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62/218

62ー母の無茶って?

 母は精霊と意思疎通ができるだけでなく、精霊女王とも交流がある。それはエレメンタラーの中でも特殊なのだそうだ。

 どうして精霊女王と交流を持てたのか? それは教えてくれなかったけど。


「アリシアは私の為に無茶をする」

「あら、そんな事ないですわよ。あなた程ではありませんわ」


 おやおや、仲の良い事で。て、母は父の為に無茶をしたんだ。

 それを精霊女王は言っていたのかな? 今度詳しく聞いてみよう。


「ラウ、知らない方が良い事もあるのよ」

「あばー」


 おっと、母の雰囲気が怖くなったぞ。威圧感をバシバシ感じるぞ。


「ああちゃ」


 いや、俺はただ危険な事をしてほしくないだけだ。父も母も大事だから。


「らうみぃはしんぱいしてるみゃ」

「あら、ごめんなさい。ラウったらそうなのね」

「ああちゃ」


 思わず母にしがみつく。

 前回は守れなかった。今回こそはと思っているのに、母自身が危険な事をしていたら手の打ちようがないじゃないか。

 俺がもっと大きくなるまで、大人しくしていて欲しいぞ。


「ああちゃ、あぶぶ」

「あらあら、もう危険な事はしないわよ」

「ああちゃ」


 ほら、自分で言っているじゃないか。危険な事をしたんだ。


「アリシアーッ! 約束だぁ! 大人しくしていてくれぇッ!」


 おいおい、父まで同じ事を言っているじゃないか。

 それだけの事をしたんだな。でも今は、深く聞く事は止めておこう。なぜなら母が怖いから。


「ふふふ、母様は怖くないわよ。ラウ」

「あばー」


 ほら、ほぉ~ら。笑顔が怖い。

 ここは知らんふりしておこう。


「ああちゃ、ああーちゃ」

「ふふふ、ラウったら」


 俺が甘えると、優しく撫でてくれる。

 ふぅ、背筋がゾッとしたぜ。

 いつもの母に戻って良かった。


「みみは、ももじゅーしゅをのむみゃ」

「ミミちゃん、もう少し我慢ですよ」

「しょうみゃ?」

「はい。終わるまで我慢です」

「しかたないみゃ」


 出たよ。ミミの桃ジュースだ。いつもそれで会議がグダグダになるんだ。ミミさん、分かっているか?


「しょんなことないみゃ。みみは、くうきをよめる、しぇいれいみゃ」

「あぶぶ」


 全く読めていないぞ。


「みゃみゃみゃ! しょうなのみゃ!?」

「あばー」


 俺より読めていないな。みろ、もうお開きの雰囲気になったぞ。


「しょれはみみが、ちょうろいい、たいみんぐれいうからみゃ」

「あぶー」


 そうか? そんな事はないぞ。ちゃんと、はいお終いってなってから言う方が良いぞ。


「しょうなのみゃ!? しらなかったみゃ」


 はいはい、もう良いけどさ。ミミの桃ジュースを飲ませろ発言には、皆も慣れちゃったと思うぞ。


「のましぇろじゃないみゃ。のむみゃ」

「あぶぶ」


 一緒だ。ミミ、そろそろミミは凄いぞと見せて欲しいものだ。


「みみは、いちゅもしゅごいみゃ! ちゃんと、とりしゃんみゃ」


 そうだった。実体を持っている事自体が凄いのだったな。まあ、もう一息だ。

 そうしていつもの様に、最後はなんとなく締まらずに終わった。

 それも良いか。ずっと緊張感を持つというのも効率が悪いし疲れる。


「しょうみゃ。みみは、しょれをおもっていってるみゃ」

「あぶ」


 絶対に嘘だな。


「ラウみぃは、ほんとにときろき(時々)ひろ()いみゃ」


 そんな日々を過ごしながら、俺はミミと一緒に魔素を遮断するシールドの練習も続けていた。

 なんとなく、感覚が分かってきたんだ。

 最初の頃は全くできそうになかったのだけど。これもミミのお陰なのか? そう思いたくはないが。


「らうみぃ、もうちょっとちゅぢゅけ(続け)られないみゃ?」

「あばあ」

「いまらと、ほんのちょびっとみゃ」

「あぶ」


 そうなんだよな。感覚が掴めたら、後はまだ楽勝だった。いや、楽勝ってほどでもないんだけど。

 魔素を遮断するシールドを展開できるようにはなったが、継続できない。そこをまだ練習しないといけない。

 しかも普通のシールドよりも魔力量を多く消費する。展開している間ずっとだ。

 だけど、さすが大賢者だよ。俺の魔力は膨大だった。この0歳という歳でだ。

 

「ふちゅうなら、まりょくぎれ(魔力切れ)をおこしてるみゃ」


 と、ミミが感心する位に、魔力量は多かった。これはもしかして、前回から引き継いでいるのではないか? なあ、ミミ。どう思う?


「しょうみゃ。しぇいれいじょうおうが、しょういってたみゃ」

「あぶ?」


 いつそんな事を言っていたんだよ。


「みみが、らうみぃのしょば()に、くるまえみゃ」


 ミミを俺の使い魔にと、精霊女王がそう決めた。それで一応の予習をしてきたらしい。

 その際に精霊女王から教えられたそうだ。

 大賢者のジョブを授ける子だと。だから魔法の才は飛び抜けている。今はまだ0歳児だけど、もう魔法は使える。それに魔力量も膨大だと。

 前回の時だって、人とは比べ物にならない位に多かった。それをそのまま継いでいるんだ。

 もしかしたら今世は、人類で最大値の魔力量なのかも知れないぞと、俺はちょっと思ったりする。


「あたりまえみゃ。だいけんじゃなのみゃ」

「あばー」


 その大賢者ってのも隠したいんだよな。それは5歳になったら受ける『鑑定の儀』まで猶予があるけども。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 父様より母様の方が何をするか分からない人かも⁉️好きな人の為に自分の事をかえりみない❓やはりラウちゃんの親だ‼️家族愛が父様より凄いかもただ父様と違って表に出さないだけで•••••この人を…
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