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206/216

206ー行くよー!

 騒いでいるアンジーさんはスルーして。


「みみ、のせて!」

「みゃ!」


 身体がフワリと浮いて、パフンとミミの背中に着地だ。父とアンジーさんはキョトンとしているが、相変わらずサイラスはポーカーフェイスだ。

 だけど、分かったぞ。ちょっぴり額に汗をかいていて、蟀谷がピクピクしている。サイラスも結構驚いているらしい。


「ミミはこんなことができるのに、普段はあれか」

「そうッスよね」


 二人共酷い言いようだ。確かにいつもは、抜けてるけど。

 じゃあ、出発しよう!


「みみ、いこう~!」

「みゃみゃみゃ!」

「しぇいれいじょうおう、いってくるね~!」

「気を付けるのよ~!」


 精霊女王が手を振ってくれている。ミミに乗るのって好きなんだ。だって気持ち良いもの。

 ミミが大きく羽搏くと一気に上空に上がる。その時に、下からブワンと風が舞い上がるんだ。

 でもね、ミミがちゃんとシールドを展開してくれているから大丈夫だよ。

 俺たちが飛ばされないように、浮き上がらないように重力魔法も使ってくれている。これでもミミはできる鳥さんなのだ。


「ひえーッ! 胃がひっくり返るー!」

「アハハハ! これは気持ち良い! フェン! お前もできるのか!?」


 そっか、フェンだって本当の姿ってのがあるのかも知れない。

 フェンが父の肩のところから顔を出している。


「おうよ! 俺だって乗せて飛べるぞ!」

「そうか! それは凄いぞ!」


 父とアンジーさんは賑やかだね。ちょっとテンションが高くなってないか?


「坊ちゃん、いつもこうして行かれていたのですか?」


 一人静かだったサイラスが聞いてきた。


「うん、しょうらよ」

「0歳の時からですか?」

「しょうしょう」

「はあ~、もうお一人でこんな危険なことはなさらないでください。私がお供いたしますので」

「えー、あははは! ありがと」


 あら、心配されちゃった。でも大丈夫だよ。

 思えば結構無茶をしていた。だって0歳だったもの。

 あばー! と言いながらミミと一緒にいろんなことをした。精霊女王にも心配されてたっけ。


「ふふふ、たのしいんら」

「楽しいのですか?」

「しょう、みみといっしょにね。あははは」

「坊ちゃんは無茶をなさる」

「しょうかな~」


 だって最悪の未来を回避するためなら何でもするさ。

 それになにより、本当に楽しいんだ。無気力に生きているよりずっといいと思うよ。俺は少なくとも、前の時よりずっと充実している。

 周りの景色が変わってきた。聳え立つ山脈を悠々と越えてミミは飛ぶ。


「ラウ、これは北の山脈だろう? どうして寒くないのだ?」

「とうしゃま、みみのしーるどれしゅ。まおうじょうにはいるときは、ぼくがみんなにしーるどかけましゅ」

「そうなのか?」

「あい。ふちゅうらと、いきてられないれしゅ」

「なんだと!?」

「ラウ坊ちゃん! 生きていられないんッスか!? そんなに危険な場所なんスか!?」

「アンジー、落ち着きなさい。魔国は瘴気が濃いというでしょう。だからですか? 坊ちゃん」

「しょうしょう。まおうにあったら、まおうがしーるどしてくれるからね」

「そんな場所にラウは0歳の時に行っていたのか!?」

「しょうれしゅ。とうしゃま、たのしかったれしゅ」

「楽しいのか! アハハハ! ラウらしい!」

「ちょ! 殿下! 笑い事じゃないッス!」


 はいはい、アンジーさんは少し落ち着こう。もうすぐだよ。

 眼下の景色が山脈から黒い靄の掛かった魔国へと変わっていく。まだ昼間だというのに、薄暗くて不気味な雰囲気がする。


「ラウー! 一緒に行くのれしゅ!」


 あ、ごめんね。忘れてたよ。後ろからピューッ! と弾丸のように飛んできたのはバットだ。ミミのシールドがあるから、すぐ近くを飛んでいる。


「ばっと! ごめんね!」

「平気なのれす! 魔王しゃまに会うのれしゅ!」


 嬉しそうだ。パタパタと蝙蝠みたいな翼を動かして飛んでいる。

 俺たちは一度精霊界を経由しているから、ショートカットさせてもらったようなものなんだ。

 そうじゃないと、お邸からかなりの距離がある。それなのに、バットは追いついてきた。どんだけ速く飛べるのだろう?


「ばっと、はやいね〜」

「当たり前なのれしゅ! バットは魔王しゃまのペットなのれしゅ!」


 ペットだから速いとは? 意味が分からないけど、それだけ魔族は身体能力が高いのだろう。

 バットじゃなくても、魔族は軽く山脈を越えてくるんだ。そんな種族に勝てるわけがないじゃないか。


「らうみぃ、しょろしょろみゃ」

「うん、みみ」


 ミミに言われて下を見ると、魔王城が見えてきた。相変わらず、おどろおどろしい真っ黒な城だ。周りをバットの仲間が群れて飛んでいる。


「魔王しゃまのお城なのれしゅ! かっちょいいれしゅ!」

「とうしゃま! まうえにちゅいたら、てんいしましゅ!」

「ラウ、大丈夫なのか!?」

「いやいや、やっぱ帰りましょうよ! めっちゃ怖いッス!」

「これはなんて不気味な……」


 そうだよね、かなり不気味だ。でも、もう慣れちゃったよね〜

 魔王城の真上に着くと、俺の出番だ。


「みみ、てんいしゅるよー!」

「ラウ! シールドは俺がやろう!」


 いつものお顔だけニュウッと出すのではなく、ポポンと全身で登場のフェンだ。


「シールドは任せろ。転移に集中するといいぞ!」

「ふぇん、ありがと!」


 フェンがサポートしてくれると助かるね。じゃあ、行くぞ!


「みみ、とうしゃま! いくよー!」

「いくみゃ!」

「おう!」

「ひぃーッ!!」

「……ッ!」


 シュンッ! とみんなで転移して魔王城へ!


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


遅くなってしまいました!すみません!

いやぁ、もうこの数日は老犬介護で(^◇^;)

運転中に車の中で吐かれた時は大惨事でした!(゜Д゜≡゜Д゜)


やっと魔王城にやってきました。

ラウは3歳になってからお利口さんでしたから、ちょっとやんちゃなところも出したいなと。

転移する先はもちろん……!?


ラウ①発売中です!

まだの方は是非手に取っていただけると、めっちゃ嬉しいのです!ദ്ദി ˃ ᵕ ˂ )

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
将来の話、ラウの子供がラウ似だとすごく活発な子になりそう笑
撫羽さんありがとうございます、幸いな事に雨の被害は有りませんでした。 ワンちゃんの体調が心配ですね、まだまだ暑い日が続いているので撫羽さんもお身体大切して下さい ラウちゃんは、きっとまた魔王様の顔に…
まさか⁉︎ 全員で顔面ダイブ⁈
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