71ー魔素と瘴気が問題
さて、俺の練習の成果だ。ちょっぴり頼りないミミの指導の下、なんとか魔素を遮断するシールドをマスターした。と、いってもほんの数分なんだけど。
俺の住んでいる地域では魔素が濃いわけではない。だが、魔王が住んでいる魔族の国ではここの数十倍の魔素濃度だという。これは精霊女王が言っていたので確かだ。
俺はコロッと忘れていたけど、魔族の国では魔素濃度が高く、その上瘴気が漂っていて普通の野菜が育ち難いというのが通説だ。
その為に、人に変化できる魔族がこっちに貿易をする為に出てきていたりする。
こっちの食料と魔族の国でとれる貴重な鉱石や魔石を取引したりもする。
魔素濃度が高く瘴気が漂うとは、どんな感じなのか? それは前回大賢者だった俺でも知らない。
聞くところによると、こっちの地域では普通の木でも魔素が多い魔族の国だと、魔物化したりするとかなんとか。
その魔物がまた瘴気を生むという悪循環だ。木が魔物化って何だよ? て、感じなんだ。
要は、人が魔族の国に行った事がないんだ。だって普通は濃い魔素や瘴気に耐えられないのだから。
俺が魔王の居城に行く事ができたら、人類史上初という事になる。
「みみは、まらはんたいみゃ」
と、ブツブツ言っているミミ。だけどさ、将来起こる魔族との戦。それを止めるには、直接魔王に会うのが一番だろう?
「らって、らうみぃはまら、あかちゃんみゃ。からだがしんぱいみゃ」
まあ、そうなんだけどな。その為のシールドだ。それに魔王なら、俺の言いたい事くらいは分かるだろう?
「みみはしらないみゃ。あったことないみゃ」
じゃあ、ミミも精霊の中で初めて魔族の国に行くのかも知れないな。
「はじめてみゃ。だれもしゅきこのんでいこうとしないみゃ」
そりゃそうだろうな。精霊女王も行った事がないのかな?
「あるわけないみゃ。しぇいれいかいと。まじょくのくにらと、じぇんじぇんちがうみゃ」
違う事は分かっているんだ。じゃあ精霊界だと魔素濃度はどうなんだ?
「まじょくのくにほろ、こくないみゃ」
ほうほう、ここよりは濃いのか?
「しょうみゃ。けろまじょくのくにとはちがうみゃ。しょうきがないみゃ」
ミミのたどたどしい説明によると、確かに魔素はこの国より濃いらしい。でも魔族の国とは性質が違うのだそうだ。精霊界は浄化の気の方が強い。
なぜなら世界樹が近くにあるかららしい。だからいくら魔素濃度が高くても、瘴気なんて発生しないんだ。
世界樹が世界の浄化を担っているといわれている。この世界ができた時からある大樹だと。
その浄化能力の影響で、魔素濃度が高くても魔族の国とは違うのだそうだ。
俺はそれを聞いても全然分からない。同じ魔素じゃないか。と、思う程度だ。
同じ様に魔素濃度が濃かったとしても、人が精霊界に行っても直ぐにどうこうはないらしい。
長期の滞在はできないのだそうだけど。
魔族の国は違う。人が立ち入る事はできない。生きていけないんだ。
だから魔素を遮断するシールドが必須なんだ。このシールドは同時に瘴気も遮断してくれるらしい。
てか、精霊のミミが浄化能力を持っているそうだ。ミミの周りの瘴気を浄化しながら飛んでもらう。そして俺はシールドだ。
いつもボケボケのミミだけど、さすが精霊さんだ。使い魔としてやって来るだけあって、能力は高かった。ミミなのに。
今の俺で数十分といったところか。まあ取り敢えずそれでいい。とにかく魔王に会いたい。
「らうみぃ。しょれはきょうみなのみゃ?」
お、なかなか鋭い事を言ったぞ。
そうなんだよ。魔王に是非とも会ってみたい。前回の時でも存在は知っていたが、誰も会った事も見た事もなかった存在なんだ。そりゃ会いたいぜ。
よくさ、ラノベとかだと魔王というと超イケメンと相場は決まっている。
どんなイケメンが出るのか楽しみだ。
「いけめんて、なんみゃ?」
「あぶ」
え、イケメンをしらないのか? マジかよ。
とっても優れた容姿の男性の事だ。特に顔面の偏差値が超高い。
「しょれなら、しぇいれいおうみゃ」
「あば?」
精霊王なのか? そういえば、精霊女王も超絶美人だもんな。
「きれいみゃ。しぇいれいおうは、ぴかぴかしてるみゃ」
「あぶ」
ピカピカしている? 光っているのか? それとイケメンは関係ないのではないか?
「きれいみゃ。かっちょいいみゃ」
ほう~、それは是非とも一度お目に掛かりたい事だ。
「あえるわけないみゃ。しぇいれいおうはいだいみゃ」
へえ~。精霊界の王だもんな。取り敢えず今は魔王だ。
ミミに乗る練習もしたいなー。
「らうみぃは、やんちゃしゃんみゃ」
「あぶば」
「みみにのるなんて、ふちゅうはおもわないみゃ」
そうか? だってあのミミの本当の大きさを知ったら、乗ってみたくならないか? 魔族の国に行くとか関係なくさ。乗って飛んでみたいぞ。
「らから、らうみぃはやんちゃしゃんみゃ」
「あぶぶ」
今度精霊女王に呼ばれた時に試してみようぜ。
「しょうがないみゃ。けろ、しぇいれいじょうおうがいいっていったらみゃ」
「あぶあ」
おう、いいぞ。きっと良いって言ってくれるさ。仕方ないわね~なんて言われそうだけどな。
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