表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/44

08:ゼフリン伯爵 vs イーパ7式

「それでは・・・・開始です!」



 執事のラバスの合図で、その模擬戦は開始された。



「クマがんばれ!」


「クマさましっかり!」



 模擬戦が開始すると、オレに向けての、ヒマとエマの声援が飛ぶ。

 今回イーパ7式は巨大な剣の装備を、外されている。

 さすがに部位欠損程の大怪我が出てしまうと、治せるかどうかわからないからだそうだ。


 そのためイーパ7式の装備は、巨大な盾のみだ。


 一方ゼフリン伯爵も騎士二人も、身体強化も武器強化も使えるそうだ。

 その強さが未知数のために、油断することもできない。


 ゼフリン伯爵が剣を片手に、一気にイーパ7式との距離を詰める。



「ふうう~ん!!」


 ガキ~ン!!



 ゼフリン伯爵の一撃が、イーパ7式の足に当たるが、イーパ7式は揺らぐ気配もない。

 イーパ7式の装甲は、通常の鎧の数倍の分厚さがある。

 その上衝撃に強くなる、工夫も施されているのだ。


 例え身体強化と武器強化を使っていようが、簡単にダメージが通るものでもない。

 エマがハルバートで何度も殴って、ダメージを通していたが、あれは規格外の身体強化でこそなせる業なのだ。



「ちっ! これほどの強化でゆらぎもせぬか! お前たちも攻撃に加われ!」


「「はい!」」



 冒険者ギルドマスターのローマンの連撃で、こいつより重量のある、ゴリメタルが揺らぐのを見ている。

 さすがに身体強化と武器強化を掛けた、三人がかりの攻撃を受ければ、よろけぐらいはするかもしれないな。

 そこからいっきに、畳みかけられる可能性もあるか・・・?



「おらあああ!!」


 ガチャ~ン!!



 オレは大盾を前に構えさせ、緊急操作で、瞬時にイーパ7式を前進させた。



 ドカドカ!!


「「うわああああ!!」」



 すると突撃した二人の騎士が、突然のイーパ7式の行動に対応しきれず、跳ね飛ばされる。



「マーキュリー! ベス!」


「二人とも騎士ぞ! あれしきでどうこうなる者たちではない!」



 心配したフローラ嬢が二人の騎士の名を叫ぶが、ゼフリン伯爵の言うには、どうやら心配はいらないようだ。


 その言葉に呼応するように、倒れた二人の騎士は立ち上がった。


 気付くとイーパ7式は、三人に周囲を囲まれていた。


 立ち位置的には後ろにゼフリン伯爵、左右前方に騎士二人だ。



「囲んだぞ! いっきに叩き伏せろ!」


「「はい!!」」



 ゼフリン伯爵の合図とともに、三人がいっきにイーパ7式に斬りかかる。



 ガガキ~ン!!



 三人の剣が、同時にイーパ7式の各所に命中した。


 少しゆらいだか!? だがこいつらもこれで無防備だ!



「おらああああ!!!」


「「ぐあああああ!!」」



 オレは低姿勢でいっきに腕を振り回し、三人を跳ね飛ばした。

 三人の実力はあのローマン程ではないにしろ、それなりにはあるようだ。


 三人がかりとはいえ、この巨体をゆらすことが出来たのだから。

 だがさらに重量のあるゴリメタルには、あの実力では、まったく通用しないだろう。


 すると木剣でゴリメタルを、ふらつかせたローマンは、かなりの実力ということになる。

 Aランク冒険者も伊達ではないと、いうことだろう。



「どうするゼフリン伯爵さまよう!? まだやるか!?」



 オレは再び起き上がろうとするゼフリン伯爵に、そう声を掛けた。

 どうやらあれ程の攻撃を受けて、まだピンピンしているようだ。


 それも身体強化のおかげか?



「いや・・・・。ここまでとしよう」



 だがゼフリン伯爵は、これでこの模擬戦を終了するようだ。


 模擬戦が終わると、オレはイーパ7式を降りて、そのダメージを確認した。



「うわ~・・・・。けっこう攻撃が通とったんやな・・・・」



 見るとイーパ7式の各所に、切り傷が付いていた。

 深い傷ではないが、改めて武器強化や身体強化の脅威を、目の当たりにする。



「当然だ・・・・。私はこれでも元王国の騎士だからな・・・・。だがそれでもこれが実戦であれば、死亡していたかもしれん・・・・」



 ゼフリン伯爵はイーパ7式を見上げながらそう言った。



「このアイアンゴーレムは騎士が数人がかりでも、倒すのは難しいだろうな。それにそれ程の装甲ならば、魔法も通りにくかろう・・・・」



 ゼフリン伯爵は、何やら難しい顔をしながら、そう付け加えた。

 いったいゼフリン伯爵は、何の目的で、こいつの脅威を知ろうとしたのだろうか?



「クマ公はこのアイアンゴーレムを修理したと聞くが、もしかして造ることも可能なのか?」


「さあ・・・・どうだったかな・・・・?」



 イーパ7式の構造は、すでに魔力を流しつつ、その内部を確認することで把握済みだ。

 またその時にスマホの画像ファイルに、設計図も記録してある。

 鉄さえあれば、その設計図を見ながら、造れないことはないだろう。


 だがうかつにイーパ7式を、造れるという発言は、しない方がいいだろう。

 そんな発言をすれば、何をやらされるか、わかったものじゃない。


 だがゼフリン伯爵の言葉に、返事を濁したは良いが、貴族相手にポーカーフェイスを貫けるような自信はオレにはない。

 ゼフリン伯爵の表情からは、何も察することはできないが、オレの態度から、見破られている可能性もある。


 オレは緊張の面持ちで、次にゼフリン伯爵が、紡ぐ言葉を待つ。



「まあいいだろう・・・・」



 どうやらゼフリン伯爵は、オレがイーパ7式を造れるかどうかに対して、言及するつもりはないようだ。

 そのゼフリン伯爵の言葉に、ひとまず安心する。



「それでは・・・・報告に上がっている、盗賊のアイアンゴーレムを倒したという、君らのアイアンゴーレムも見せてくれるかな?」

 


 盗賊のアイアンゴーレム、イーパ7式を倒したアイアンゴーレムといえば、ゴリメタルマークワンしかない。

 つまりそれは、ゴリメタルマークワンを見せろということだろう。

 まあ報告に上がっている以上、領主であるゼフリン伯爵に、ゴリメタルマークワンを見せないわけにもいかないだろう。



「ああいいぜ・・・・」



 オレは渋々ゴリメタルマークワンを、アイテムボックスから取り出した。

 お読みくださりありがとうございます。


 面白い!

 また読みたい!


 と感じた方はぜひ・・・・


 《ブックマーク》 と


 評価★★★★★を

 

 お願いします。

 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます。

 感想、レビューもお待ちしております。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ