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143/219

143ー呼ばれた

 前の時も俺は『精霊女王の愛し子』だったのか?


「当たり前じゃない。でないと大賢者なんて最上位のジョブを与える訳ないでしょう?」

「しょうなの?」

「そうなのよ~。だから私も許せないの」


 もしかして、それで今回は俺が生まれて直ぐから関わっているのか? 俺が無茶な事を言っても、どうにかしようと協力してくれる。とっても心強い味方でいてくれる。


「ありがとうね」

「ふふふ、良いのよ。あの最後は私も不本意なのだもの」


 色々聞きたい事があるのだけど、取り敢えず今回の騎士団長の息子のジョブだ。俺、前の時のあいつのジョブも知らないんだけど。


「前の時は聖騎士だったわね、本当は聖女を守る役目だったのよ」

「せいじょって、ぼくのいもうと?」

「そうね、今回はまだ生まれてないけど」


 俺の4歳下の妹だ。前の時と同じなら聖女のジョブを授かる。そのジョブが王妃の妬みを買うんだ。


「王妃はあの心根が駄目だわ。どうしてあんなに執着するようになったのかしら?」


 と、言う事は最初からああだった訳じゃないんだな。


「当然よ、でないと王妃に選ばれないわ」

「しょっか」


 王妃も王と婚約した頃は、今の様な感じではなかったらしい。きっとそれを父と母も知っているのだろう。だから今回なんとかしようとしているのかも知れない。

 王妃になるべくして厳しく育てられた侯爵令嬢だった。王妃の実家は開国以来から続いている由緒正しい家系だ。

 当時、王妃の他にも同じ年頃の令嬢は何人かいたらしい。同じ様に婚約者候補にもなっている。その中から今の王妃が選ばれたんだ。

 それだけの事はある筈なんだ。今回は自分のジョブが下位だった所為で、余計にジョブに拘っているようにも思える。


「それでも前の事があったのだから、今回も同じジョブを与える事はできないわ。もちろん王女と騎士団長の息子もよ」

「あ、やっぱり?」

「当然よ」


 今回、王妃と王女は前とは違う下位のジョブになっている。騎士団長の息子もそうらしい。それでも騎士団には入るのだろうな。父親が騎士団長なのだし。いや、これは裏口とか融通を利かせてもらってとかって意味じゃないぞ。父親と同じ道を選ぶのではないかという事だ。


「騎士団に入れるかしら? まあ、それくらいはできるでしょうね」

「え、しょんなになの?」

「ええ、前の時は聖騎士だと言ったでしょう? それは騎士の才能があると言う事よ。でも今回は……」


 え、なんだろう? 騎士系のジョブじゃないのか?


「騎士系と言えばそうかしら? なにしろ下位だから本人の努力が必要だわ。騎士になるためには、最低限のジョブよ」


 前の時は聖騎士、それは上位のジョブだ。なにしろ聖女の護衛になるためのジョブなのだから。

 今回は……?


「ただの剣士よ」

「え……それっていっぱいいるよ」

「そうね、だから騎士団に入る為には努力が必要なのよ」


 それでも剣士なのだから、剣の才能は持っている。そこから騎士団に入れるかどうかは、本人の努力次第という事だ。騎士団って規律も厳しく、礼儀正しくってところだったと思うんだ。

 なのに前の時は、あの息子は王女とこっそり繋がっていた。いつの間になんだろう?


「王女の護衛をした事があるのよ」

「しょうなんら」


 なるほど、そこからか。それにしても、護衛をした事があるってだけであんな計画を実行するか?


「あれは……その前に大群の魔族を前に逃げ出したでしょう?」

「うん、ぼくをおとり()にして」

「そうね」


 魔族の大群の前にポイッと捨て置かれたんだ。俺は何が何だか分からなかった。少しの間、放心状態になってしまった事を覚えている。そして、目の前に魔族の大群だ。そんなの、もう自棄っぱちになるだろう?


「ふふふ、自棄になってあの殲滅魔法だったの?」

「しょう。むかついたんら」

「当然ね」


 なのに、その後背後からグサッだよ。人のする事とは思えない。背後でほくそ笑んでいたんだぞ。


「私達はそれを知っているわ。あんなの見逃せない。今回は前より厳しくなって当然なのよ。剣士でも甘いくらいだわ。あんな事をするなんて、人としてどうなのか? て、話でしょう?」

「しょうらね」


 そっか。やっぱ全部知っているんだ。なら俺が殺された後の事も知っているんだよな。


「ラウ、それは……」

「なんだ! どうして私のところへ来ない!?」


 ブワッと風が吹いたかと思ったら、真っ黒な衣装に身を包んだ綺麗な男性が立っていた。

 そう、魔王だ。なんだよ、もう普通に精霊女王の世界に来ているじゃないか。


「ひしゃしぶりらね~」


 俺は魔王に向かって手をフリフリする。


「ラウッ! 相変わらず可愛いなッ!」


 そんな馬鹿な事を言いながらも、イケメンが眩しい。


「久しぶりだ! 抱っこしよう!」


 なんでだよ、何がどうして抱っこになるんだ。両手を広げて、目をキラキラさせて待っている。

 そろそろ行こうと思っていたんだ。だけど、魔王から来てくれた。


「待っていてもラウは来ないじゃないか! 何も気て欲しいと思っている訳ではないのだからなッ!」


 またツンデレな事を言っている。


お読みいただき有難うございます!

遅くなってしまいました。申し訳ありません。

コミカライズ公開の余韻も冷めていないのですが^^;

今日から、ラウはこちらだけの投稿になるのです。なんだか寂しく感じます。

とはいえ、頑張って投稿していきますので宜しくお願いします!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


コミックアース・スター様のサイトで、元貴族の四兄弟はくじけない!のコミカライズ第1話が公開されています!是非皆様、読んで頂けると嬉しいです!

挿絵(By みてみん)

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