02:冒険の始まり
オレがチュートリアルフィールドから転移した先は、どこかの遺跡の中だった。
足元には向こうと同じ様な、魔法陣がある。
どうやらチュートリアルフィールドとの、行き来が可能なようだ。
「遺跡の外は森か・・・・。何か光の壁みたいなのがあるな」
遺跡の外に出ると、そこには森が広がっていた。
まるで遺跡を取り囲むように、光の壁のようなものがある。
「あの光の壁をサーチで調べてみるか・・・・」
スマホを出して光の壁を、サーチで調べてみる。
『【聖地の結界】 聖獣とその眷属以外を通さない結界』
光の壁について調べると、そんな説明が出て来た。
「聖獣とその眷属以外を通さない結界か・・・。眷属ってのは何だ?」
ピロリン!
『【眷属機能】が追加されました』
するとなにやらメッセージが表示される。
その直後ステータスの項目に、【眷属】の文字が追加された。
「【眷属機能】やと? いったいどんな機能や?」
さっそく【眷属】の文字をタップしてみる。
『気に入った者を聖獣の眷属にすることが可能。現在一人まで眷属にすることが可能。眷属として【ヴァルキュリア一族】が推奨』
「【ヴァルキュリア一族】やと?」
次に【ヴァルキュリア一族】の文字をタップして、その詳細も確かめる。
『【ヴァルキュリア一族】 聖獣がこの世界に顕現すると、さっそうと現れる種族。その能力は高く護衛として最適。』
「そんなん現れんかったけどな・・・? いったいどこにおるん? それとも単なる設定なのか?」
遺跡の周囲を見渡すが、ヴァルキュリアらしき存在がいる気配はない。
「まあ眷属については後回しや。さっそく遺跡の外を探索してみよ」
オレは遺跡を出ると結界を抜け、その外にある森に入って行った。
「ぎゃ!」「ぎゃぎゃ!」
森に入るとすぐに、妙な生き物を3体見付ける。
そいつらは緑の肌をしていて、子供のような体型だ。
髪の毛はなく、耳と鼻が長く、醜悪な顔をしていた。
「何やあの生き物は・・・?」
『【ゴブリン】 醜悪で狂暴なモンスター。集団で襲い掛かってくるのが特徴』
それは異世界でお馴染みの、あのゴブリンだった。
「ぎゃあ!」「ぎゃああ!」
「しまった気づかれた!? こっちに向かって来るな!」
ゴブリンはこちらに気付くと、棍棒を振り上げて向かって来た。
パン! パパパン!
さっそく拳銃を向けて、ゴブリン3体に発砲する。
「ぎゃう!」「ぎゃぎゃあああ!」
そのうち2体に命中し、地面に転がる。
残りの1体が、棍棒を振り上げ迫る。
オレはミニマムダガーを抜き、ゴブリンに飛びかかった。
ザシュ!
「ぎゃああああ・・・・!」
そしてすれ違いざまにゴブリンの首を斬る。
するとゴブリンは、傷口から青い血を噴き出し倒れた。
これで3体全てのゴブリンが地に伏せた。
「相手は人型なのに躊躇なく戦えるな・・・ゲームだからか?」
その自らの容赦のなさに戦慄を覚える。
まあゲームだと理解しているせいかもしれないが・・・・。
『【ゴブリンの死体】 胸の辺りから魔石が採取できる・・・・』
「魔石だと?」
ゴブリンの死体をサーチで調べると、どうやら胸の辺りに魔石があるようだった。
「ゴーレム、頼んだ!」
非力なオレではその作業が難航しそうなので、ゴーレムを出して魔石を回収させる。
『【魔石】 魔道具の動力になる。通貨の代わりにもなる。属性を持もつ物もある』
「魔石は役に立ちそうやな・・・・」
魔石は回収しておき、ゴブリンの死体は放置しておく。
用途はなさそうだし、アイテムボックスに入れるのは、ちょっと抵抗がある・・・・。
「度々戦闘になるのも厄介やし、木の枝を伝って行くか・・・・」
ここからは戦闘を避けるために、木の枝に飛び移り枝を伝っての、上からの移動に切り替えることにする。
今のオレはかなり身が軽いし、忍者のように木の枝を飛び移ることなど容易いだろう。
「おお! すげ~! これは爽快やな!」
枝から枝へと風を切り飛び移るのはとても爽快だ。
それなりに速度が出ているようで、周囲の木々が、まるで飛ぶように過ぎ去っていく。
「グルルルル・・・・」
「なんや!? でかい猪か!?」
妙な鳴き声に気付き下を見ると、なんとそこには巨大な猪がいたのだ。
猪は初めて見るが、体長4mはあるのではないだろうか?
オレはさっそくその猪を、サーチして調べてみた。
『【ビッグボア】 沸点が低くすぐに突撃してくるモンスター。その毛皮は鋼をも弾く。』
「鋼もきかんのか・・・・。厄介そうやな・・・・」
ビッグボアはこちらには気付いていないようで、何か別の目標に唸っているようだ。
「もしかして・・・・子供か!?」
ビッグボアが見据える先を見ると、そこには幼い子供がいたのだ。
その子供は桃色の髪で、翡翠色の目をしており、原始人のような毛皮を着ていた。
原住民だろうか?
その顔立ちから、女の子ではないかと思われる。
少女は巨大なビッグボアを目の前にして、怯えて涙を潤ませていた。
「何かのイベントか? どっちみち見捨てられんな・・・・」
オレは地面にいるビッグボアに拳銃を向けると、その引き金を引くのだった。
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