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94/217

94ー三人で

「ラウ、外に行かないか? 中庭の庭園を案内しよう」

「えっちょぉ……」

「ラウ、ご一緒しなさい」

「あい、とうしゃま」


 ヒョイと椅子から下りる。


「リーヌもおいで。兄様と一緒にお散歩しよう」

「あい! おにいちゃま!」


 兄妹仲は悪くないみたいだな。


「りーぬ、おててちゅなごう」

「ええ、らう」


 おっと、ちょっぴり可愛いと思ってしまった。小さなふよふよした手だ。女の子って手も柔らかい。少し力加減を間違えたら、壊してしまいそうだ。

 この歳の王女には罪はない。将来、あんなことを起こさなかったら良いんだ。起こさせないようにするつもりだけど。

 王子に連れられて中庭に出る。しっかりと丁寧に手入れされた庭園があって、奥には四阿が見える。

 ちょうど、庭園を一番良い角度で眺められるように作られている。庭園に植えられた花もそうだ。

 城を訪れた人達から綺麗に見えるように、四阿から全体を眺められるようにと植えられている。これは庭師は大変だ。

 広いし、人の目線も意識しないといけない。と、いっても一応俺の家の庭師も、そうして庭を作ってくれている。

 だから母は四阿から見る庭が、とってもお気に入りだ。

 少しピリつく雰囲気の部屋から外に出できて、やっとちゃんと息ができたような気がしてしまう。

 それほど王妃がいると、その場の空気がピリピリとする。


「ラウ、緊張しただろう?」

「あい、しゅこししました」

「母上があんな感じだから」


 もしかして、王子に対してもいつもあんな感じなのか?


「母上は何に拘っているのかと、僕は思うんだ。ラウや叔父上や叔母上とは親戚なのにね」

「あい」

「初めてラウと会った時にオルゴールをいただいただろう?」


 そうだった、母がオルゴールを持ってきていたんだ。蓋をあけて音楽を流すと気分が軽くなる効果があると聞いた。


「あれもね、リーヌが生まれたら触らなくなっちゃって」


 あれ? もしかして王子はあのオルゴールの効果に気付いていたのか? なんだかそんな感じの言い方だよな。


「叔父上と叔母上には感謝しているんだ。でないと僕は、もっと縮こまっていたと思う」


 やっぱりそうだ。気付いていたんだ。なんて聡明なんだ。それに、6歳でこんな話ができるなんて。

 俺って前世の6歳の時って何してただろう? 前世だけじゃない、前の時だってそうだ。6歳なんてまだまだ遊びたい盛りじゃないか。


「れんかは、いまもれしゅか?」

「ん? 何かな?」

「いまも、ちゅらいれしゅか?」

「ふふふ、ラウはまだ3歳なのに本当にお利口だ。僕はもう慣れちゃったから大丈夫だよ」

「えぇー……」


 慣れたといってもまだ6歳じゃないか。両親に甘えたい時だってあるだろう? 母親になんて特にそうじゃないか?


「れんかもまら、ころもれしゅ」

「ラウ」

「れんからって、ころもれしゅ」

「ラウ……ありがとう。大丈夫だよ」


 儚げな笑顔を見せる王子。俺と手を繋いでいる王女はご機嫌でニコニコしている。まだ話が分からないのだろう。

 一緒に手を繋いで外に出るというだけで、こんなに嬉しそうにしている。


「れんかもてを、ちゅなぎましょう」

「え? 僕もなの?」

「あい。みんなれてを、ちゅなぎましょう」

「ふふふ、そうだね」


 俺に手を出してくる。いや、そうじゃない。


「れんか、ちがいましゅよ。りーぬとれしゅ」

「ああ、そっか。そうだね、アハハハ」


 そうだよ。王女が一番小さいし、妹じゃないか。


「リーヌ、兄さまとも手を繋ごう」

「まあ! おにいちゃま、いいのでちゅか!?」

「うん、手を繋いで行こう」

「あい!」


 ほら、とっても嬉しそうだ。心無しかツインテールのリボンまで、嬉しそうに揺れているように思えてしまう。

 きっと、こんな触れ合いもないのだろう。王妃はあんな性格だけど、王子と王女は仲良くして欲しい。


「リーヌの手は小さくて温かいね」

「おにいちゃまのてもれちゅ。ポカポカちまちゅ。えへへ」

「これからは、もっと手を繋いで遊ぼうね」

「あい! うれちいれちゅ!」


 可愛い妹じゃないか。こんな風にしていると、将来あんなことを起こすなんて想像できないぞ。

 3人で手を繋いで庭園の中を歩く。色とりどりの花が咲き乱れている。可愛らしい花から、豪華な花まで色々だ。


「きれいね~」

「本当だね。こんな風に庭を見たことって、あんまりなかったな」

「おにいちゃま、しょうなの?」

「うん」


 気が休まらなかったのだろうか?

 ただ、手を繋いで歩いているだけなのに、王子と王女は嬉しそうに微笑む。


「ラウのお陰だ」

「ぼくは、なにもしてないれしゅ」

「ふふふ、そんなことはないんだよ。いつも叔父上は僕を気に掛けてくださる。叔母上も城にこられた時は必ず顔を出して下さる。ラウもそうしてくれると嬉しい。僕はラウのご両親に救われているんだ」


 たった6歳だ。6歳の子供がこんなことを言うなんて、王妃は何をしているんだ? 

 王妃としての体面はあるだろう。だけど、それと子供とは別問題だ。俺は少し腹が立ってきた。

 前の時だって、裏で王妃が(けしか)けていたとしたら? 関わっていたのは確かなんだ。なら、王妃が誘導していたとしてもおかしくない。


「ラウ、どうした?」

「あ、なんれもないれしゅ」


 つい考え事をしてしまった。難しい顔をしていたかも知れない。


お読みいただき有難うございます!

第1章よりも真面目にと書いているのですが、面白くないですよね〜?(-。-;

やっぱラウは少しぶっ飛んでいる位の方が良くないですか?軌道修正しようかなぁ。

いつも感想を有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日もリリ⑤からイラストを。

リリは⑤も出ているだけあって、電子書籍が強いです。

ブックウォーカーさんでは日間1位を頂いた日もありました。本当に、有難うございます!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
確かに!ラウはぶっ飛んだ方が「らしい」です! 0歳の時、最高でした(≧▽≦) でも、3歳も可愛くて好きです♡
色々なキャラのちびっ子がいて面白いです 真面目じゃなくても 魔王様と友達になるくらいの勢いのある らうみぃが巻き起こす世界の続きを見てみたい… (単なる独り言でっす)
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