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53ーおはよう

 そんな感じで俺はまだ魔素を遮断するシールドをマスターできていない。

 それさえできれば、魔王の元へ突撃してやるのに。いやいや、平和的にね。


「頑張りなさいな。ただ、アドバイスをするなら頭でいくら考えても無駄よ」

「あば?」

「自分が感じる事を信じるのよ。ミミもアドバイスしてくれるはずよ」

「あうー」


 ええー、だってミミはまだ寝ているぞ。スピーッと寝息が聞こえてくるぞ。


「ふふふふ、ミミったらふざけているのかしら」

「あぶ」


 いや、マジだろう。爆睡だ。


「仕方ない子ね。でもミミは信用できるわよ。頑張りなさいな」


 そう言って、俺は帰された。いつの間にか熟睡していたらしい。目が覚めたら朝だった。


「ラウ坊ちゃま、珍しいですね。いつもフクが来る前に目覚めておられるのに。よく眠れましたか?」

「あう」


 熟睡だったよ……て、ミミ。まだ寝ているのかよ!

 俺の隣で両手(?)を広げて大の字になって眠っている。ヨダレを垂らすんじゃないぞ。


「ふふふ、よく眠っていますね。坊ちゃま、オムツは大丈夫ですか?」

「あばー」


 替えてもらおうかな。うん、ちょっと出ちゃっているかも知れない。そんな事も気付かずに寝ていた俺。ミミの事を言えないぞ。

 おフクにオムツを替えてもらおう。


「はいはい、拭きましょうね。お着替えしたらお食事に行きましょう」

「あうあ」


 俺のぷりけつを拭きやすいように、両手で両足を持つ。ふむ、今日は足の訓練をしようかな。

 最近バタバタして出来なかったから。

 早く歩きたいし。よし、そうしよう。


「はい、良いですよ。お着替えしましょう」

 

 フクに手早く着替えさせられて、ヒョイと抱っこされた。


「あば」

「え? 何ですか?」

「あぶー」


 だっておフク、ミミがまだ眠っているぞ。あいつを起こして連れて行かないと。


「あらあら、忘れてました」


 ワハハハ、おフクに忘れられちゃうミミ。なんだか気の毒に感じる。

 おフクがミミを起こそうとポンポンとした。


「ミミちゃん、お食事に行きますよ」

「……むにゃむにゃ……もうたべられないみゃ」

「まあ、何の夢を見ているのでしょうね」


 お腹のところをまたポンポンとして、声を掛ける。


「ミミちゃん、行きますよ」

「ふがッ! もうあさみゃ!?」

「はい、朝ですよ。お食事に行きましょう」

「おなかしゅいたみゃ」

「あぶ」


 さっきもう食べられないって言ってたぞ。


「らうみぃ、なにいってるみゃ。みみはねていたのみゃ」

「あうあ」

「ふふふ、寝言でもう食べられないと言っていましたよ」

「しょうみゃ!? みみは、なにたべてたのみゃ?」

「あば」


 知るかよ。本当、ミミで大丈夫なのか? 精霊女王は信用できるとか言っていたけどさ。


「らうみぃ、なんれしぇいれいじょうおう(精霊女王)が、でてくるみゃ?」

「あぶあばー」


 仕方なく俺は説明してやった。昨夜呼ばれたぞ。その間ずっと、ミミは眠っていたぞと。


「みゃみゃみゃ! たいへんみゃ! おこられるみゃ!」


 パタパタと羽を広げて、俺の周りを飛んでいる。焦っていると言う事なのかな?

 もう今更遅いって話だ。昨夜は爆睡していただろう?


「らってねむいみゃ。よるはねるみゃ」

「あぶあ」


 いや、普通呼ばれた時点で気が付くだろう? 俺は精霊女王に呼ばれて眠っていた事なんてないぞ。ミミの気が緩んでいるんじゃないか?


「しょんなことないみゃ。ふちゅうは、よるはねるみゃ」


 まあ、そうだけど。


「はいはい、ミミちゃん。お食事ですよ」

「ももじゅーしゅみゃ」

「はい、用意してありますよ」


 お腹空いたと言いながら、桃ジュースなのか? 精霊は俺達の食事は食べないんだったな。美味いのに。て、俺もまだ離乳食だけど。

 俺はチャイルドチェアーに座らせてもらって、首に食事用のスタイを掛けてもらう。

 小さな子供用のカトラリーが並べられている。そんなに使わないのに一式ある。

 俺はその中から、スプーンとフォークを手にしてスタンバイオッケーだ。


「あぶあー」

「はいはい、今お出ししますね」

「あら、ラウ。早いのね」

「ラウ、おはよう」

「ああちゃ!」


 両親が仲良く入って来た。朝から父のバリトンボイスは絶好調だ。

 両手にスプーンとフォークを持っているのに、俺は手を振る。


「あらあら、お行儀が悪いわ。ラウ、おはよう」


 と、母がハグしてくれる。


「ああちゃ」

「ラウ、よく眠れたか? 今日も元気だな」


 父もだ。だけど俺はまだ父様とは言えない。


「ああちゃ!」

「いや、父様だ」

「ああーちゃ!」

「あああーッ! 今日も駄目なのかぁーッ!」


 朝からハイテンションな父だ。元気なのは父だよ。

 えっとぉ、父様だろう? 一度は言えたんだ。だから言えない訳じゃないと思うんだ。


「ちゃ、あー」

「お、おお! そうだ、父様だ!」

「ちゃあー……ああちゃ!」

「あああーッ! なんでそうなるぅーッ! ラウ! 途中で諦めるんじゃないぃ!」

「あなた、煩いですわよ。いただきましょう」

「お、おう」


 ふふふ、煩いとか言われちゃったぞ。

 母ったら時々辛辣だ。でも仲が良いんだよな。結構ラブラブだと思うぞ。

 そりゃ、父は母が大好きで婚姻したんだからな。でも見ている限りは母だって満更ではないように見える。所謂、おしどり夫婦だ。


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 爆笑シーンの一家団欒 その場に居るであろうメイドさん達の笑いを堪える腹筋の強さも、戦闘力に関係しているのか
[良い点] ラウちゃん、貴方の両親は、親バカですから。似たもん夫婦です。 ミミは、精霊女王様に呼ばれても気が付かないで爆睡〜女王様もよくミミを見捨てないで庇ってくれていますよね。 [一言] ミミ今後の…
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