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178/217

178ーなんですと?

 ミミって言って良いことと、駄目なことが分かっていないからね。駄目ってわけじゃないのだろうけど、それでもきっとこれは大切なことなのだろう。


「これはまたレポートを書かんといかんぞッ!」


 たしか老師は前にもそんなことを言っていた。たしか、ピーチリンだ。俺がポロッと言ってしまって、入歯が取れそうなくらいに驚いていた。

 そもそもこの世界では精霊信仰があるものの、詳しいことは分かっていない。だって精霊の姿を見られる者だって希少なのだから。

 でも、この世界の魔法は精霊が関わっているらしいとは分かっている。だがまだ『らしい』だ。何しろ意思疎通ができる者なんて超希少なんだ。だから研究も進んでいない。

 それなのに、今のミミの発言でそれを肯定してしまった。『鑑定の儀』で精霊が授けるなんて言ったんだ。しかもミミは、当たり前だと言った。


「ミミちゃん、それを詳しく教えてくれないかのぉ?」

「なんみゃ?」

「だから、この世界で魔法が使えるのは精霊が関わっていることをじゃ」

「むじゅかしいことを、いうなみゃ」

「ミミちゃん!!」


 そうだよな、ミミってそういうやつだ。

 きっと精霊にとっては当たり前だから、それを説明しろと言われても無理なのだろう。精霊にとって魔法とは、俺たちが息をするのと同じなのだから。

 こんなのはリンリンに聞く方が良いんだ。けど、リンリンはこの場には出てきてくれないだろうし。


『あら~、ラウったらよく分かっているじゃない~』


 おや、リンリン姐さんだ。俺の頭に直接話しかけてきたぞ。


『あやふやなままの方が良いこともあるのよ~』


 なるほど。これは明確にするつもりはないらしい。

 老師はとっても残念そうだったけど、ミミにいくら聞いても無駄だった。


「みゃ? わからないのが、わからないみゃ」


 なんて言いながら、ヒョコッとお顔を傾けていた。

 老師は諦めきれないようだったけど、オヤツのスイートポテトをお土産にもらって帰って行った。

 しっかり、レイラちゃんもゲットしていた。表情は変わらないのだけど、どこかホクホクと嬉しそうに感じられた。

 また小さくピースをしていたしね。慣れてくると可愛く思える。

 そんな平和な毎日だったのだけど、お久しぶりに精霊女王に呼ばれた。


「ラウったら忙しそうじゃない?」

「え? なにが?」


 最近、ご無沙汰だったからかな?


「だって、普通をお勉強するとか言っていたでしょう?」

「ああ、ろうしらね」


 だって精霊女王は見ていたのだろう? 全部知っているのだろうに。

 いつも無理矢理この世界に引っ張ってきているようで、実はそうじゃない。俺の様子を見て判断してくれているんだ。

 俺が忙しそうな時は、ちゃんとそっとしておいてくれる。そして、ここは必要だろうという時は呼ぶ。

 気遣いのできる精霊女王なんだ。


「そうね、あの楽しい老師ね」


 そうだ、この機会に精霊女王に聞いておこう。


「ね、しぇいれいじょうおう」

「なにかしら?」


 と普通に話しているけど、ここは精霊女王の世界だ。四方が真っ白で上下の分からない、摩訶不思議な世界。そこで元の大きな鳥さんの姿に戻ったミミが、手羽(?)をお腹に載せてスピーッと寝息をたてて爆睡している。相変わらず、全然起きない。良いのか? こんなので大丈夫なのか?


「ふふふふ、だからミミはこっちの世界の方が安心するのよ」

「しょういってたね」


 まあ、良いのだけど。


「らからね、ぼくたちがつかってるまほうらけろ」

「老師とそんな話をしていたわね」


 そうそう、俺には教えてくれたりするのかな? なんてさ。


「ラウったら。前の時にも私たちが関わっているとラウは気付いていたのよ」

「しょうらっけ?」

「そうよ。だって大賢者ですもの」


 まあ、今はそんな感じじゃないけど。


「ふふふ、今回もラウは大賢者だと言ったでしょう?」

「けろ、まらちびっこらからね」

「そうね。可愛いちびっ子だわ。時々とんでもないことをするのだけど」

「ええー、しょうかなー」


 でも俺は目的に向かって少しずつ準備しているつもりだ。普通の赤ちゃんじゃなかったしさ。まさか記憶があるなんて誰も思わないだろう?

 そうだ、精霊女王でさえ久しぶりなのだから、魔王にもご無沙汰してしまっているぞ。


「また来ちゃうわよ」

「あー、ほんとうらね」

「これから行ってみる?」

「んー、今日はいいかなぁ」


 そこにパタパタとバットが飛んできた。きっと俺について来たんだな。

 どうした? 何をそんなに急いでいるんだ?


「ラウ! 魔王さまに会いに行かないれしゅか!?」


 パタパタと飛びながらそんなことを言っている。しばらく行っていないからバットも魔王に会いたいのだろう。


「きょうはもうなんだかちゅか()れちゃって」

「ええー! 魔王さまはきっと待っているのれしゅ!」

「うん、またこんどっていっておいて」

「分かったのれしゅ!」


 前に行った時に、デオレグーノ神王国の間者をポポイと返したとか言っていたから、ちょっと気にはなっているんだ。

 だから近々行くよ。アースランのオヤツも食べたいし。


「あら、オヤツなの?」

「しょうしょう。あーしゅらんがいちゅも、ちゅくってくれてるの」

「まあ、そうなのね。私も一緒に行こうかしら?」


 え? なんですと?


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


遅くなりましたー!すみません!

書籍化作業に集中してました!あと、重版が嬉しくて!

活動報告にも書きましたが、1巻重版決定しました!

10日に発売になったばかりなのに!

実は重版の知らせをいただいた同じ日に、もう一つ嬉しいことがあったのですが、それはまだまだなので。

1巻ご購入くださった皆様、ありがとうございます!ヾ(*>∀<)ノ゛

ちなみに、しおりは初版分のみです。(>︿<。)

挿絵(By みてみん)


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