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☆第12回ネット小説大賞入賞☆重版御礼☆稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜  作者: 撫羽
第3章 みんなで行こう!

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240/270

240-2025クリスマスSS 言えねー

※本編には全く関係ありません。まだ0歳のラウです。


 お邸の長い廊下を俺は行く。張り切って手足をバタバタと動かして。


「あばばばばー!」

「らうみぃ、しょんなに、いしょぐことないみゃ!」

「あばばばばばーッ!」

「坊ちゃま、階段ですよ! フクが抱っこします! 止まってください!」


 追いかけてきたおフクが大きな声で俺を呼び留める。

 どうしてそんなに急いでいるかって? だって今朝起きたら、外が真っ白な世界だったんだ。

 昨日、俺が寝る頃はまだ降っていなかった。なのに、起きたら一面真っ白に雪が積もっていた。

 ちょっと感動しないか? 誰の足跡も付いていないところを歩きたいと思わないか? ワクワクするじゃないか!


「ぶきゅー! あぶあぶ」

「はいはい、そんなに急がなくても、数日は溶けませんよ」


 前の時はどうだったっけ? それも覚えていない。きっと前の時の俺は、雪なんてなんとも思ってなかったんだ。こんなに綺麗な世界なのにさ。

 どうりで冷えると思ったんだ。空気が凛として澄んでいるように感じる。時々木の枝からバサリと雪が落ちる音だけして、あとは雪に音を吸い込まれているみたいに静かだ。

 俺がいつも歩く練習をしている庭の小道、そこも雪に埋もれてどこが道なのか分からなくなっている。あそこがいいな。誰もまだ足を踏み入れていない。


「あぶあぶ」

「あら、降りたいのですか? だめですよ。汚れます」

「あばー」


 大丈夫だよ、ちょっとヨチヨチとそこを歩くだけだ。


「あぶぶ」

「じゃあ、フクと手を繋ぎましょう。良いですか?」

「あう」


 よし、でも俺が先に足を出すぞ。

 おフクに降ろしてもらって、ちゃんと手を繋ぐ。真っ白な雪の上に、一歩足を出そうとした時だ。


「ラウーッ!」


 父が正面からダッシュしてきた。ああ……なんてこったい。


「ラウ! ラウは初めてだろう!? 雪だぞ! 冷たいのだぞ!」

「ぶぶぶぅ」


 俺が最初に歩こうとしていたのに、誰の足跡も付いていなかったのに、そこを父がダッシュしてきやがった。もちろん、後ろにはアンジーさんもいる。

 もう、俺の楽しみが……いや、小さな野望が台無しだ。真っ白だった雪の上に、くっきりと二人の足跡が付いているじゃないか。


「あぶー!」


 俺は思いっきり文句を言った。つもりだ。


「らうみぃ、おこってるみゃ」

「なに? どうしてだぁッ!? またミミが何かしたのかぁッ!?」


 ちげーよ! 父とアンジーさんのせいだよ! くっそう、俺はヨチヨチあんよの準備をしていたというのに。


「ちがうみゃ、ちちしゃまと、あんじーしゃんのせいみゃ」

「なぁにぃッ!? 私とアンジーだとぉ!? ミミ、嘘をつくんじゃないッ!」


 そう言いながら、父はミミの頭をガシィッと掴み持ち上げた。ああ、だからさぁ、もう熱血すぎるんだって。


「アハハハ! 何やってんッスか!?」


 笑ってるけど、アンジーさんもだからな。


「は、は、はなしゅみゃ! みみはわるくないみゃ!」

「ならどうしてラウは怒っているんだぁッ!」

「だから、ちちしゃまと、あんじーしゃんが、あしあとをちゅけるからみゃ!」

「足跡???」


 まあ、そりゃ『?』になるよな。ちゃんと説明してくれよ。て、ミミにそれを望むのは無理があるか。


「あらあら、坊ちゃまが今そこを歩こうとしておられたのですよ。誰の足跡も付いていないから、喜んでおられたのだと思いますよ」


 まあ! おフクったら完璧じゃないか! 俺は感心を通り越してびっくりしたぞ。さすが、俺の乳母だ。


「なんだとぉッ! ラウ!」


 ポイッとミミを投げ捨てて、俺を抱き上げる父。

 こらこら、一応ミミは飛べるから良いものの、そんなことをしてはいけません。


「ラウ! 父様が悪かった! あっちにまだ足跡が付いていない場所があるから、そこに行こう!」

「あばー」


 ええー、もういいや。テンション下がっちゃった。


「あぶあぶ」

「あら、ジュースですか? お部屋に戻りますか?」

「あう」

「ラウ! 父様と歩こうなッ!」

「あばー……」


 ええー、俺ちょっとお喉が渇いちゃったんだけど。


「アハハハ! 殿下、もう嫌みたいッスよ」

「アンジー! お前も悪いんだぞッ!」

「いやいや、なんでッスか!?」


 父とアンジーさんってさ、いつも賑やかで仲良しだね。

 結局俺は父に抱っこされて、四阿の方へ連れて行かれた。

 そこは、誰も入っていない新雪が真っ白な絨毯のように残っていた。これはちょっとまたテンションが上がっちゃうぞぅ。


「どうだ? 綺麗だろう?」

「あばー」

「この綺麗な世界を守らないといけない。皆の平和な暮らしもな」


 父が雪景色になっている庭を見ながらそう言った。

 庭の木や植木の枝に雪が綿帽子のように積もっている。風が吹くと、どこからかハラハラと雪が舞ってくる。カラリと晴れた太陽に反射して、キラキラしていて目も眩む雪景色だ。

 シンと静まり返って、いつもの朝とは少し違う。雪のせいで、馬車も走れないのだろう。


「あぶあぶ」


 俺は降ろしてくれと、父の腕をペチペチと叩く。


「歩くか? 父様と手を繋ごう」

「あう」


 大きな父の手に支えてもらいながら、一歩一歩ゆっくりと雪の上を歩く。空は薄い水色の空が広がっている。

 父はこの大きな手で国を守っているんだ。俺も父に守られている。ああ、俺がもっと大人だったなら……


「ラウ、ゆっくりでいいと前に言ったのを覚えているか?」


 父がそんなことを言い出した。俺が生き急いでいるみたいに、思っているのか?

 そんなことはないぞ。やりたいことがいっぱいで、早く大人になりたいとは思っているけど。


「ラウが、立った。ラウが喋った。ラウが歩いた。全部私たちには宝物なんだ。ゆっくりでいい。ゆっくり私たちに希望を見せて欲しい」


 俺の成長が希望だと言った。前の時、俺は一体何を見ていたんだ。こんなに愛情を込めて育ててもらったというのに。

 今回は俺が守るから、必ずあの最悪の最期を変えてみせる!


「何を考えているのか、私には分からないが。どんなことがあっても、私と母はラウの味方だ。ラウを心から愛している」

「あぶ」


 本当に愛おしそうな表情をして俺を見る父。その父を見上げながら、俺は一歩を踏み出す。

 この一歩が大事なんだ。父がいうように急がないよ。ちゃんと一歩ずつ着実に歩いて行く。


『ふふふ、ラウったら忘れているのかしら? 今日はホワイトクリスマスね。ラウ、メリークリスマス!』


 突然、精霊女王の声が頭の中に響いた。ここでそれを言うか!? また見ていたんだな。


「あばー!」

「ラウ、どうした? もしかして、私の言っている意味が分かっているのか?」


 そうか! クリスマスなのか! あー! 言えねー! 喋っても『あばー』とかしか言えねーじゃん!

 なんてこったい、来年は父と母にちゃんと言うぞ。

 メリークリスマス! てさ。


「あぶあ!」


 俺は思わず決意の拳を上げた。今日はクリスマスなんだってさ。

 メリークリスマス!


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


いやぁ、ラウのお話が全然アイデアが浮かばなくて焦りました。できたてホヤホヤです(^◇^;)

赤ちゃんラウを久しぶりに書きたかったのです。

いかがでしたでしょうか?

今日、ラウ②の見本誌が届きました。クリスマスプレゼントみたいだと思いませんか?

もしや、担当さんの粋な計らいだったのでしょうか?(^◇^;)


明日はお休みさせていただいて、明後日から通常の投稿に戻ります。

でもまたお正月が来ますからね〜。

どうしましょう?(^◇^;)

来年はラウ②が発売になります。

よろしくお願いいたします!(ᴗ͈ˬᴗ͈)♬♡

挿絵(By みてみん)

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