03:魔法を使ってみた
「次は魔法や!」
やっぱりリアルに体感できる仮想現実VRゲームなら、魔法を試してみたいと思う。
いったいこのゲームの魔法は、どれほどのクオリティだろうか?
「えっと・・・・魔法ってどうやって使うん?」
ところがオレには、魔法の使い方がわからなかった。
ステータス画面にある魔法の項目をタップするが、そこには魔法名が並んでいるだけで、使い方までは書いていないのだ。
ちなみに魔法名には、【ストーンバレット】と【操土】があった。
「魔法は魔法名をタップすると使えるよ!」
すると妖精のうちの一人のルビーがそう教えてくれた。
「なになに・・・・魔法名をタップと・・・・」
オレは言われるがままに、とりあえずストーンバレットをタップしてみた。
「うお! なんやこれ!?」
すると不思議にも、目の前に見慣れない文字が浮かんでくる。
それはまるで象形文字のような感じだ。
「ブァッバ・・・・パッテ~ル・・・・ウルジャア~オ!」
そしてなぜか不思議と、その文字の読み方までが、頭の中を駆け巡る。
「おお!」
その直後地面から石が出て来て浮かび上がり、そのまま前方に飛んで行った。
そしてボトン!と落ちた。
「・・・・・直接投げた方がましやな・・・・」
だがその飛距離は短く、直接投げた方がましなように思えた。
「ところで無詠唱もできるん?」
オレは妖精たちにそう尋ねる。
魔法と言えば無詠唱魔術だ。
無詠唱魔術は、異世界もののラノベ作品ではありがちな、高度な魔法技術なのだ。
「できるよ! 頭の中で呪文を浮かべて、その現象をイメージするの!」
今度は青い妖精のアクアマリンが、その質問に答えた。
「よし・・・・やってみるか・・・・」
オレは先ほど浮かんだ呪文を、頭に思い浮かべると、石が浮かんで飛んで行く様子を思い浮かべる。
「あ・・・できた」
すると地面から石が浮かび上がり飛んで行った。
どうやらこのゲームで無詠唱を使うのは、そう難しいことではないようだ。
呪文を覚える苦労はあるようだがそれくらいだ。
まあ長文になるほど、難しくはなるんだろうが・・・・。
だがオレが本当に覚えたいのはストーンバレットではない。
クリエイト系の魔法だ。
そこでオレは次に、【操土】の文字をタップしてみた。
【操土】はクリエイト魔法では、一番基本的な魔法のようだ。
【操土】の文字をタップすると、先ほどのように呪文が浮かび上がり、コメントが表示された。
「操作したい土に魔力を流してください?」
だがオレは魔力を流すという経験はしたこともない。
なぜなら現実世界には魔力は存在しないのだ。
「地面にある土に手を付けてイメージすれば魔力は勝手に流れていくよ!」
すると紫の妖精のアメジストがそうアドバイスしてきた。
オレは草むらの中にある、土がむき出しの部分を見つけると、そこに手を当てた。
「こうか?」
そして魔力を流すイメージをしてみる。
「おおお! なんだこりゃあ!?」
するとまるで水がしみこむように、魔力とみられる緑の光が、土にしみこんでいく。
「そこで形をイメージすると土の形が変わるよ!」
アメジストのアドバイスに従い、オレは立方体をイメージしてみた。
「おおお! 形がかわったで!」
すると土が盛り上がり、立方体の形となったのだ。
そこからオレは時間も忘れて、【操土】に没頭し始めた。
【操土】で出来ることはさまざまだ。
例えば皿などの食器を作ることもできた。
その際には、土を圧縮して固めるイメージが必要だったが、まるで陶器のように光沢のある皿が完成するのだ。
だが最終的にオレが欲しいは、【操土】の派生形魔法である【操鉄】だ。
【操鉄】は【操土】を使いまくることで、発生する魔法のようだ。
その名の通り、鉄などの金属を、変化させる魔法なのだ。
この【操鉄】を使えば、剣や盾などの、装備を作ることが可能だ。
『土魔法に【アースウォール】が追加されました』
「【アースウォール】は防御魔法か? まあいつか使うこともあるだろう・・・・」
【操土】を使い続けると、【操鉄】より先に【アースウォール】を習得した。
説明によると【アースウォール】は、地面から石の壁を出現させ、防御する魔法のようだ。
オレは【操鉄】を習得するためにさらに【操土】を使い続ける。
『土魔法に【操鉄】が追加されました』
「おお! ついに【操鉄】が出てきたで!」
そしてオレの土魔法に、ついに念願の【操鉄】が追加された。
次は【操鉄】を使うための素材、【鉄鉱石】を探さんとな・・・・。
「ところで【鉄鉱石】はどこにあるん?」
オレは妖精たちに【鉄鉱石】のありかを尋ねてみた。
「【鉄鉱石】ならチュートリアルフィールドにある!」
「鉄の鉱脈がここから北西にあるの!」
「岩山に沢山埋まってるよ!」
なるほど・・・・。
【鉄鉱石】がこの安全なチュートリアルフィールドにあるのは助かる。
【鉄鉱石】があるなら、このチュートリアルフィールドには、他にも何か色々とありそうだが、それはゆくゆく探索してみればいいだろう。
この広大なチュートリアルフィールドを探索しきるには、何日かかるかわからない。
「「案内するからついてきて!」」
「あっ! ちょっまて!」
どうやら【鉄鉱石】のある鉄の鉱脈には、妖精たちが案内してくれるようだ。
オレは飛行する3人の妖精の後を慌てて追いかけた。
名前 フォボス
年齢 0歳
種族 熊の聖獣
HP 32
MP 465↑
STR 2 (標準男性の数値 11)
AGL 52 (標準男性の数値 8)
MAG 92↑ (標準男性の数値 6)
スキル
土魔法 : 【操土】【操鉄】【アースウォール】
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