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147ー別次元だから

「ちゃんとラウがトイレとお風呂の時は、見ていないのれしゅ」


 当たり前だ。前にも言ったけど、そこはしっかりと守ってほしい。

 深刻な空気だったのに、バットの登場で一気に和んだ。ふぅ、ちょっと肩の力を抜こう。

 ふんわりと微笑みながら精霊女王が言った。


「ふふふ、焦り過ぎたら駄目よ、ラウ」

「うん、しょうらね」

「そうだぞ。今回は精霊女王だけじゃない、私もラウの味方だ。協力するぞ」

「ありがと」


 俺にはこんなに心強い味方がいるじゃないか。

 前の時は俺一人だった。両親とも今ほど仲良くなかった。俺が勝手に距離を置いていたのだけど。

 そんな事は必要なかったんだ。尊敬できる両親だ。


「そうね、良いご両親だわ」


 だが、この先妹が生まれる。聖女のジョブを持つ妹だ。

 それが王妃は気に入らないんだ。


「みゃみゃみゃ!? なんれ、しぇいれいじょうおうの、しぇかいにいるみゃ!?」


 やっと起きたらしい。もうそろそろ帰してもらおうかと思っていた頃だ。

 ミミはそんな感じで丁度良い。抜けた感じが良いよ。


「みゃ! らうみぃ、みみはかんぺきみゃ」

「しょうらね」

「ぬけてないみゃ」


 なんだ、俺の思考を読んだのか。


「ミミ、お前はよくそれだけ寝られるな」

「みゃ! まおうみゃ! またきているみゃ! なんれくるみゃ!」


 失礼な言い様だ。魔王だって心配してくれているんだ。


「魔王しゃまはラウが好きなのれしゅ」


 そうバットが言った途端。


「そ、そ、そんな事はないぞ! 私は魔王だからな!」


 突然のツンデレ発動で、意味がよく分からない。テンパったか?


「今日はもう帰る。ラウも帰って寝なさい。まだちびっ子なのだから、よく寝てしっかり食べて大きくなるんだ」


 なんだか親戚のおじさんみたいな事を言っている。


「また魔王城に来ると良いぞ」

「うん、ありがと」

「な、なにも私は待っている訳ではないのだからなッ! バット、頼んだぞ」

「任せるのれしゅ!」


 はいはい、もうツンデレは良いって。

 少し頬を染めながら魔王は帰って行った。

 じゃあ、俺達もそろそろ。


「ラウ、ご両親と会う話なのだけど」

「うん」


 そうだ、それも聞こうと思っていたんだ。母は一度精霊界に行った事があると聞いた。父も連れて行きたいんだ。


「あのね、ラウは分かっていないみたいだけど」


 精霊女王が言うには、精霊界に人が行くのは負担が大きいらしい。魔力量に関係するそうなのだが、俺は魔力量が多い。

 人類で最大値だとも言われている、大賢者のジョブを持つためだ。だが、両親は違う。


「けろ、かあしゃまもいったことがあるって」

「ええ、そうね。でも一瞬だったのよ」

「しょっか」


 本当はこの精霊女王の世界にいるのだって、負担が掛かるのだそうだ。精霊界もそうなのだがその特殊な環境故に、人は少しずつ魔力を持っていかれてしまう。

 何しろ人が住んでいる世界とは、別次元にある世界なんだ。だから魔力量が必要らしい。


「へえ~」

「ふふふ、ラウは平気でしょう?」

「うん、なんともないよ」

「らうみぃは、まりょくりょうがおおいからみゃ」

「しょうなんらね」


 じゃあ両親を精霊界に連れて行くのは無理かぁ。


「少し考えさせてちょうだい。こんな事は今までなかったから」

「うん、しぇいれいじょうおう、ありがと」


 本当、いつも俺の我儘をきいてくれて有難う。感謝しているよ。


「ラウったら」

「みみもみゃ」


 え? ミミが何だよ?


「みみもらうみぃに、きょうりょくしてるみゃ」

「ええー」

「みゃみゃみゃ! らうみい、なんみゃ!」


 パタパタとミミが俺の周りを飛ぶ。パタパタとだ。ミミはこの世界にきたら本当の大きさに戻るんじゃないのか?


「いちいちめんろう(面倒)になったみゃ」


 意味が分からない。その度に戻るのが面倒という事か?


「しょうみゃ。らってしゅぐにかえるみゃ」

「みみはいつも、ねているかららよ」

「ふふふ」


 精霊女王って大らかだよね。こんなミミの事を叱ったりしないし、俺にだってそうだ。なんだかんだ言っても、結局協力してくれる。


「らうみぃ、かえるみゃ」

「うん、じゃあね。しぇいれいじょうおう」

「ええ、またね」


 そして俺は今度こそ眠った。熟睡だ。

 翌日、なんと昨日話していた騎士団の副団長からお詫びの文が届いた。馬鹿だよね。バレて直ぐに謝るくらいなら、最初からしなきゃいいんだ。

 それに、いまさら謝罪をしたってこっちの認識は変わらない。

 俺はおフクと一緒に、アコレーシアにプレゼントする花を庭で選んでいた。そこに母がやって来た。


「ラウ、今日も行くの?」

「あい、かあしゃま」


 今日は何色のフリージアにしようかな? て、選んでいた時にその話を聞いたんだ。


「あやまってきたのれしゅか?」

「そうなのよ。それもね、使用人が勝手な事をして申し訳ないって書いてあったわ」

「ええー」


 それはないだろう。使用人に責任を押し付けるつもりなのか。


「何にしろ、こちらからは何のリアクションもしないわ」

「しょうなのれしゅか?」

「ええ、相手にする必要ないわね」


 俺の後を付けているのがバレても、謝罪文を送っても何のリアクションもない。

 それって、向こうにしてみればかなり気持ち悪いぞ。どうなってんだ? て、絶対に思っているだろう。俺なら色々考えると思うな。


お読みいただき有難うございます!

もしかしたら、しばらく投稿をお休みするかも知れません。ちょっと私の周りがバタついていて、巻き込まれそうなのです。

申し訳ありません。

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


リリの⑥が…必死でないアイデアを捻り出そうと頑張っているのですが。

私の腕で爆睡するワンちゃんに阻まれてます。(^◇^;)

挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
ハルに何回目かの面会してる間にお引越しやら貯めてしまったやらをとうとうチャラに出来ました。追いつきましたー こちらも可愛いじいじがいい味出してますね,そしてパッドとコハルが重なってきてしまいました。…
本当に無理しないで下さいね、何かあったら悲しいです 撫羽さんの作品が大好きだからいつまでも待ちます 来年も良いお年をお迎えください^_^
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