表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

196/216

196-心配かけちゃった

 俺はアンジーさんの馬に乗せてもらって、お邸に帰ってきた。馬ってさ、乗ってみると高いんだよ。3歳の俺にしてみれば未知の高さだ。いや、未知じゃないな。


「ひゃーッ! あんじーしゃん、たかいね!」

「怖くないッスか?」

「うん、こわくないよ!」


 だってミミに乗っている時はもっと高いもの。


「みゃ、みみのほうが、たかくとべるみゃ」

「ミミちゃん、そりゃ鳥さんと比べたら駄目ッス」


 とっても和やかに平和な感じで邸に戻ると、庭で両親とおフクがソワソワしながら庭先で待っていた。


「ラウ!」

「ラウ坊ちゃま!」

「あー! たらいまー!」


 馬の背からブンブンと手を振る。ニカッと笑いながら。


「ご無事ですよ、怪我もありません」


 アンジーさんに抱っこされて降ろしてもらうと、母とおフクが駆け寄ってきた。


「ラウ、無事で良かったわ」

「坊ちゃま、申し訳ありません! 私が抱っこしていたのに」


 ほら、やっぱりおフクは自分の責任だと自分を責めている。

 いきなりヒョイと搔っ攫われたんだから、不可抗力だよ。不意を突かれたのだから仕方ない。


「ふくは、わるくないよ」

「坊ちゃま……」

「らいじょぶらよ、ふく」

「フクの所為じゃないって言ってるのに聞かないのよ」


 そう言いながら、母は俺を抱き上げ確かめるみたいにギュッとした。

 平静を装って微笑んでいるけど、顔から血の気が引いているし指が小刻みに震えていた。心配かけてしまった。母の首に手を回して抱きつく。


「かあしゃま、らいじょぶれしゅよ。たらいま」

「ええ、ラウ。おかえりなさい」


 やっと母の白い頬に血の色が差してきた。俺の額に自分の額をくっつけて微笑んでいる。


「ふふふ、かあしゃま」

「心配しちゃったわ」

「らいじょぶれしゅ」

「みみがいるから、らいじょぶみゃ」

「あら、ミミが助けてくれたのかしら?」

「ちがうみゃ、らうみぃのてんいみゃ」

「じゃあミミは、役に立ってないじゃない」

「みゃみゃみゃ! しょんなことないみゃ! みみもひっしで、ちゅかまってたみゃ」


 そうそう、俺の肩に掴まってただけだね。

 父も一緒に出迎えてくれた。


「ラウ、無事で良かった。アンジー、サイラス、ご苦労だった」

「はい、殿下」

「サイラス、そいつか?」


 サイラスが男を抱えていた。まるで物みたいに脇に抱えている。男はまだ気がついていないらしくて、手足をだらりとして力が入っていない。


「はい、あとは護衛が」

「ああ、一体どこのどいつだ」

「これからしっかり話してもらいましょう」

「頼んだぞ」

「はい、お任せを」


 サイラスさんがクイッと眼鏡を上げて、男を担いで行った。きっとこれから尋問という名の拷問をするんだぞ。怖い怖い。


「みみはちゅかれたみゃ、ももじゅーしゅがのみたいみゃ」


 はいはい、我慢していたものね。


「ふく、みみにももじゅーしゅを、あげてちょうらい」

「はい、ご用意しますね」


 おフクの表情がまだ硬い。これはまた後でもう一度ちゃんと話さないとな。


「フクは責任感の強い子だから」

「しょうれしゅね」

「私もまた話してみるわ」

「かあしゃま、おねがいしましゅ」


 今更おフクがいなくなるのは嫌だぞ。俺の乳母はおフクしかいない。もう3歳だから乳母って歳じゃないのだけど。

 少し遅くなったけど、おフクとメイドさんが用意してくれて母と一緒にお昼ご飯だ。

 ミミも桃ジュースをもらって、無心に飲んでいる。


「ふぅ~、やっと落ち着いたわ」


 母がスープを一口飲んで言った。俺もスープを飲む。温かいものを飲むと、自分も緊張していたのが分かった。強張っていた身体が解けていくみたいだ。やっとお腹が空いてきた。

 父とアンジーさんたちは忙しそうだ。さて、サイラスの尋問に耐えられるのかな? 黒幕は誰なのかな? そう待たなくてもきっと分かるだろう。


「らうみぃ、しょれおいしいみゃ?」

「うん、あたたかくておいしいよ」

「しょうみゃ? みみもちょ~っとだけたべるみゃ?」

「らから、みみはたべられないれしょう?」

「しょうらったみゃ!?」


 ミミって食いしん坊だよね。何度も食べられないと言われてるのに、いまだに食べると言うのだから。忘れっぽいのか?


「午後はもうゆっくりしましょうね」

「かあしゃま、きょうはまら、あこちゃんにおはなをもっていってましぇん」

「あら、今日も行くの?」

「あい、まいにちいきましゅ」

「ふふふ、じゃあお昼を食べたら行ってくる? 偶には私も一緒に行こうかしら?」

「かあしゃま、あるいていきましゅよ?」

「あら、馬車で行くわよ」


 すぐそこなのに、母が一緒だと馬車だ。俺が裏口から出て歩いて行くのと違って、母が動くと目立つ。

 いくら変装しても、隠しきれないものがあるんだ。母は生まれながらの侯爵令嬢だから、気品があるというのかな? オーラが隠しきれないんだ。

 その点、おれはまだ3歳だからそんなものは全然ない。

 きっと大人になってもないと思うけど。前の時、大賢者だった時にもそんなものはなかったと思う。


「久しぶりに会いたいわ」


 母とアコレーシアの母は仲良しだ。といっても、母が父と婚姻してからは自由に会えなくなってしまった。父の仕事柄仕方がないのだけど。

 そんなこと関係なく、俺は毎日アコレーシアに会ってるけどね。今日もお花を持って会いに行くんだ。


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


遅くなってしまいました!申し訳ありません!

実は…先週の金曜日にソファーの脚で足の小指を思いっきり打ってしまって、腫れて青くなっていたのです。

それで整形外科に行ってきました。

あー、微妙やなぁ。これはどうかな?とお医者様がおっしゃりながら、レントゲンを撮ってもらうと、ほんの少しだけ折れてました。

残念やな、ちょっとだけ折れてるな。と言われました(^◇^;)

固定も無しでシップだけもらってきました。痛みもなくて、普通にスニーカー履いて歩いてます。靴を履くと、ちょっと痛いけど( # )ω³ )

去年も同じような時期に足の薬指を骨折しています。同じソファーの脚にやられました(>_<)

大したことはないので、全然いつも通り元気です!

皆様も気をつけましょう(*ノ>ᴗ<)


ラウ①好評発売中でっす!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ラウちゃん無事戻って来たけどフクさんが責任を感じている フクさんのせいじゃない悪いのはラウちゃんを拉致した犯人達 足の指は地味に痛いし困ってしまいますね お大事して下さい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ