06:【エピローグ】~あれから・・・
「ようクマ! また来たぞ!」
その後藤田会長は、たまにオレの部屋に来るようになった。
「結城がこっちに戻る方法はまだわからんのか? 私が向こうに行く方法は見つかったか?」
そして来る度に、そんなことを聞いてきた。
「あ~・・・! そんなこと、まだ糸口すら摘まめてません!」
その度に適当に対応はするが、正直たまにでも、こんな大物がくると、気後れしてやりにくい。
だがこの爺さんからは報酬をたんまり貰っているし、いい収入源にもなるので、無下には扱えない。
「またあの例の人参だが・・・・」
「ああ・・・。あの人参でしたらくれぐれも出所は秘密でお願いしますよ」
藤田会長はあの万病に効くと言う、青光りする人参【万能人参】を、来るたびにオレから買って行くようになった。
なんでもその名の通り、あらゆる病気に効くようで、極秘裏に取引相手に渡しているようなのだ。
まあそんな人参の存在を知られれば、オレもただでは済みそうにないので、出所については当然秘密にしてもらっている。
まあもし出所がばれたら、オレもどこかに高跳びする必要もあるので、爺さんも迷惑するだろうから、うかつには口にしないだろうが・・・・。
「見てあの子オーガ族だよ!」
子供がヒマを指さして、そう母親に伝える。
ヒマはそんな子供に、笑顔で返している。
ここ最近の街の変化と言えば、オーガ族を見かけるようになったことだろうか?
あの村のオーガ族が出稼ぎに出て、街で仕事をするようになったのだ。
その仕事は冒険者、建築作業員、行商人など様々だが、どのオーガ族も笑顔で、印象は悪くない。
力仕事が得意なので、街でも助かっているらしい。
その影響もあってか、ヒマは兎さんフードをしなくなり、角を晒していることが多くなった。
そんなヒマだが、オレとエマとともに、冒険者の狩りに出る毎日だ。
毎回大物を狩ることが多いので、その収入もかなり大きくなっている。
そんなこともあってヒマは、ここ最近で冒険者ランクが、Dランクまで上がった。
ユーキについてだが、彼女は一週間ほど遊び倒した後に、しぶしぶ仕事に戻っていった。
やはり最高峰のAランク冒険者となると、各所から大きな依頼が入り忙しいようだ。
要求された漫画の続巻やDVDは、預かっておけばいいだろう。
あとクエストの【精霊の雫】については、まったく糸口すら見当たらない状態だ。
いったいどこでこの情報は、出てくるのだろうか?
「ゼフリン様がお呼びです・・・・」
そんな中執事のラバスが、オレたちの宿泊先に訪ねて来た。
なんでもゼフリン伯爵からの呼び出しであるようだ。
「わかった。すぐに向かう」
そしてオレたちはすぐさまゼフリン伯爵の屋敷に向かった。
屋敷に到着すると、オレたちは謁見の間に案内された。
するとそこには見慣れない女騎士が二人ほどいたのだ。
それは方や真面目そうで、方や活発そうな笑顔の女騎士だった。
「こちらは王都からの使者でな、お前たちに国王から招集がかかっているそうだ」
ゼフリン伯爵はオレたちにそう告げた。
「ボク、アーシア! よろしくね!」
「いきなりニックネームもないでしょうアーシア?」
唐突にあだ名を告げる、活発なボクッ子女騎士アーシア。
それを注意する真面目そうで地味な女騎士。
どうやら目の前の女騎士は、オレたちを迎えに来た使者のようだ。
それにしても国王からの呼び出しとは、いったい何の用事だというのだろうか?
変なことに巻き込まれなければいいのだが・・・・。
これからオレたちは、王都へ向かわないといけないようだ。
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