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201/216

201ー馴染んじゃってる

 誰もなにも言わないけど、今この場にいるのはとんでもないメンバーなんだ。


「ラウ坊ちゃん、あんまり考えたら駄目ッス」

「あんじーしゃん、しょう?」

「はい、そうですね。でも中心人物はラウ坊ちゃんッスけどね」

「ええー」


 いつの間に俺が中心になっちゃったのかな?


「魔王、やはり呪いの反動があるから魔族でも使わないのだろうか?」

「ああ、その通りだ。基本的に魔族は寿命が長いし、人より身体能力や抵抗力も高い。だがあの反動だけは駄目だ。あれは命を持って行かれる。呪いとは自分の命や血液を媒体にしているものだからな」

「フェンがそのようなことを言っていたが、魔族でも避けるほどのものなのだな」


 それをホイホイと使っているデオレグーノ神王国のあの種族だ。

 老師が気に病んでいた深紅の髪の女性の最後も、普通ではなかった。それをあの種族は知っているのだろうか? それでも使うほどのことがあるのだろうか?


「あの国はね、国民が洗脳されているようなものなのよ。国の上層部からの命令は絶対なの」

「らって、じぶんのいのちにかかわるのに?」

「そうよ。そんなの問題じゃないのね」


 いやいや、命以上に大事なことなんてないだろう? あの国の王は何を考えてんだよ。やっぱあれだな。


「ふむ……」


 俺は短い腕を無理矢理組んで、片手をピトッと額にくっつける。考える時の癖だ。


「ラウったらまた何か考えているわね」

「らって、しぇいれいじょうおう。やっぱあわなきゃ」

「ちょっと待って! ラウ、誰と会おうというの!?」


 母が驚いて声を上げた。だってさ、こんなのいつまで続けるつもりなんだよ。こっちが撃退しても、懲りずに次から次へと送り込んでくる。そしてまた呪いだ。

 それって何人もの術者の命が危ないってことだろう?

 呪いを使うことで自分がどうなるのか分かって、納得してやっているのか? そうだとしても、それは洗脳なのだろう?

 そんなの駄目だ。人の命の尊厳ってものをないがしろにしているじゃないか。それは許せないなぁ。

 そんなことだから、無謀にも魔族に戦を吹っ掛けたりするんだ。


「ラウ、会うつもりなのか?」

「とうしゃま、らってしょれで、なんにんものひとが、ぎしぇいになってましゅ」

「だからラウ、我等がプチッといっとこうかと言ったではないか」

「まおう、しょれはちがうの」

「そうか? だが、面倒だろう? あいつら凝りもせず何度も同じことをしてくるぞ」

「魔王、魔国にもそうなのか?」

「ああ、だが我が国に辿り着く前に倒れるんだ。なにしろ山脈があるからな」


 ああ~、てお顔をみんなしている。それでも何度も魔国にちょっかいを出している。いや、正確には辿り着けていないから、ちょっかいを出そうとしている。


「面倒なのですよ、あれを送り返すのも」


 アースランがため息をつきながら、本当に面倒そうに言った。前にもアースランは面倒だと言っていたものね。


「放っておけば近い将来どこかの国に戦を吹っ掛けるかもしれないな」

「それは昔から何度もあった。いつも負けそうになるとサッサと撤退するんだ」


 そうそう、逃げ足だけは早いと言っていた記憶がある。前の時の記憶だけど。

 いつも負けているのに、魔国に戦を仕掛けるんだ。何をどう考えたらそうなるのか、全く分からない。意味不明だ。


「ラウ、行くなら私も一緒に行こう。というか、私が連れて行こう。今のラウでは無理だろう?」

「えっちょ、まおう。みみがいるから、らいじょぶらよ」


 自分の名前が出たものだから、夢中になって桃ジュースを飲んでいたミミが「みゃ?」と声を上げてこっちを見た。


「みゃ? みみみゃ?」

「しょうらよ。ももじゅーしゅ、おいしい?」

「おいしいみゃ。めっちゃおいしいみゃ!」

「しょう、よかったね~」


 ミミが会話に入ってくると余計にややこしくなりそうだから、桃ジュースを飲んでいてほしい。秘密をバラされても嫌だしね。


「みゃ? らうみぃ、なんみゃ? かんじわるいみゃ」


 そうかよ、それはごめん。


「ラウ、ミミとどうやって行くの?」


 おっと、これは俺が自分でちょっとバラシちゃった感じか? 母の疑問はもっともだ。


「えっちょ、みみはしぇいれいらから」

「その能力があると言うの?」

「あい」

「あら~、ミミだって優秀な精霊だもの。でも私も手伝うわよ」


 精霊女王ったら、頼りになるじゃないか。うまく話しを反らしてくれる。ありがとう。


「うふふ」

「なんだか、腑に落ちないわね」


 おや、母は簡単には納得してくれないらしい。そりゃそうだよね、いくら優秀な精霊だと言っても、ミミは小さな鳥さんの姿をしているのだから。


「母殿、心配はいらない。我等が守る」

「心配しますわよ。私の子供ですもの」

「その通りだ。私の息子なんだ、行くなら私も一緒に行こう」

「とうしゃま、けろ……」

「ラウが危険を冒してまでも行こうと言うのだ。父である私も行かないでどうする?」

「我が連れていってやろうな」


 ふふふん、と胸を張っている魔王。意外にも父と気が合うみたいだ。

 もっとさ、ええー! て驚くだろうと思っていたのに、両親の順応性の高いこと。普通に話して馴染んでいるのだから驚きだ。


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


気付かなかったのですが、201話です!

200話でどうして気付かなかったのでしょうね(*´・д・)?

投稿分を必死に書いているのに(^◇^;)


今年はおかげさまで、年末まで忙しくなりそうです。2作品の投稿と、5作品の書籍化作業に追われそうです。有難いことでごじゃいます。

皆様のおかげです。

私はドドンと売れるタイプではないのですが、続編を出させていただく程度には頑張っております。凄いのは、①から初版数があまり減らないことです。続けてご購入してくださる方が多いということですね。本当に皆様のおかげです。

ありがとうございます!

ラウも最後までよろしくお願いします(*ᴗˬᴗ)

1巻好評発売中でっす!

挿絵(By みてみん)

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前回は、エアコンが直って嬉しくて嬉しくて感想を忘れてました。 ラウちゃんの秘密が色々バレてきました、ラウちゃん頑張れ
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