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98/218

98ー精霊女王にアピられた

「ですので、旦那様」


 コニスが改めて言った。リンリンが、ふふふと笑っている。なんだよ、その笑いは。


「勝手に判断致しましたが、蟲を残して参りました」

「蟲をか……」

「はい」


 そう言ってコニスが軽く頭を下げた。蟲? 残す? 全く意味が分からない。


「コニスがそれだけ不安を感じたのですわ」


 クッキーを摘まんでいた母がやっと発言した。ふぅ~ッとまた溜息をついている。


「そうか、分かった。コニス、何かあったらすぐに知らせてくれ」

「はい、畏まりました」


 よし、そろそろ終わりだな。


「ところでラウ」


 え、俺か? 俺は何もしてないぞ。


「王子殿下と王女殿下とはどんな話をしたんだ?」

「えっちょぉ……」


 なんだっけ? 特別なことは何も話してないぞ。


「みみが、かわいいって」

「ぶふッ、ミミか!?」

「ふふふ、そうなの? ミミはちゃんと約束を守ったのかしら?」

「あたりまえみゃ。みみはてんしゃいらからみゃ」


 何言ってんだよ、忘れていたくせに。


「みゃ、ちゃんと『ぴよ』ていっていたみゃ」

「そうだね。ももじゅーしゅをもらってね」

「まあ! ふふふ」

「王子殿下が、時々ラウを連れて来て欲しいと言っておられた」

「あら、そうなのですね。ラウは良いの?」

「あい、ときろきなら」


 度々だとちょっと疲れる。やっぱ気を使うだろう? いくら従兄といっても相手は王子と王女なんだ。

 でも、王女を歪まないようにするには良いかもと思うんだ。


「あ、かあしゃま、とうしゃま。りーぬが、とってもこわがってましゅ」

「怖がっている? 何をだ?」

「おうひれんかをれしゅ」

「そうなのか?」

「あい」

「そりゃそうでしょうね。あの場でも扇子で叩かれるくらいですもの。お可哀そうに」

「あい」


 そうなんだよ、あれは萎縮してしまうぞ。


「ふぁ~」


 おっといけない。欠伸が出てしまったぞ。


「あら、ラウ。お眠なのね」

「あい、ちゅかれました」

「だが、ラウ。また行くことになるぞ」

「あい、とうしゃま」


 やっと俺は解放されて、おフクと一緒に自分の部屋に戻った。

 眠い、俺はお疲れだよ。


「ふく、ねむい」

「はい、ベッドに入りましょうね」

「うん」


 モソモソとベッドに入り、俺はすぐに眠りについた。

 そう、疲れて眠ったんだ。それなのにさ、また俺は呼ばれたんだ……精霊女王に。

 気付けば、真っ白で上下も分からない精霊女王の世界にいた。


「ラウ、久しぶりね」

「しぇいれいじょうおう、ぼくねてたのに」

「分かっているわよ、寝てないと呼べないもの」


 だから疲れて眠っていたんだぞ。ほら、ミミは相変わらず大の字になって寝ているだろう?


「ふふふ、今日はラウに大事なご用事があるのよ」

「ようじれしゅか?」

「そうなの、もう煩くって」

「え……?」

「ほら、ラウは最近ご無沙汰じゃない?」


 とっても鬱陶しいのよ。と、小さな声で言ったのを俺は聞き逃さなかった。

 何が鬱陶しいんだ? 俺は、全く意味が分からない。


「分からないかしら?」

「じぇんじぇんれしゅ」

「あらあら、ふふふ」


 いや、あらあらじゃない。笑ってないで理由を教えて欲しい。

 この世界は精霊女王の世界だ。0歳の時から俺はちょくちょくこの世界に呼ばれている。

 魔王城に行く時は精霊女王の力を借りて、精霊界を経由して行くんだ。そうするだけで、時間の経過を変化させることができる。

 どういう原理なのかは未だに教えて貰えないのだけど、魔王城での1時間がこっちではほんの数分だったりする。それはとっても便利で何度も世話になっている。

 だから魔王城に行く時は、必ず精霊界を経由させてもらっているんだ。


「私達精霊は、魔王となんて交流はなかったのよ」

「うん」


 いきなり魔王か? そりゃ精霊とは、正反対の存在なのだろうから交流なんてなくても当然だ。

 で? その魔王がどうしたんだ?


「ほら、ラウがしばらく行かないから、無理矢理私にコンタクトを取ってきたのよ」

「え……」


 魔王から精霊女王になのか? それはまたどうした?


「だからぁ、あなたよ。ラウ」

「え、ぼく? ぼくなにもしてないよ?」

「何もしていないからよ。最近行っていないでしょう?」

「うん、らってぼくさいきん、おりこうにしてるんだ」

「あら、お利口さんにしているの?」

「うん、しょうしょう。おとなしくね」

「ふふふ、理由があるのかしら?」

「ちょっと、やりしゅぎたかなっておもって」

「あら、今更だわ。でも魔王は待っているみたいよ」


 待たれても困るのだけど。友達じゃないのだし。俺、今は本当におとなしくしてるからさ。

 でも、何か用事でもあるのかな? て、魔王が3歳児に何の用事なんだよ。

 精霊女王がとっても困った顔をしていた。眉を下げて、じっと俺を見つめている。困っていると眼でアピってくる。しかも、とっても面倒なんだと思っていそうな顔だ。

 どんな顔をしていても、美人さんなんだけど。仕方ないなぁ。


「ラウ、待ってるのにって煩いの」

「え……まってるの? じゃあ、いまからいく?」

「ええ、そうしてくれるかしら。じゃあミミを起こすわね」


 と、大の字になってスピーッと眠っているミミを、思い切りバシコーンと叩いた。

 こんな時は行動が早い精霊女王だ。


お読みいただき有難うございます!

今日のお話は最初は魔王がラウを呼ぶお話だったのですが、面白くなくて^^;

急遽書き直しました。

蟲も出てきましたね〜

いつも感想を有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ボクは光の国の転生皇子さま!⑤発売中でっす!

宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
蟲って何ぞ? 黒くてカサササ〜って動くGさん(盗聴機能付き) 見つかったら確実に殺処分だな
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