06:《エピローグ》~旅立ち
「この魔法陣か!?」
現在オレは、薄っすらと青く光る魔方陣の上にいる。
「そうだよその魔法陣!」
「その魔法陣でチュートリアルフィールドを出れる」
「その魔法陣に魔力を流すと起動する!」
この日オレはこのチュートリアルフィールドから出て、旅立つことを決意したのだ。
このチュートリアルフィールドには、鉄の鉱脈の他にも、泉やら滝やら、庭園やら小さな森などがあり、色々と楽しむことができた。
その結果多くのアイテムを、入手することもできた。
まあその大半が珍しい植物やら、回復アイテムなどだがな。
たしかあれは、庭園での出来事だったか?
妖精がいたずらで岩に刺した剣なんてのもあったな。
まあ操土で簡単に抜くことが出来たがな。
それがただの、鉄の剣だったのには、がっかりしたがな。
だがその剣がまた精巧に作られていて、剣を造る参考にはなったのは嬉しい誤算だ。
まあこの先剣もまともに持ち上げられない、非力なオレが、剣を造る機会があるか、わからないが・・・・。
チュートリアルフィールドから出るための魔法陣も、この庭園にあったのだ。
まあその時はまだ、チュートリアルフィールドを出る気もなかったし、見るだけにとどめたがな。
チュートリアルフィールドのモンスターは、どれも虚弱に設定されており、オレでも素手で軽く倒せるくらいだった。
そのモンスターはこのチュートリアルフィールドで、最低限の強さを身に着けるための存在なのだろう。
そのほとんどがあのドラゴンフライだった。
ドラゴンフライは30cmくらいの大きさの巨大なトンボだ。
こいつは弱いが、よくオレの頭をつついてくる、うざい奴なのだ。
オレがちょっと小突くと、すぐバラバラになったがな。
倒したドラゴンフライの死骸は、全てアイテムボックスに入れてある。
ちなみにドラゴンフライの死骸だが、大学の研究員の知り合いが、20万までなら出しても良いと言っていた。
もうこいつの死骸だけでも、生活できるのではないだろうか?
他には巨大なテントウムシやら芋虫などもいたが、あちらから近づいてくることもなかったので、見るだけに留めておいた。
ゲームとはいえ、無駄な殺しはしたくないのがオレだ。
滝や泉の水は、【妖精の水】という名前の、不思議な感じのする水だった。
MP回復効果があったので、【操土】で造った瓶に入れて、アイテムボックスの中に入れてある。
冒険中にMPが切れたら使わせてもらおう。
小さな森には、妖精たちの寝床があるそうだ。
色々な木の実がなっていたが、どれも甘みがなく、珍しい物でもなかったので、採取はしていない。
まあ見た目に覚えがあっても、違う実の可能性もあったがな。
その後にオレが向かったのは、このチュートリアルフィールドの一番端っこだ。
このチュートリアルフィールドの先がどうなっているか気になったのだ。
チュートリアルフィールドの端は全て崖になっていて、その下を覗き込むと雲が見えるのだ。
その雲の下は海になっていて、その海がどこまでも続いていた。
そこから予測できるのは、このチュートリアルフィールドが上空に浮いている、浮遊大陸であるということだ。
まあ妖精が住まう場所なのだから、やはり特別な場所なのだろう。
そんな場所に誕生する聖獣とは、いったいこの世界にとって、どんな存在なのだろうか?
オレが最後に訪れたのが、庭園にあったこの魔法陣だった。
妖精によると、この魔法陣に魔力を流すと、チュートリアルフィールドの外に転移されるそうだ。
そしてこの魔法陣こそが、チュートリアルフィールドの唯一の出入り口となっているようだ。
オレが足元にある魔方陣に魔力を流すと、魔法陣の輝きが次第に強くなってきた。
「それじゃあちょっくら言ってくらあ! お前らには世話になったな!」
「クマ元気でね!」
「またいつでも帰ってきてね!」
「お土産希望!」
その光と共に、よくオレとつるんでいた妖精のルビー、アクアマリン、アメジストは、オレの周囲をぶんぶん飛び回っている。
別れを惜しんでいるのだろう。
オレは気さくに妖精たちと挨拶を交わすと、目の前が白く染まり始める。
これはワープの前兆のエフェクトなのだろう。
三ヶ月の間も世話になった、このチュートリアルフィールドを出るのは、正直名残惜しいが、ここを出て広大なフィールドを見てみたい気持ちの方が、オレの中には強くあるのだ。
さあ・・・・これからどんな冒険が待ち受けているのか楽しみだ。
そして目の前が真っ白に染まり、オレはこのチュートリアルフィールドから、外の世界へ旅立つのだった。
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