはまたキャンプ施設があった。そこで野営の準備を終わらせ、一泊して次の日からはここを拠点に地竜の討伐を5日掛けて行うのだ。

問題が無ければ、もう少しいることも出来るという。大体二週間の予定だが、早く終わってしまうこともあるらしい。

「ここの地竜は、学校指定だから冒険者は入ってこられないんだ。冒険者に荒らされてしまえば、学生達のレベル上げに支障が出てしまうからね。」

普段は地竜自体は里に下りてきて悪さはしない。だが、増えすぎれば餌がなくなって、里に下りてきてしまう。

生徒が定期的に間引いているので今は大丈夫だそうだ。

地竜の餌は、ゴブリンや小さい動物や魔獣だからこの辺には他にも危険な魔獣や魔物がいる。その為キャンプ場には結界が敷かれていた。

結界の中にいれば安全だ。何かあれば皆でここに立てこもれば良い。

教師から、注意事項が言い渡されて、明日のために早めに就寝することになった。

朝目覚めて、スタントンが興奮して叫んだ。

「さあ、遂に竜を倒せるぞ!」

「五月蠅いな、スタン静かにしろ。まだ周りは寝ている。」

ベンゼルに言われて、シュンとするスタントン。

デストロルがまだ寝ている。

キラはもう起きていたが、じっとしていた。早く起き出せば、周りに迷惑が掛かると思っていたからだ。

「スタントン。僕は起きている。外へ行こうか?」

デストロルを起こさないように静かにテントの外へ出ると、他のテントからもちらほら起き出してくる子供がいる。

朝食の準備のために薪を運んだりして居ると、女子達が起き出してきた。

「まだ寝ている人がいるの?」

「デストロルがまだ寝ている。そろそろ起こすか。」

デストロルがやっと起き出してきた。まだ寝ぼけてぼーっとしている。

野営が続いて疲れが出てきたようだ。普段から大人しいデストロルだが、益々存在感が薄い。

考えてみれば大貴族の子供だ。何時もはメイドに起こされるまでベッドで待っているのだろう。おっとりしていて大人しい子供なのだ。

朝食が終わり後片付けを終わらせて、やっと岩山へ出発だ。

ここからは歩きで1時間の道のりだった。距離はさほどではないが、歩きづらい足下の登りだった。茂みから偶に角を生やしたウサギが跳びだしてくる。

それを難なく仕留めながら進んでゆく。

キラの魔法鞄の中にもウサギが三羽収まった。

「ここいらにはゴブリンはいないと思うが、もし見付けたら追いかけないで、教師に教えろ。分ったな、絶対追いかけてはダメだぞ。」

ゴブリンは知恵が回る。子供をおびき出して、仲間を呼び巣に連れ込まれてしまうそうだ。弱い魔物だが、数が揃えば手強い相手だ。

教師が最後尾にいて、女子が真ん中、右側にキラ、左にベンゼル、前衛はスタントンとデストロルという並びだ。

教師は魔法は使えないが剣士だ。本来なら前衛に陣取るのだろうが、今は授業だから子供に任せているようだ。

皆魔法で、離れた処にいる魔獣を簡単に倒している。倒した魔獣を獲りに行くときは教師に声を掛けて行かなければならならない。

岩山の中腹あたりから茂みもなくなり、大きなトカゲが岩にへばりついている。これが地竜だという。

『これが地竜?コモドドラゴンを模したような大きなトカゲみたいだ。』

「さあみんな、どんどん倒しながら頂上まで行くぞ!」

スタントンが、張り切って岩にへばりついている、四メートル位の地竜を光の矢で射止めようとするが、逃げられてしまった。

「馬鹿だな、大声を出すなよ!逃げられてしまったじゃないか。」

ベンゼルに叱られて、しょんぼりしている。

地竜は意外にすばしっこい。するすると穴の中に入ってしまうのだ。

この地竜は小型の種類だそうだ。大型は二〇メートル以上にもなる。地面の中にじっと潜んでいてなかなか見付からないそうだ。

小型は沢山いるはずだが、岩にじっとへばりついて周りに同化して見分けが付かずにいる。

キラは試しに小石を近くの岩に投げ入れてみた。

すると、今まで岩だと思っていたところがもこもこと動いた。すかさず光の矢を放つ。まず一匹遣っ付けた。それを見ていたスタントンが真似をして、小石を投げ入れるとそこも動き出す。よく注意して見れば、周りは地竜だらけだった。皆で、魔法を打ちまくる。

岩から、倒された地竜が次々と落ちてきた。

「凄いぞ!今日一日で目標達成だ!」

本当にこんなに居たのかと思うほど一杯討伐できた。

「随分増えているな。このままでは危険だ。倒せるだけ倒してしまおう。」

教師も参加して、まだ死んでいない地竜にとどめを刺して行く。

キラは六体倒した。皆も似たような物だろう。

もう魔法鞄は一杯になって仕舞った。

「先生、鞄に入りきらないのはどうしたら良いですか?」

教師も困って仕舞ったようだ。予備の鞄まで使い切ってしまった。

「いったん帰ろう。他の教師の予備があるはずだ。」






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