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25ー精霊女王

「ぶぶぅ」

「らうみぃ、けいやくしゅるみゃ」


 まあ、いいか。よく分からないけど。


「けいやくみゃ」

「あぶあー」


 ミミが張り切っている。パタパタと俺の肩に乗ってきて、(くちばし)で俺の額をチョンと突いた。


「あばー」

「みみみゃ。らうみぃのまりょくをたいかに、ちゅかいまとしてけいやくしゅるみゃ。みみは、らうみぃにきょうりょくしゅるみゃ。らうみぃのおもいに、はんしゅることは、しないみゃ」


 めっちゃ辿々しい言葉でミミがそう言った。すると、俺とミミの身体がペカーッと光った。

 そして、どこからか大きな神々しい光が入って来てそれは見る間に人型になった。

 光が消えると、そこには金色に光る長い髪のとんでもなく美しい女性が立っていた。


「あら、お久しぶりね」

「アリシア、やっとですのね」

「ふふふ、まだまだ勉強は必要だけど」

「ミミ」


 喋っているのだろうけど、どこから声が聞こえてくるのか分からない。

 頭に直接響いてくる様な声だ。完全に人ではない。姿は人だけど、人なら光っていない。

 後光ではなく、その身体全体から滲みでるような光。

 人間離れしたその美しさと、長い金色の髪も揺らぎながら光を放っている。

 そして、背中の羽だ。大きな蝶の様な羽が七色の光を放っていて、その女性は宙に浮いていたんだ。何もかもが普通ではない。


「しぇいれいじょうおうしゃまみゃ!」

「あぶばばッ!?」


 有り得ない。まさか精霊女王が来るなんて。しかも、母は普通に話しているぞ。


「ふふふ、アリシアとは仲良しなのよぅ」


 え、そんな事を言っているけど、目が笑っていない。どうしてだ?

 母も心無しか緊張している様に見える。


「あなたがラウルークね」


 そう言いながら俺のほっぺを一撫でする。な、な、なんだ? この感触は!

 人肌ではない。無機質でもない。だけど、ほんのりと温かい。なんとも例えようのない感触に俺は驚いた。そして、気持ち良い。目がトローンとしてくる。


「あばぁ」

「ふふふ、可愛らしいわね〜」

「駄目よ。私の子なんだから、連れて行ったりしたら絶対に駄目」


 母にギュッと抱きしめられた。母から緊張が伝わってくる。

 なんだと? 連れて行かれたりするのか? どこに連れて行くんだよ、物騒だな。


「分かっているわよぅ。でも、ラウルーク。あなたの魂は特別だわ。きっとミミが役に立つわよ」

「あばぁ?」


 今のところ、何の役にも立っていないけどな。


「だって、使い魔契約をしていなかったのですもの。これからは違うわよ」

「あぶぅ」


 そうなのか? じゃあ、期待してみよう。


「ふふふ、そうね。仲良くしてあげてね。ミミはあなたを裏切らないわ。必ずあなたの役に立つわよ」


 なんだ? なんだか含みを持った話し方をするじゃないか。

 精霊女王、油断できない感じだ。だって母だってピリピリしている。

 おっと、こんな時に。ブルルッと……出ちゃった。


「あうぅ……ふぇ」

「あら、おむつかしら?」

「ふふふふ、まだ赤ちゃんだものね。ミミをよろしくね。また会いましょう」


 キラキラと輝きながら消えていった。そのエフェクトは精霊女王専用なのかな? ド派手な登場でド派手に消えて行った。


「あうあー」

「はいはい、オムツね」


 なんだかなぁ、あんな真剣な場面だったのに。出るものは仕方がない。

 我慢なんてできないし。俺はまだ赤ちゃんだし。


「はいはい、オムツ替えましょうね」


 おフク、いつも悪い。俺が両足を持っているから、しっかり拭いてほしい。


「奥様……」

「ええ、大丈夫よ。ラウを手放したりしないわ。絶対によ」

「はい、お守りしませんと」

「フク、有難う」


 なんだ、なんだ? マジで物騒なんだけど。一回目の時にはこんな事はなかったはずだ。

 だって、精霊女王の存在なんて知らなかった。

 こんな事があったのだろうか? 俺が覚えていないだけなのか?

 分からない。一回目の時と差異が出て来ている。俺が記憶を持っているからなのだろうか?


「あぶあー」

「ラウ、大丈夫よ。怖い人ではないの。ないのだけれど」


 なんだよ、そこからが大事なとこじゃないか。


「自分が気に入ったものは手に入れようとするのよ。人ではないの。だからこっちの気持ちなんてお構いなしなのよ」

「あぶぅ」


 なるほど。俺は気に入られちゃったって事なのかな?


「あんな風に撫でるなんて……マーキングじゃないんだから」


 え? マーキング? 俺ってマーキングされちゃったのか?

 でも精霊女王のあの言葉だ。俺の魂の事を言っていた。もしかして精霊女王には俺がやり直しの生だと分かっているのではないかと思ってしまう。

 いやいや、余計な事は考えないでいよう。引き寄せてしまうと嫌だ。


 ミミと使い魔の契約をした日の夜だ。

 俺はスピーッと気持ち良く眠っていた。


「らうみぃ……らうみぃ」

「あぶぁ……」


 パタパタと羽でほっぺを叩いて起こされた。

 なんだよ、ミミ。俺は寝ているんだよ。桃ジュースなら朝まで我慢だぞ。


「しぇいれいじょうおうしゃまが、およびみゃ」

「あばぁ?」


 なんだと? 俺は眠い眼をゆっくりと開けた。

 ここは、どこだ? 真っ白で何もない。ただただ眩しい。目が眩む。


「しぇいれいじょうおうしゃまの、しぇかいみゃ」


 バッサバッサと俺の周りを飛んでいるミミ……て、え? バッサバッサ? えぇッ!?


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんか物騒な人(精霊女王)が出て来ましたよ。ラウちゃんどうする❓あの母様さえ警戒してしている精霊女王とはどんな人なのか⁉️・:*+.\(( °ω° ))/.:+ [一言] 寝ている時の呼び…
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