231-プチ加護
「とうしゃま、ふぇん、ちょっとめんどうれしゅね」
「ラウ、老師か?」
「しょうれしゅ」
「面倒とか言うでないぞ! ラウ坊の言うことは普通に分かるのだからな!」
おっと、そうだった。つい、それも忘れちゃってた。
「ふぇんのこえらけでも、だめなの?」
「ラウ、俺の声を聞こえるようにするということは、俺が加護を授けることになる」
「なんじゃ? フェンはなんと言っておるんじゃ?」
「ろうし、ちょっとまってね」
小さな手を出して、待ってと訴える。いちいち本当に面倒なんだ。
「ラウ、お前ちょっと冷たいぞ」
「けろ、とうしゃまもおもうれしょう?」
「まあ、少しはな」
少しとか言って、通訳するのは父だからきっと父の方が面倒に思っているはずだ。ジッと見ると、父は目を逸らした。ほら、思っていそうだ。
「フェン、それは駄目なのか?」
「精霊の加護を、そうホイホイ授けるわけにはいかねーな!」
あれれ、そうなんだ。俺の周りには授かっている人が、ホイホイいるけどね。
「ラウ、その言い方だ」
「らって、ふぇんもいったれしょう?」
「アハハハ! ラウには敵わねーな! じゃあ俺と会う時限定にしよう。それで不自由はないだろう?」
「ああ、それで十分だ」
「しょれは、かごにならないの?」
「まあ、言ってみればプチ加護ってとこか? アハハハ!」
ずっとソワソワして焦れながら俺たちを見ている老師。俺と父の会話の内容だけで勘付いたのだろう。堪えながら、ニマニマしている。口元が、緩んできているぞ。
「老師、フェンと会う時限定で言葉が分かる小さな加護を授けるということで良いですか?」
「か、か、加護だとぉッ!?」
おや、お目々を大きく見開いて驚いている。ほっぺがほんのり桃色になっているのは興奮しているのかな?
「しぇ、しぇ、しぇいれいの、加護をぉぉッ!」
ああ、とうとう天を見上げてしまった。両手まで掲げている。大げさだ。
「ラウ、そんなことはないんだぞ。俺たち精霊の加護は、それほど貴重なものなんだ」
「しらなかった」
「アハハハ。ラウの周りは持っているからな!」
そうだよ、俺だけじゃなくて両親も、おフクやコニスにアンジーさんだって持っている。
ちなみに、おフクは一応ミミが授けている。全く機能をはたしてないけど。だっておフクはリンリンやフェンが話すことが分からないもの。コニスとアンジーさんは、それぞれリンリンとフェンの加護(小)を授かっている。それで話していることが分かるんだ。
でもミミは普通に話すから、加護がなくても分かる。あんまりありがたみが感じられない。
この加護(小)てのが、加護を授けた精霊の言葉が分かり姿も見えるというものらしい。
老師に授けるのはもっと小さなものだ。会う時限定でフェンの言葉が分かるようにする。ま、ミミの加護は全く意味ないのだけど。
「らうみぃ、ひどいみゃ。みみはしぇいれいみゃ」
「わかってるって」
で、そのプチ加護を授けても大丈夫なの?
「なにしろプチだからな。対して影響はないぞ」
フェンがそういうなら、それに甘えよう。父を見ると、頷いている。
「ふぇ、ふぇ、フェンちゃんッ! ワシに加護をぉッ!」
「いやいや、それってずるくないッスか!? 俺だってフェンの加護を授けてもらうのに、しばらくかかったんッスよ!」
ここでアンジーさんから物言いが付いた。アンジーさんは父の側近だ。側近になってからすぐにフェンの加護を授かったわけではないのだって。側近として一人前になるまで、お預けだったらしい。
「なのに、老師にだけずるいッスよ!」
「アンジー! 何言っとるんじゃ! 邪魔するでない!」
「邪魔とかじゃないッス! 正論ッス!」
もうどんどん収拾がつかなくなってしまうじゃないか。
「アンジー、加護というほどでもないぞ。本当にプチだ」
「なんじゃ?」
「老師、加護と言ってもプチだそうです」
「なんじゃぁッ!? プ、プチとな!?」
だからまたいちいち説明しないといけない。プチでも老師は嬉しいらしい。お目々をキラキラさせながら父を見つめている。もうお手々はお祈りポーズだ。
「で?」
「で? とは何です? 老師」
大きな期待を込めて老師は、父に聞いた。
「だから殿下、フェンちゃんの加護じゃ。いつくれるのじゃ?」
「なんだ、もう授けたぞ。さっきチョチョイっとな。なにしろプチだからなッ! ワッハッハッハ!」
フェンったらツボにはまってしまったのか、さっきからずっと笑っている。
「ぷちなんて、きいたことないみゃ」
「そりゃそうだろう。俺だってそんなの初めてだ」
「えー、けどずるいッスよね」
アンジーさんは納得いかならしい。
「えっとぉ、とってもちいしゃい、かご? いちおう、かごなの?」
「まーなー! アハハハ!」
これは怪しいぞ。きっと加護と言っても本当に大したことがないのだろう。
「だからラウ、言ったじゃないか。俺の言葉が分かる程度だ」
「なんじゃとぉーッ!? もっとこう、幻想的な神秘的な儀式みたいなものはないのかぁッ!?」
「アハハハ! 何言ってんだ!」
「フェンちゃんッ! あっけなさすぎるじゃろう!」
ね、老師は気が付いていないみたいだけど、もうフェンの言葉を理解している。だってフェンと喋っているもの。そこに気付こうよ。よほど、加護という言葉に舞い上がっているのか?
「老師、もうフェンの言葉が分かっているでしょう?」
「ふぉッ!? 本当じゃ! 分かるぞぉッ!」
父に言われてやっと気付いた老師、遅いよね。
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この後の方に2巻のカバーイラストを公開しております!
イラストを担当してくださっているShabon様は、とっても早く完璧なイラストをあげてくださいます。
このカバーイラストも、私なにも言ってませんもん。(^◇^;)
ラウのお洋服や精霊女王、魔王の衣装も全部お任せです。魔王は今回新たに描いていただいたのですが、ラフの時点で完璧でした!
本当に、凄いイラストレーターさんです。
肝心の原稿ですが、まあなんとか(^◇^;)
次は校正かな?てとこまで漕ぎ着けました!
来年1月に皆様にお届けできるよう、頑張ります(๑•̀᎑•́)و✧




