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3 魔法学校の一年生

キラは魔法学校に途中編入された。

一年生は6歳の子供ばかりだった。8歳のキラは一番背が高い。

何となく身の置き場に困って仕舞う。

「キラ・ドルトンです。よろしく」

貴族の子供ばかりと聞いて、緊張していたキラだが皆まだ子供で、大きいキラにすり寄ってくる。お兄さんのように感じているのだろう。

彼等は皆キラと同じように魔石が身体の一部に付いていた。ここではキラは忌み嫌われない、自然にみんなと仲良く出来る。嬉しかった。

「キラ君は何処で魔石を同化した?」

「・・え?」

キラは生まれつきだというとクラス中が驚きの目で見ている。

何か良くないことなのだろうか。不安になってきたキラだが、

「凄い!始めて生まれつきの魔法使いに会った。」

考えていた事とは違って、彼等は益々キラを尊敬のまなざしで見つめてくるのだった。

子供達は男の子の比率が高いが、女の子もいた。女の子の場合、見えないところに魔石を埋めているという。何処に?とは聞けないが、多分足に魔石を埋め込んでいるのだろう。頭に近い方が魔石の効果が高いが、死ぬ確率は跳ね上がるそうだ。そんなことを淡々と話している子供達を見て恐ろしく感じる。

2歳の時に知らずに同化の手術を受けているので殆ど怖さは覚えていないのだろう。

彼等の将来は決まっている。貴族の魔法使いとして働く。

優秀な者は国へ召し抱えられるという。魔法使いとして英才教育を受け、それぞれの分野でトップに立つのだ。

例え力が弱くても魔法が使えると言うだけで優遇されるようだ。

最初の授業は座学だった。薄い教本を渡され、それを暗記するのだという。

声をそろえて皆で読み上げる。それが終われば、教師が内容の解説をする。

キラは直ぐに覚えてしまった。前世の記憶が戻って、何故か優秀な頭脳になったようだ。一度見れば文字でも何でも写真のように記憶されてしまう。

そんなキラを見て、教師は違う教本を与えた。それも直ぐに記憶してしまう。

慌てた女性教師が、

「貴方は直ぐにクラスを変えねばなりません。明日はここではなく、2学年上のクラスにしましょう。」

と言ってきた。折角仲良くなれそうな子供達だったのにがっかりして仕舞ったキラだった。

次の日、キラは同じ8歳のクラスに入った。クラスの人数は12人。で5クラスあった。

6歳のクラスは一クラスに詰め込まれていたが、この学年からは少数教育になるようだ。

身長も同じくらいなのでクラスで浮くと言う事は無くなった。

魔石のことは話題に上らなかったので、至って普通に受入れられた。

またクラス替えになって仕舞うのはいやだったので、暗記してしまっても黙っていることにした。

教本はかなり厚くなった。魔法の属性ごとの教本になって、6冊渡された。

やはり総て内容が頭に入ってしまう。

「前世の僕は随分優秀な頭脳だったのか?それとも今世の持っている力が覚醒したのだろうか。」

教師の言っていることもぼんやり聞いていても頭に入っている。

授業は面白いのかどうなのか分らない。総て教本通りなので、退屈に感じてしまった。

「キラ君、退屈かね?」

一人の教師がずばりと言ってきた。

「い、いえ、面白い授業です。」

「嘘を言っているね。君を見ていれば分るよ。明日からは二学年上げてみよう。その方が面白い授業を受けられるよ。」

と言ってまた違う教本を持たされてしまった。こんなに沢山の教本を持って帰るのは大変だった。何とか持ち帰り、自室へ行って本を読み進めて、明日に備えた。

「キラは優秀だってね。私は鼻が高い。頑張って立派な魔法使いになってくれ。」

養父はニコニコ微笑んでいた。もう話がこっちにまで来ていた。

養父は余り豊かな生活はしていない。キラの授業料は、商会からでているそうだ。キラが魔法学校を卒業すれば、商会の魔法使いとして働くことになるのだろう。

拾い上げて貰い忌避しないで、親切に面倒を見て貰った恩は返そう。と考えていたキラだった。

次の日10歳のクラスへ編入されたキラだったが、皆キラより大きい。下の学年から飛び級してきたキラは皆から遠巻きにされて、居心地が悪かった。

もしこのクラスからも飛び級となれば学校が変わって高等魔法学校へ行かなければならなくなる。

それは何とか阻止したい。賢明に教師の目を見て、一心に聞いているそぶりをした。その様子を見て教師は満足したのか今回は飛び級はなかった。

魔法学校の最終学年は実技がある。実際に魔法を使ってみる事ができる。

広い講堂が魔法の実技をする場所だった。

その前に魔法が使えるように特別な処置が施されるようだ。

魔石に魔力を通して貰い、始めて魔法が使えるようになるという。

呼び水のような物だと説明された。

「井戸の呼び水みたいな物か。」

吸い上げポンプがよく水を吸い上げるように魔力も同じだという。

自分の魔力だけでなく周りにある魔力も利用して魔法を使うのだとか。

教師は魔法が使える人が2人いた。その内の1人58歳の校長が出てきて、キラに魔力を通してくれた。他の生徒達はこの処置がすでに終わっている。彼等と同じ授業をするために、次は魔力操作を覚えなければならない。

「キラ君、ここに魔力が通っているのが分るかい?」

丸い魔石を渡されて、魔力が通っているかどうか確かめるという。

キラには何も感じられない。

「いえ、分りません。」

もう一つの魔石を渡されるとピリッときた。静電気よりも弱いチョットした痛みだった。

「少しピリッとしました。」

「オオ、これが分るか。凄いな、こんな小さな物が分るとは。では、その小さな魔力を一定に保つように自分の魔力と同調させて見て。」

出来るかな。自分の中には大きな塊がぐるぐる動いているのが感じられる。これから少しだけ引っ張り出すことは無理なような気がする。

ほんの少しだけストローで吸い上げるイメージで魔石に流してゆく。

「うん、出来ているね。これを毎日できるだけ長く続けなさい。それが出来る様になれば皆と同じ授業が受けられる。今日はこれで終わりだ。帰って良いよ。」

帰されてしまった。皆は授業をしているのに自分だけ帰り支度をして居ると皆の視線がこちらに向いて居心地が悪い。

なんとか皆と同じになれるように毎日頑張ろうと思うキラだった。

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