219ーマジで驚いた
母が父に相談すると言っただけなのだけど、老師はもう嬉しそうに一口ドーナツを頬張っている。まだ決まったわけじゃないのにね。
「問答無用で断られても仕方ないと思っておったのじゃ。それを殿下に相談してくれるというのは、ワシにとっては一筋の光明なんじゃ」
最初から母は断ると思っていたのだね。そりゃ、断られる可能性の方が高いだろう。だって使い魔の存在は秘密なのだから。秘密になっていない鳥さんもいるけど。
チラッとミミを見ると、桃ジュースを飲み終えてせっせと羽繕いをしていた。
「みゃ? らうみぃ、なんみゃ?」
「なんれもないよ」
「しょうみゃ? ももじゅーしゅはおいしかったみゃ」
「しょう、よかったね」
「まらまら、ほしいみゃ」
そんなことを言いながら、横目でおフクを見ている。おフクったらそれに気付いているのに、知らんふりを決めている。キリがないからね。ミミはいつでも、桃ジュースを要求するから。
その老師はレイラちゃんと一緒に、満足げに帰って行った。
老師は前にフェンと話せるようになったことが刺激になり、能力が上がったらしい。上がったというか、呪いの類に敏感になった。
これは精霊と接したりすると、起こることもあるらしい。だけど、どんな能力が上がるのかは人それぞれだそうだ。
あの時、老師は思っていたのだろう。自分にも呪いが見えたらと。その思いが、呪いの類に敏感になってしまった原因だろうとフェンが話していた。
老師は老師で、色々考えているんだ。じれったく悔しい思いもしているのだろう。ああ見えて老師は『究極の白魔術師』なんて二つ名で呼ばれていたこともあるのだから。老師に救われた人たちだって多いはずだ。
「かあしゃま、ぼくがみみといきましゅか?」
「あら、ラウはそんなことを考えなくても良いのよ。私がお父様と相談するわ」
優しく微笑んだ母。母も何か考えているんだ。だから老師を門前払いしなかった。父に相談するなんて選択をした。
なんだか呪いばかりで嫌になっちゃうよね。前の時はどうだったのだろう? 自分が3歳の時なんて、全然覚えてないからなぁ。
でもあの国は変わっていないと思うけど。俺が0歳の時に撃退したあの深紅の髪の女性。あの事件も起こっていたのだろうか?
前の時にも起こっていたのなら、誰かが捕まえたのだろうか?
『捕まえてないのよ』
頭の中に直接声がした。この声は精霊女王だ。また俺の考えを読んだな。さっきのことも見ていたのだろう。
『あら、だってリンリンにかかわることですもの』
そっか、そうなるか。もし母が老師の話を受けるとしたら、リンリンも姿を現すことになるだろうし。
前の時に、リンリンとフェンの力を借りなかったのかな?
『そんなことないわよ~。リンリンもフェンも協力したわ。でもね、今回あの女性を捕まえられたのは、なによりラウの存在が大きいわ』
そっか。俺が直接転移してしがみ付いちゃったものね。
『ふふふふ、可愛かったわね~』
今でも俺は可愛い3歳児だぞ。
『あら、そうね』
でも前の時にあの女性を捕まえられなかったとなると、今回みたいに呪いを封じることはできなかったんじゃないかな? なら国内で、まだ好き勝手をされていたかも知れない。
『そうなのよ。だから大変だったわ』
たとえ地方の下位貴族だといっても、領地を持っている貴族もいる。商売をしている貴族もいる。裕福な貴族を狙っていただろうから、そんな貴族がいなくなると大変だ。
領民が困るところもあっただろうし、商品が流通しない場合もあっただろう。この国の経済が脅かされたってことだ。あの国、やっぱ王に会いに行かないと。
そう思っていたら母に声を掛けられた。
「ラウ、黙り込んでどうしたの?」
「かあしゃま、なんれもないれしゅよ」
「そう? 老師のことは、ラウが心配することじゃないのよ」
「あい、かあしゃま」
けど気になるよね。老師は呪いと確定はしていなかった。何か変だと言っていた。なんだろう? めっちゃ気になるじゃないか。
そんな時、サイラスが慌ててやって来た。
「奥様、ラウ坊ちゃん」
サイラスが慌てるなんて珍しい。どうしたのかな?
「ラウ坊ちゃんにお客様です。奥様、極秘で来られたそうです」
「まあ! そんな危険なことを」
「ご令嬢が、心配だから少しでも会いたいとおっしゃったそうです」
「まあ! こちらにお通ししてちょうだい」
ん? なんだ? 俺に客なんてあるわけないんだけど? 来るとしたら老師くらいだ。
サイラスが母に言われて案内してきた、俺のお客様。それはなんと。
「らう、しんぱいしたのよ~!」
鈴の音みたいな可愛らしい声がした。俺は自分の耳を疑ったよ。マジか? え? 本当に?
だって危険じゃないか。この家は見張られているかも知れない。そこにやって来るなんて、もし素性がバレてしまったら……と色々考えて頭の中がグルグルしたのだけど、本人を目の前にすると一瞬で頭の中が真っ白になっちゃった。
「あ、あこちゃん!?」
俺の目の前に、愛しいアコレーシアが立っていた。いつもの貴族の令嬢っぽいワンピースではなくて、シンプルなちょっとお金持ちの庶民といった感じのブラウスとスカート姿のアコレーシア。きっと変装して来てくれたんだ。
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宜しくお願いします。
さてさて、予想外のお客様です。皆様覚えておられるでしょうか?
ラウの婚約者になるはずの、アコちゃんです。
主人公がちびっ子で、ちゃんとした好きな人を書くのはこれが初めてです。
女の子らしい女の子を書くのが苦手なのです(^◇^;)
ルルやココやリアみたいな元気で勝ち気な女の子は良いのですけどね。
あ、ルルは私の処女作の主人公です。
ご存じの方はいらっしゃるのかなぁ?(^◇^;)
明日はロロを投稿予定なのですが、いつもの如く動物病院なので投稿が遅くなります。
よろしくお願いいたします。
ラウの②はどうなのかな〜?ˎ₍•ʚ•₎ˏピー!




