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191/216

191ー一体何が?

 枢機卿は聞かなかったことにしてくれないかな? してくれないよな? 広い額に汗をにじませながら、ミミを凝視しているもの。


「ミミ、お前はぁ……」

「みゃ! ちちしゃま、なんみゃ! みみはわるくないみゃ!」

「だから外に出たら、喋ったら駄目だとあれほど言っただろう!」

「みゃ! ぴよ」


 ふふふ、しらばっくれてコテンとクビを倒して、今更ピヨと鳴いている。だからミミ、もう遅いって。


「ミミちゃん、もう無理ッスよ。誤魔化せないッス」


 ほら、アンジーさんだって言ってるじゃないか。


「ふふふ、ミミったら本当にお馬鹿さんだわ」


 母は笑っているのだけど、目は笑っていない。おお、怖い。


「殿下……」

「枢機卿、秘密だ」

「ええ……ええ、そりゃあ秘密でしょうよ。こんなこと公になったら、どんな騒ぎになるか想像もできません」

「ラウの使い魔の精霊だ。ミミという」

「ほう……精霊ということは、アリシア様ですか?」

「ええ、そうよ。枢機卿、本当に秘密なのよ」

「心得ておりますとも。こんなこと誰にも言えません」


 もっと、なんですとーッ! とか言って驚くかと思っていたのだけど、意外にも静かな枢機卿だった。

 だけどこれはきっと家に帰ったら、ミミにはお仕置きが待っていることだろう。


「みゃ!?」

「こら、ミミ!」

「わかったみゃ。ぴよみゃ」

「ミミィ、分かっていないじゃないか!」


 ガシッと父に頭を掴まれ、そのまま持ち上げられている。父ったら駄目だぞ。動物虐待反対だ。


「同じ精霊なのにどうしてこうも違うんだ!」

「みゃ! みゃ! みゃ! はなしゅみゃ! ぼうりょくはんたいみゃ!」

「とうしゃま、しょれくらいれ」

「ラウ、一度またしっかり覚えさせないといかん」

「あなた、家に帰ってからで良いですわ。今は解呪を」

「お、おう。アリシアに免じてそうしよう」


 俺の肩に戻ってきたミミ。もう懲りたら、喋ったら駄目だよ。


「みゃ、ひどいみゃ。らうみぃのちちしゃまは、ひどいみゃ」


 また喋ってしまっている。懲りないなぁ。いや、きっとつい喋ってしまうのだろうな。だって、ミミだから。


「みみ、ぴよらよ」

「わかったみゃ、ぴよ」


 ふふふ、まあ仕方ない。


「とうしゃま、いきましょう」

「ああ、ラウ」

「いやいやいや、それで大丈夫ですか!? この部屋の中だから良かったものの、外で喋ったらどうします!?」


 うん、枢機卿の心配は当然だ。でもミミはいつもこんな感じだし。


「ミミ、良いか。ピヨだぞ」

「ぴよ」


 今度こそ分かったらしい。ミミが涙目になって小刻みに震えている。少しは懲りたかな?


「なんならミミだけここで待っているか?」

「みゃ! なんれみゃ! みみはらうみぃのしょばにいるみゃ!」

「なら、喋ったら駄目だぞ。良いか、必ず守るんだ」

「ぴよ」


 色々脱線はあったものの、枢機卿に案内してもらって大聖堂の中を見て回ることになった。

 1階から順に見て回る。大聖堂の中にいる人たち、聖職者の人だけじゃなくて王都に住む貴族も来ていたりする。普通は一般の人は入らないような場所も見て回った。

 大聖堂の裏側にはここにいる人たちの宿舎がある。司祭や司教階級の人たちはそんな宿舎の司教館と呼ばれるところに住んでいる人が多い。枢機卿もそうだけど高位貴族出身の人は、自分の邸を王都に持っている。そこから通うんだ。聖職者といっても、一族から大司教や枢機卿になる人が出ると誉になる。

 ちなみにこの国では聖職者の婚姻も認められている。司祭の間だけ婚姻は禁止されているが、司教からは婚姻も許される。婚姻して家庭を持つことで、地域の人と関わりを深くし信仰を実践する。世俗から離れすぎないで、一般の人の気持ちが理解できるだろうといった理由かららしい。

 昔は婚姻はできなかったらしいけど、時代で変わってきたのだろう。

 枢機卿も奥さんがいて子供もいるらしい。聖職者の中でも位が上がると、高位貴族出身者が多くなる。平民で司教以上になった人はまだいないらしい。

 それは差別をしているわけではないという。元々受ける教育が貴族と平民とでは違うためそうなるのだとか。

 でもそれもなぁ、とも思うけど。俺は口を出せる立場じゃない。だってまだ3歳だし。

 その司教館にいる人も出てきてもらって全ての人を見た。呪いに侵されている人がいると、こっそり解呪した。

 姿を見せなくてもフェンは念話で教えてくれるし、影からチョチョイと解呪してくれる。もちろん俺も解呪した。

 大聖堂の主祭壇の前や、内陣には貴族たちも来ていた。そこにいる人たちの中にも、チラホラ黒い霧を背負っている人がいた。


「とうしゃま、ここにもいましゅね」

「そうか、多いのか?」

「いえ、ちらほられしゅ」

「なんと……一体何が起こっているのでしょう?」


 規則性がないんだ。貴族を狙っているわけでもない、平民を狙っているわけでもない。無造作に不特定多数の人たちに呪いをかけている。枢機卿の言うように一体何が起こっているのか? 何が目的なのか?

 そして、犯人はどこにいるのか?


「殿下、呪いといえば例の国ですな」

「ああ、そうとしか考えられない」

「3年前に潰したと思っていたのですが」

「あれは取っ掛かりだったのだろう」


 俺が0歳の時に、深紅の髪の女性が起こした事件のことだ。


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


もう梅雨が明けたらしいですよ。あれれ?て感じです。梅雨さん、どこ行った?

さて、私は初稿ラッシュです。一つは返し待ち。一つはついさっき返した。もう一つはまだ真っ白でこれからです(^◇^;)

その間にキャラ設定作って、コミカライズの確認が入って、返し待ちがきっと大変だと思うのでそれに備えて……いつ投稿分書くんだ!?という状態ですΣ( ̄□ ̄;)

来週はもしかしたら突然お休みしてしまうかも知れません。その時は、ああ、追い込まれてるんだなぁ。と思っていただけると!(^◇^;)


ラウは書きたいところまで、なかなか持っていけないので章タイトルを変更しようかと考え中です。

そろそろ重版帯の分が店頭に並んでいるみたいです。本当に皆様のおかげです!ありがとうございます!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
皆さんの感想も楽しくて一緒に読ませていただいています 読者さんの「三歩歩くと忘れる鳥頭」には大爆笑です ミミ、ガンバ! ٩( 'ω' )و
あぁやっぱりミミは喋ってしまった、残念精霊だから仕方ない うっかり忘れて喋るきっと小鳥の姿になってるから頭も鳥頭なのです! 三歩歩くと忘れる鳥頭 皆んな仕方ないミミに優しくしてあげてね
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