193ーピロロロロー②
ミミの出番だぞ。
「ぴよ?」
なんでそこで首を傾けてるんだよ。分かっているだろう?
『らってみみはもう、がんばったみゃ』
もう一度頑張ってみようか?
『えー、しょうみゃ? めんどうみゃ』
ミミが邸に戻ってから父様にガッツリ叱られてもいいのなら、しなくても良いけど。
『みゃみゃみゃ! みみはがんばるみゃ! みみはできる、しぇいれいみゃ!』
俄然やる気が出たらしい。ミミに任せておこう。
「とうしゃま、みみがしゅるしょうれしゅ」
「そうか、なら任せよう。ミミ、分かっているな」
「ぴよ」
もう何度も枢機卿の前で、喋ってしまっているのだから良いのじゃないかなぁ。面倒になってきた。
とにかく、ミミ。さっきの教会で解呪した時よりずっと少数なのだから楽勝だろう?
『みゃ、みみはおちゅかれみゃ』
そうかよ、でもここは頑張っておこう。
『しゅるみゃ、しゅるけろ、みみはおちゅかれみゃ』
はいはい。帰ったら桃ジュースをもらおうな。
『みゃみゃ! やるみゃ!』
簡単に桃ジュースに釣られるミミ。単純でお手軽だ。
『みゃ! みみに、まかしぇるみゃ!』
はいはい、じゃあお願いね。
「ぴよ!」
ミミが俺の肩から、ピヨヨ~なんてわざとらしく鳴きながら飛んだ。
大聖堂に集まっている貴族たちの頭上に、ピヨピヨと飛んで行った。そのまま天井近くまでパタパタと飛んで行ったミミは、そこで羽を広げて止まりピヨヨーと鳴いた。するとミミの小さな目がピロロロローと光る。
あれだね、またミニマムな鳥さんの登場だね。そう思って見ていた。
ミミの周りにミニマムでまん丸な鳥さんがたくさん現れて、空間いっぱいに広がっていく。ぴよよぴよよと鳴きながら、小さな羽をパタパタと動かして飛んでいる。
ミミがピヨ―! と鳴くと、ミニマムな鳥さんも鳴いた。ぴよよー! と。
やっぱ可愛いやら面白いやらで、なんだか気が抜ける。
そして鳥さんたちが、キラキラと光の粒子を振りまきながら飛びだした。これで解呪しているのだろう。
鳥さんたちが振りまく光の粒子が教会の中に満遍なく降り注ぐ。
「ラウ、ミミは何をしているんだ?」
やっぱ父様たちには見えていないのか? あの可愛いミニマムな鳥さんたちを。
「私にも見えないもの」
「かあしゃま、しょうれした」
ま、とにかくミミが解呪しているんだ。俺思うんだけど、どうしてミミは何をするのもイマイチ決まらないのだろう?
だって呪いを解呪するのだって、フェンならしなやかな尻尾をヒョイと動かすだけで解呪していた。なのに、ミミはあのミニマムな鳥さんだ。
『あれはミミが広範囲に解呪しているからだぞ。一人や二人だったらミミもあれをする必要はない』
そうなんだね。それは失礼しちゃった。
解呪を終えると、ミニマムな鳥さんたちは消えてミミが俺の肩に戻ってきた。
「みゃ〜、かんばったみゃ」
「うん、おちゅかれ」
「こら、ラウ、ミミ」
「らってとうしゃま、もうばれてましゅ」
「まあ、そうだが」
とにかくこれで大聖堂の中は大丈夫じゃないかな? 分かるのかな?
『おう、もう大丈夫だぞ。完璧だ』
フェンがちゃんと見てくれている。フェンはミミと違って安心感があるよね。
「みゃ? みみは、がんばったみゃ」
小さな胸を張っている。そのモフモフの胸を撫でてあげよう。
「みみ、おちゅかれ」
「かえって、ももじゅーしゅをのむみゃ」
「うん、しょうしようね」
おフクがその会話を聞いて、ふふふと笑った。いつもどんな時でも、桃ジュースが最優先のミミだ。
「坊ちゃん、桃ジュースとは何ですかな?」
「しぇいれいしゃんは、みんなももじゅーしゅがしゅき」
「ほうほう、あの桃ジュースですかな?」
そうそう、あの桃ジュースだ。うちでは、常時用意されている桃ジュース。
「桃ジュースとは、これまた可愛らしいですな。精霊が好きとは知りませんでした。」
「しぇいれいじょうおうも、しゅきらよ」
何気なく言った俺の言葉を聞いて、枢機卿はまたまたガビーンと固まって大きく目を見開いている。
あれれ? 何か変なことを言ったかな?
「かあしゃま?」
「ラウ、精霊女王や精霊が桃ジュースが好きなんて誰も知らないのよ」
あー、そうだったか。
「いやいやいや、アリシア様! そこではありません!」
ん? じゃあどこだ? 枢機卿といい老師といい、賑やかな兄弟だな。表情がめっちゃ豊かじゃないか。
「あら、そうなの? ふふふ」
母は呑気に笑っているが、枢機卿はちょっぴり目が血走っているように見えるけど。
「坊ちゃんは精霊女王様も桃ジュースが好きだと、どうして知っているかですッ!」
「え、らってしょう、はなしてたもの」
「話してた? 誰が!? 誰が話していたのですかぁッ!?」
ほらまた、ガシィッと肩を掴まれちゃった。
「しぇいれいじょうおうが、しょういってたの」
ね、母様。と俺は母を見る。母も、ね〜と微笑んでくれる。
「はぁ〜、ラウ、アリシアもだ」
「あら? 私は何も言ってませんわよ」
ふふふと、母は笑った。あれ? これって分かってるんじゃないか?
「ラウ、だからそれも秘密だ」
「アハハハ! ラウ坊ちゃんは天然ッスか!?」
もう開き直ったのか、アンジーさんがお腹を抱えて笑った。父にパシッと叩かれて、一旦は笑いを堪えたのだけど堪えきれなくて身体をプルプルさせている。
「枢機卿、だから秘密だ」
「いやいやいやいや、殿下!」
おっと、どんどん『いやいや』が増えていく。
お読みいただき有難うございます!
宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!
宜しくお願いします。
本当に毎日暑いですね〜
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
ロロちゃん買ったよ〜!と少しずつご報告いただいて嬉しい限りでございます(⸝⸝˃ ᵕ ˂⸝⸝)
ガンガン、アピってくださっても良いのに、皆様控えめで穏やかな方が多いようで( ˆ꒳ˆ; )皆様のお優しさに支えていただいております(*´꒳`人)アリガトウ
ロロちゃんも重版したい!(願望です)
ところで、リリしゃまの先読みが木曜日に更新されていました。やっとリュカが登場しますよ〜!コミカライズも最後まで刊行できれば嬉しいなと!
明日は投稿をお休みさせていただきます。
毎月初稿に追われてる気がするのですが、投稿も頑張りまっす!
よろしくお願いします٩(๑˃ ᵕ ˂ )و