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52ーえ? ジョブが?

「しちゅれいなことをいうみゃ! みみはてんしゃいみゃ!」

「あぶぶ」


 自分でいう事自体が怪しいじゃないか。いつも自分で言っちゃうから、真実味がないんだよ。


「ラウ、大丈夫よ。ミミはお利口さんよ」

「あばー」


 リンリンがそう言うなら、そういう事にしておこう。

 いつの間にかこの会議に、俺は皆勤賞で出席している。赤ちゃんなのに。

 いつも俺がいるから父が脱線してしまうと思うんだ。俺が出席していたって仕方ないしさ。

 それでもいつも何故か、おフクに抱っこされて会議室へと連れて行かれる。

 まあ、良いのだけど。情報は大切だからな。

 そして会議が終わると俺はお昼寝だ。お久しぶりに精霊女王に呼ばれた。


「ラウ、本当に見ていてハラハラするから、おやめなさい」

「あば?」


 何だ? 見ていたって、見られるのか?


「私は何でもお見通しなのよ」


 と、言いながらウインクをしてきた。キラキラ~ンと星が飛びそうだ。


「いくら転移ができるようになったからと言って、あんな危険な事をするなんて……ふふふ」


 おいおい、そこでどうして笑いが起こるんだ?


「だってぇ、ラウったら……ねえ」

「あば?」

「あの後直ぐに、オムツを替えて貰ったのかしら?」


 あー、そう言う事か。出ちゃったのも見ていたんだ。見なくて良いのに。


「ふふふ、まだまだ赤ちゃんね」

「あぶ」


 だってちょっと(りき)んじゃったんだよ。だからだ。プリッとね。ワッハッハ。


「ふふふ、なんだかあの女性が可哀そうになっちゃったもの」

「あぶぶ」


 いいんだよ。敵対してくる者には容赦なしだ。

 お、そんな事よりもピーチリンだ。食べてみたいぞぅ。


「あら、それは駄目よ」

「あばー」


 駄目なのかよ。食べたらいいとミミが言っていたぞ。


「ミミったら、何を言っているのかしら」


 そのミミはまた大の字になって眠っている。

 いつも思うけど、よく起きないな。


「人がピーチリンを食べたら寿命が延びちゃうかも知れないわよ」

「あぶ」


 人が食べたらどんな怪我でも治るんじゃないのか? 寿命まで関係するのか?


「まだはっきりとは分かっていないのよ。だって食べた人がいないのだもの」

「あばば」


 そうなのか? それはちょっと危険だ。俺だけ超長生きしたって意味がない。

 家族や大切な人達がみんないなくなるのに、そんな世界で長生きしたって仕方がないじゃないか。

 だけど、どんな傷でも治るのだろう? そんな物があるなら、前回の時に食べたかったものだ。


「あうー」

「そうね、剣で刺されちゃったものね」

「あう」


 ん? そんな詳細な事まで分かるのか? 俺がミミと契約したからなのか?


「私はそれ以前から知っているわ。ミミが言っていたでしょう? ラウが生まれた時から知っているって。今世の生まれた時じゃないのよ」


 ああ、そういえばそんな事を言っていた。て、ええ? もしかして前回の俺を知っているのか? 俺が嵌められた事も?


「それだけ大賢者のジョブは特別なのよ。だって聖女のジョブを与えるのは私ですもの」


 え……何だって? いや、聖女はいいんだ。まだ生まれていない俺の妹だろう?


「でもあの王女は、その聖女に嫉妬しちゃったのね。今世は魔術師だって、どうなるのか分からないわ」


 それってもっと下位のジョブになる可能性があるって事なのか?


「そうね、実際に母の王妃は魔術師のジョブを与えられていないわ」


 え、そうなのか? 俺はてっきり変わらず魔術師だと思っていた。


「そうなのよ。王妃と王女、それに騎士団長の息子ね。この3人は下位のジョブになるわ」


 精霊女王がとっても悪い人の様な表情をしている。制裁って事なのか?

 これはマジで敵に回したら駄目な人だ。いや、人じゃないんだけど。

 仲良くしておきたいね。

 

「そんな事より今回は赤ちゃんなのに、あんな危険な事をして命が幾つあっても足らないわよ」

「あぶぶ」


 あれ位、どうって事ないさ。もっと危険な事をしようとしているのだから。


「あらぁ、まだ諦めていないのかしら?」

「あぶ」


 当然じゃないか。俺は必ず魔王に会いに行くぞ。それも近々だ。

 魔王に会って直談判するんだ。

 魔族との戦を回避する。先ずはそれが一番の目的だ。


「でもまだ魔素を遮断するシールドを、展開できないんでしょう? なら駄目よ」

「あぶあ」


 そこなんだよなぁ。なかなかそれが難しいんだ。

 練習はしているんだ。普通のシールドなら数分間だけだけど展開できる。だが、魔素を遮断するとなると話は別だ。

 なにしろ魔素なんてよく分かっていないんだ。その上、俺達が住んでいるこの地域では魔素が薄い。ない訳ではない。確かにあるんだ。

 人はそれを無意識のうちに使って魔法を発動させている。そこもまた難しいとこなんだ。


「あら、そうだったわね。アリシアとラウは精霊魔法だったわね」

「あぶあ」


 そうらしいんだ。さっきも言った様に人は魔法を発動する時に空中に漂う不思議成分の魔素と、自分の魔力を使う。

 母と俺はそれだけじゃないんだ。精霊に力を借りるんだ。だから精霊魔法と呼ばれている。エレメンタラー特有のものだ。

 俺はミミと契約したから使えるらしい。

 だからといって、全く魔素を使わない訳ではない。比率が低いと言うだけだ。それを意識している訳ではない。

 意識していないものを、意識して遮断しろと言われても、何が何だか分からないといった状態なんだ。


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ミミも自分で天才と言うと胡散臭く思うのは、ラウちゃんと私だけ❓でもリンリンがお利口さんと言うと信じられるのはどうしてだろ❓ (๑>◡<๑) [一言] 女神様に見られていたとは、恥ずかし…
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