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09:白い虎

「これが其方らのアイアンゴーレムか!?」



 そびえ立つゴリメタルマークワンを、ゼフリン伯爵が見上げる。

 そしてフローラ嬢他騎士や使用人も、唖然とした様子で、そのゴリメタルを見上げている。



「ああ! ゴリメタルマークワンっていうんや!」



 そんな彼らに対して、オレはその名を口にした。



「ゴリメタルマークワンか・・・・意味はわからんが、強そうな名前だ」


「あのやたらと長い腕には、何か意味があるのですか!?」



 そのゴリメタルに対する質問が、フローラ嬢の口から飛び出した。

 フローラ嬢はわくわくした表情で、オレの答えを待っている。



「ゴリメタルマークワンの武器は、何と言ってもその拳やからな! 腕が長い方が戦いも有利になるってもんや!」


「そうなのですね!」



 フローラ嬢の素直な笑顔が痛い・・・・。


 そもそも拳相手ならともかく、剣や槍相手に、腕の長さが有利も何もない。

 敵にライフルなんて使われたら、それこそ腕の長さなんて、全く意味をなさない。

 オレの言っていることは、つまりまあ・・・・方便だ。


 その理由を正直にと問われると、オレ個人のロマンと言う他ない。

 だがそれを正直に言う程、オレのメンタルは強くもない。



「よしヒマ! ゴリメタルに乗り込むんだ! その力を見せてやれ!」



 オレはそれを誤魔化すように、ヒマにゴリメタルへの搭乗を促した。



「あい!」



 するとヒマは満面の笑顔で、ゴリメタルへと乗り込む。

 まるで自らの玩具を見せるように、わくわくした様子も見える。



「「おおおお!」」


「二体のアイアンゴーレムの戦いか!?」


「こいつは見ものだ!」



 その様子に皆大興奮だ。

 誰も戦うとは言っていないが、雰囲気からそう判断されてしまったようだ。

 せめてイーパ7式が、大破させられないように、立ちまわる他ない。

 


「相手はそのイーパ!?」


「そうや! だが攻撃は禁止だぞヒマ・・・・」


「え~! なんで?」


「ゴリメタルが攻撃したら、一撃でぶっ壊れてまうからな!」



 ゴリメタルがちょっと本気を出せば、イーパ7式はぐしゃぐしゃに潰されてしまうだろう。

 こんな模擬戦で、せっかくのイーパ7式を、壊されてしまうのも切ない。



「いくぞヒマ!」


「む~ん!」



 オレは不貞腐れるヒマをよそに、ゴリメタルに剣を突き出す。

 だが獣のような素早い動きで、その剣は簡単に躱されてしまった。



「巨体に似合わず身軽だな!」



 まあゴリメタルに剣が当たったところで、たいして効きはしないだろうけどな。

 

 

 ガキ~ン!



 そして簡単に腕を掴まれてしまった。

 するとゴリメタルに掴まれたイーパ7式の腕は、ミシミシと音を鳴らす。



「ちょ~たんまヒマちゃん! 壊れてまうから!」



 オレは必死に説得するが、ヒマがその腕を離してくれる気配はない。

 やはりイーパ7式では、まったくゴリメタルに、太刀打ちできないようだ。


 これは早々に降参せにゃなるまい・・・・。



 ビュウウウウウ~!!


「なんや!? 機体がゆれる!」


「なに!?」



 その時オレたちの乗る機体に向けて、強風が吹き荒れた。



「白い虎やと・・・?」



 いったい何だと思って、風の来る方向に目をやると、そこには空に浮かぶ白い虎がいたのだ。

 まさか魔物が空を飛んで、街の城壁を、超えて来たというのだろうか?

 だとすればこの状況は、とても危険だ。


 そして相手が上空にいる以上、このイーパ7式には、有効な攻撃手段はない。

 機体の中にいても、ストーンバレットくらい放てるが、オレのストーンバレットでは、あの位置への命中は難しいだろう。


 オレは強風がおさまると、瞬時にコクビットから飛び出て、白い虎の方に拳銃を向けた。

 この拳銃の方が、ストーンバレットよりは命中率は高いし、連射も可能だ。



「待つのだクマ公!」


 

 するとそんなオレに、ゼフリン伯爵がそう静止をよびかけて来た。



「ゼフリンさまよう! ありゃあ魔物だぜ! 止める意味がわからねえ!」


「あの虎は・・・・!」



 ゼフリン伯爵がそう言い終わる前に、ゴリメタルが驚異的な跳躍で、上空の白い虎に向かって飛び立つ。



「まものたおす!」


 カチ~ン!!



 だがその跳躍も空しく、ゴリメタルは上空で凍らされてしまう。



「ヒマああああ!!」



 そしてオレの叫び声が木霊し、氷に包まれたゴリメタルは、無残にも地面に落下していった。



 ズ~ン!!



 氷は落下すると、割れることなく地面に落ちた。

 相当に丈夫な氷のようだ。


 あのままではゴリメタルと一緒に、氷の中に閉じ込められたヒマが、凍えてしまう。


 オレはゴリメタルに走り寄るが、そこで異変を感じた。

 なんと氷に、ひびが入り始めたのだ。



「うがああああああ!!」



 そして氷はその咆哮とともに、破壊され、辺りに飛び散る。


 これはヒマのオーガの咆哮だ・・・・!

 まさか魔法を破壊する効果もあったのか!?


 見るとゴリメタルは、異様な姿に豹変していた。


 二本の角が生え、真っ赤な髪の毛が生え、それはまるで狂暴な鬼のようであった。



「やべえ! ヒマが・・・・!」



 操縦席のヒマを見ると、その目は赤く光り、暴走状態に陥っているように見えた。


 このままヒマと、あの上空の白い虎がやり合えば、この周辺は破壊されつくしてしまうだろう。

 だがあの白い虎を、このまま放っておくこともできない。


 いったいどうすればいいのだろうか・・・・。


 オレはただその様子を、指をくわえて、見る他なかった。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


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