04:エマとヒマの実力
「な!? ヒマさんの姿が・・・・」
「消えちゃった!!」
ヒマは開始早々、スッと姿を消し、身を隠してしまった。
これはヒマの持つ能力で、【姿隠しの術】だ。
ヒマはこの能力を使い、一年間あの危険なモンスターだらけの森を、一人で生き抜いたのだ。
バキ~ン!
「あう!?」
すさまじい打音とともに、姿を現したヒマが、驚きの声を上げる。
ヒマは姿を現したと同時に、攻撃したようだが、エリザベスに木剣で防御されてしまった。
姿を消し、さらに背後からの、ヒマの攻撃を受け止めたのだ。
それにヒマは幼くても、身体強化が使える。
そんなヒマの攻撃を受け止めたのだ。
やはりエリザベスという女騎士は、かなりの手練れのようだ。
ちなみにヒマの【姿隠しの術】は、攻撃と同時に、解けてしまうという欠点がある。
ヒマは後ろに飛んで、距離をとると、再び姿を消してしまう。
「ヒマさん・・・・貴女は合格です」
するとエリザベスは、構えを解き、そう口にした。
「まさかその幼さで、暗殺系のスキルをお持ちとは思いませんでした」
物騒な言い回しだが、確かにヒマの【姿隠しの術】は、暗殺系のスキルに該当するだろう。
「それに実戦ではその姿隠しに加え、魔剣やら従魔などを使うのでしょう? そんな貴女を倒すのは困難だと言わざるを得ません」
「ぶう!」
それを聞いたヒマは姿を現し、不貞腐れながら木剣を下に降ろした。
ヒマは模擬戦が中断され、ご立腹なのだ。
ヒマはバトルジャンキーだからな・・・・。
「まあヒマは実戦では、ゴリメタルに乗り込むし、姿も消せるから問題ないやろ・・・」
オレはそんなヒマに、諭すようにそう言った。
「ゴリメタルってなに!? もしかしてヒマちゃんの専用機!?」
するとアーシアが、再び話に食いついてきやがった。
どうもこの姉ちゃんは、ロボに興味が尽きないらしい。
「後で見せてよ!」
「ああ・・・。後でな・・・・」
オレはそんなアーシアに、適当に受け答えしておく。
「では最後にそちらのお嬢さん・・・・」
そして最後にエリザベスは、木剣でエマを指し示した。
これがこの模擬戦の本命ともいっていいだろう。
ずっとこのエリザベスは、エマの実力を気にしていた節があるからな。
「本当にいいんですか? これでもわたくし、けっこうな怪力ですよ?」
そんなことを言いつつエマが取り出したのは、槍を模した木の棒ではなく、木剣だった。
「貴女こそ武器は得意のハルバートに模した長棒ではなく、その木剣で本当にいいんですか?」
「剣も多少なら使えますからね?」
「舐められたものです・・・」
そう言うとお互いは木剣を構えて、向かい合った。
「始め!」
そのアーシアの開始の合図と同時に駆けだしたのは、意外にもエリザベスだった。
今までの待ちのスタンスを切り替え、いきなり攻勢に出たのだ。
今度は逆にエマが、待ちの姿勢となる。
バキ~ン!!
「むっ!」
エリザベスの渾身の一撃が、エマに迫るが、エマはその攻撃を簡単に受け止めてしまう。
「うあっ!!」
そしてエマが押し返すと、エリザベスは大きく吹き飛ばされてしまった。
やはり体はエマよりも大きくても、力の差があるようだ。
ヴァルキュリアであるエマの身体強化は、かなり強力なものだ。
【超身体強化】というらしく、普通の身体強化とは、効果も段違いのようだ。
エリザベスは上手く着地を決めるが、そんなエリザベスに急激にエマが迫る。
ドカ~ン!
「ぬううっ!!」
そして再び攻撃を防御するも、吹き飛ばされ、今度は地面を転がった。
「終わりでいいですね?」
気付くとエマは、エリザベスの首元に、木剣の先を当てていた。
「驚きました・・・・。さすがはヴァルキュリアの血統といったところでしょう。噂に違わぬ強さのようですね」
そう言うエリザベスに、エマが手を差し出すと、エリザベスはその手を取った。
助け起こすために差し出した手なのだろうが、まるでそれは、握手を交わしているようにも見えた。
どうやらこれで彼女らの決着もついたようだ。
「まだ終わっていないよ! イーパ7式いいい!!」
するとその雰囲気をぶち壊すようにアーシアがそう叫んだ。
そう言えばこの姉ちゃんに、イーパ7式を見せる約束しとったな・・・・
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