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72ーまだ赤ちゃん

「しょれより、みみはももじゅーしゅをのむみゃ」

「あぶあ」


 取り敢えず桃ジュースなんだな。俺もりんごジュースを飲もう。おフクー! お喉が渇いたぞー!


「ぶきゅー」

「はいはい、どうしました?」

「ももじゅーしゅのむみゃ」

「あぶ、じゅーしゅ」

「あらあら、ご用意しますね」


 平和だ。平和が一番だ。この平和を守る為に俺はやるぜ! レッツ、魔王城だ!


「いみがわからないみゃ」


 クールなミミさんだ。

 そんなある日、俺は寝ている時にまた精霊女王に呼ばれた。精霊女王はきっと俺達の事を見ているんだ。

 でないと、こんなにタイミングよく呼べるはずがない。これってあれか? ちょっとしたストーカーか?


「あら、ラウったら失礼だわ」

「あぶあー」


 いやいや、それは冗談なんだけど。

 それにしても、ミミはやっぱり寝ている。お腹を上にしてそのお腹に手(羽?)をやり爆睡だ。危機感が皆無だ。


「ラウ、マスターできたみたいね」

「あう!」


 まあ、まだ数分なんだけどな。


「短い方が良いかもしれないわ。長居するところじゃないもの」


 お? そうなのか? 精霊女王は魔族の国に行った事があるのか?


「ある訳ないじゃない。行きたいとも思わないわよ」


 え、もしかして魔王と敵対しているとか? 正反対の存在っぽいし。


「敵対はしていないわよ。会った事もあるわ」


 魔王って響きだけで、なんだか怖そうな感じなのだけど。魔王とは魔族の長だ。要は国王とかと同じだよ。ただ、存在が人とは違うってだけだ。

 数千年と生きるし、魔力量なんて人と比べるととんでもない膨大な魔力量を有している。

 それに魔族の中で、一番強いらしい。


「魔族って力なのよ」


 おう、脳筋って事か?


「それとはまた少し違うわね。魔王はとっても冷酷な印象だったわ」


 ほう、冷酷か。魔王のイメージにピッタリじゃないか。

 いや、そんな事を言っている場合じゃない。そんな冷酷な魔王に訴えて受け入れられるのか?


「だから止めなさいと言っていたじゃない」

「あぶあー」


 それって無理だって事なのか?


「さあ、どうかしら。私には分からないわ。でも今代の魔王は比較的温和な人物よ」


 ほうほう、それは良い情報だ。温和な人だと話もできるだろう。

 そうか、前の時にもそんな事を聞いた様な気がする。

 俺達の国がある方へ質の悪い魔族が流出しないように、北の山脈を魔王が造ったとか何とか。

 そんな事ができるのか? と、その時は軽く流してしまったのだけど。

 

「魔王は魔力も膨大だわ。もちろん力だって強いわよ。今のラウなんて一握りだわ」

「あばー」


 え、それは嫌だなぁ。できれば平和的に話し合いをしたい。

 俺が何を言いたいのか読んでくれないと話にならないのだけど。


「それは大丈夫よ。ちゃんと読めるわ」


 なら安心だ。よし、行くぞ! 魔王城へ!


「ラウ、でもミミは眠っているわよ」

「あぶばー」


 ミミはなぁ……起こせと言っていたけど、起こそうとしても起きないんだよ。

 試しにペチペチと叩いてみる。警戒感のまったくないミミの寝相。

 大きく広げている羽を叩いてみるけど、起きる気配もない。


「ふふふふ、ミミったら」


 いやいや、笑ってないで精霊女王も起こしてくれよ。てか、怒らないのか?


「ミミはね、あの姿を維持しているでしょう? だから疲れちゃうのね」

「あぶ?」


 そうなのか? でもいつも俺やおフクの肩に止まっているぞ。疲れそうな事なんて何もしていない。あの姿を維持する事だけで疲れるのか。

 いつも、ミミは天才だとか自分で言っているのに。


「天才なのよ、あの手の魔法に関してはね。でも、ミミだからぁ……」


 おいおい、それはどういう意味なんだ? ちょっぴり不安を感じるのは俺だけか?


「ふふふ、ミミもやる時はやってくれるでしょう。て、ラウ。私も本当は反対なのよ。魔王城へ行くなんて」

「あぶあ」


 これは譲れない。もっと大きくなってからでも良いのだろうけど。何かをしないではいられないんだ。それに今から慣れていたら、この先も仲良くできるかも知れないだろう?


「まだ赤ちゃんなのに」

「あぶぅ」


 そうなんだよ、赤ちゃんなんだよ。本当にさ。でも最近はヨチヨチ歩きができるようになったんだぞ。


「ええ、とっても可愛いわね」


 なんだよ、やっぱ見ているんだ。


「ヨチヨチ歩きができたからって、魔王にしてみれば赤ちゃんよ」


 おう、分かっているさ。でも取り敢えず一度行ってくるよ。


「ラウったら興味があるんでしょう? これをアリシアが知ったら卒倒するわね」

「あば」


 それは内緒だ。絶対に秘密だぞ。


「分かっているわよ、ちゃんと無事に帰ってくるのよ」

「あばー」


 もちろんだ。まだまだ俺には、しなければならない事があるんだからな。

 精霊女王の話だと、本当に魔王城に行く時には精霊界を経由させてくれるそうだ。

 何が違うかというと、この精霊女王の世界に呼ばれている時は俺の精神だけを引っ張ってきている。それだと実体を持たない事になる。

 実際に行く時には、精霊界を経由する。すると時間の進み方が違うのだそうだ。

 俺が夜中にいない事が、バレたりしなようにと配慮してくれている。

 そして精霊界を経由する事で、この国から直接向かうより短距離で行けるらしい。その仕組みがどうなっているのかは知らないけど。


お読みいただき有難うございます!

いつも誤字報告を有難うございます。

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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