表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/218

92ー王女カトリーヌ

「陛下、けじめをつけなければなりませんわ。それに臣下の者の子を膝に乗せるなど……」


 王妃だ。やっぱそう言うよね。前も同じ事を言っていたもの。


「王妃、良いのだ。臣下でもあるが、ライは私の家族だ。ライの家族は私の家族同様だ。何度言っているんだ、まだ分からないのか?」

「ッ……」


 おや? 前より王妃への当たりが厳しくなっている気がする。

 王に言われて、王妃は黙ってしまった。膝の上に置いた扇子を握った手を、ギュッと握り締めている。悔しいのか? ムカついているのか?


「ラウ、私の娘だ。カトリーヌというんだよ。仲良くしてやってほしい」

「あい」


 王に紹介された王女、カトリーヌ。前の時は魔術師だった。


『今は違うわよ~』


 ん? この声はリンリンか?


「ぴよ」


 プハハ、ミミが鳥さんの振りをしながら反応している。そうしないといけないのだけど、それでも可笑しい。

 

『前の時にした事で、魔術師のジョブは与えられなかったのよ~』


 ああ、精霊女王がそんな事を言っていた。王妃もそうだった。

 それって精霊女王にお前は嫌いだと、言われている様な気もしなくもない。


『その通りなのよ~。精霊女王はあんな事を平気でする人間を嫌うわ~』


 リンリンと話していると、安心する。これだよ、これ。

 ミミみたいに、自分は天才だとか、みゃ? とか言わないし、冷静に話してくれる。

 

「ぴよよ!」


 アハハハ、もしかして怒っているのかな? ミミちゃん。


「ぴよ!」

「ラウ、この鳥さんは精霊なのだったよね?」

「あい、しょうれしゅ」

「前は喋ったと思ったけど?」

「えっちょぉ」


 え、どうすんだ? だってそれを知らない王妃と王女がいるじゃん。秘密にして欲しいよな?


「陛下、それは」

「ああ、ごめん。そうだった。私の勘違いだ」


 良かった、察してくれた。


「とうしゃま、とりちゃんがしゃべるのれちゅか?」


 お、おふ。俺よりも舌足らずな子が登場したぞ。


「カトリーヌ、そんな事はないよ。鳥さんは喋れないさ」

「らって、いまとうしゃまがしょういいまちたッ! りーぬはききたいでちゅ! とりちゃんと、おはなちちたいれちゅ!」

「だから、カトリーヌ。父様が間違っていたんだ」

「うそでちゅッ! りーぬはしゃべりたいれちゅ!」


 手足をバタバタさせ出した。え、めっちゃ愚図っているじゃないか。いや、2歳児ならこんなもんなのか? 自分がそうじゃないから、普通が分からないぞ。


「カトリーヌ、はしたないですよ」


 王妃が持っていた扇子でピシャリと王女の太ももを叩いた。


「きゃッ! え、え、ええぇーん! いたいれちゅー! かあしゃまいたいれちゅー!」


 ああ、大泣きしちゃったよ。まだ2歳の子にそんな事をしなくても。

 隣に座っていた王の膝にいた俺は、思わず手を出した。


「らいじょぶらよ、なかないれ。よしよし。らいじょぶ、らいじょぶ」

「ふえぇー」


 背中をヨシヨシと優しく撫でる。まだ小さな背中だ。こんなに小さな女の子を扇子で叩くなんて。


「王妃、何をしている。まだそんな事をしていたのか」

「へ、陛下、でもカトリーヌが……」

「カトリーヌはまだ2歳だ。私が言い出した事も悪い。なのにそんな物で叩くなど」


 その通りだ。王妃は変わっていないな。懐妊したと聞いてお祝いに来た時にも、王子は王妃の事を怖がっている感じがしたんだ。

 あの時に渡したオルゴールで多少穏やかになっていたのじゃないのか?

 これって、体罰が日常になっていないだろうな? まさか、いつもこんな事をしているのか?


「かとりーぬしゃま?」

「ひっく、りーぬ」

「え、なぁに?」

「あたち、りーぬっていうのよ。りーぬってよんれほちいわ。ひっく」


 泣きじゃくりながら、話そうとしてくれた。そんな姿は、まだ子供らしいと感じた。


「りーぬ、ぼくはらう。よろしくね」

「らう?」

「しょう、らう」

「ええ、よろしくちてあげるわ。ひっく」


 なんだよ、それ。アハハハ。まだちびっ子なのに、一応気位は高いんだ。だけどまだ間に合うぞ。


「りーぬ、とうしゃまと、かあしゃまはしゅき?」

「ええ、ちゅきよ。らいちゅきなのよ」

「じゃあ、もっとおはなししなきゃ」

「おはなち?」

「しょうらよ。ろうしてらめなの? りーぬはこうしたいのよって、いっぱいおはなししゅるんら」

「おはなちちたら、いたくしゃれない?」

「うん、しゃれない。れも、りーぬもわがままはらめらよ」

「わがまま?」

「しょう、わがまま」


 2歳児ってどう話せば分かってくれるのだろう? 自分も3歳だけど、でも中身は3歳じゃないからなぁ。頃合いがよく分からんぞ。


「アハハハ! ラウは本当にお利口だ!」


 王が笑い出した。それで張り詰めた空気が和らいだんだ。

 両親が王と王妃なのだから、話す時間も取れないかも知れない。俺だと簡単な事でも、王女は難しいのかも知れない。

 でも、王と王妃だと言っても自分達の子供だ。責任ってものがあるだろう。

 そこに、ノックする音が聞こえた。


「父上、ルシアンです」

「ああ、入りなさい」


 王子だ。しっかりしたなー。前に会った時はまだ3歳だった。

 小さな王子が部屋に入ってきた。俺より3歳年上だから今は6歳か。まだ6歳なのに、もう立派な王子じゃないか。


お読みいただき有難うございます!

ちびっ子とミミで、とっても読み難いかと思います。

頑張って読んで頂けると嬉しいです!

いつも感想を有難うございます。

誤字報告も助かってます。有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


リリは5巻が発売中です。リリは電子書籍の方が強いですね〜。続けて購入して下さっている方も多いので、5巻まで出せました。

来年は6巻です。頑張ります!

帯無しの書影です。スマホの待ち受けに如何でしょう?^^;


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
イエイエ、頭の体操になるので大丈夫です(^O^☆♪ 今回は王女は、多少まともに育っている❓ 王妃は、相変わらずだけど。 今回ミミは喋るのを我慢しました。成長した❓ミミは天才ですから(^。^) 王…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ