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141/216

141ー小者だから

「ラウにはサイラスとフクが付いているし、あちらにも護衛が付いているから大丈夫よ。そこら辺の貴族には手出しさせないわ」

「そうだぞ、ラウ。頑張りなさい」

「あい、とうしゃま」


 頑張りなさいだって。父に言われちゃった。

 自分の恋を親に応援されるってどうなの? ちょっと恥ずかしいのだけど。父と母はアコレーシアで異存はないのか?


「アコちゃんは可愛いし良い子じゃない」

「私も一度会ってみたいな」

「とっても、かわいいれしゅ」

「ラウ、そうか。なら早めに婚約の話を持って行こう」


 3歳で婚約か。早すぎるかもとは思うのだけど。でも俺は何歳になっても変わらないから、それは有難い事だ。

 今回俺を付けていた者は、そのまま帰された。きっと帰ったら叱られる事だろう。バレた上に、情報を漏らしているんだ。

 だけどこちらからは、何のアクションも起こさない。向こうにしてみれば、バレたのに何も言ってこない。どうしてだ? と、不気味だろう。

 ただ、あの家は要注意だとブラックリストに載ってしまう事になる。

 どう足掻いたって、俺の婚約者にはなれない。友人だって無理だ。


「小者だ。放っておけば良い」

「そうッスね」


 え、そうなのか? 騎士団の副団長の家だぞ。それを小者だと言うのか?


「副団長と言っても、団長にはなれないんだ。今の団長の方が、副団長より少し年下だからな」

「そうでしたわね。確か……2歳下でしたわね」


 剣の腕も、騎士団という集団を統括する能力やカリスマ性も、戦略を立てる事も団長の方が上だと判断されているらしい。


「今の騎士団長は、歴代最年少で騎士団長になったんだ」

「えー、しゅごいれしゅ」

「ああ、そうだろう? その騎士団長には敵わないという事だ」


 俺を助けてくれた騎士団長、そんなに凄い人だったのか。

 それでも前の時に俺の胸を剣で貫いたのは、あの騎士団長の息子だ。親は正義感の塊みたいな人なのに、息子はどうしてああなるのか。


「そういえば、騎士団長の末の子息はラウと歳が近かったな」

「そうッスね。確か今は4歳でしょう」


 あの騎士団長の息子は、俺より1歳だけ上だったのか。その騎士団長の息子は、今回のジョブはどうなんだろう?

 そろそろ精霊女王に会いに行こうかな。魔王にも会いに行かないと、また強制的に呼ばれそうだ。

 父と母も連れて行きたいと相談してみよう。

 会議はお開きになり、俺はおフクと一緒に部屋に戻る。もう眠くて限界だ。

 おフクに着替えをさせてもらっていても、瞼が閉じてくるし身体が揺れてしまう。


「ラウ坊ちゃま、疲れましたか?」

「うん、らうじょぶ。ふぁ~……」

「あらあら、ベッドに入りましょうね」

「うん」


 ベッドに入ったら即眠った。ミミも俺の隣で大の字になって眠っている。二人でスヤスヤと……


「あら、ラウったら、お疲れなのね」

「んん~……あ、しぇいれいじょうおう」

「少しお久しぶりだわね」

「ね~」


 そろそろ会いたいと思っていたんだ。きっと見ていたのだろう? 魔王にも会いに行かないと。

 重い瞼を上げると、そこは精霊女王の世界だった。真っ白で上下のない世界。慣れるまでは少し足元がふらついたものだ。

 当然、なんでも知っているかのように精霊女王が話し出す。


「アコちゃん、可愛いわね」

「しょうれしょう?」

「あら、ふふふ」


 だって本当に可愛いもの。パッチリとしたお目々に、ほんのりピンク色したあのほっぺ。

 なにより、アコレーシアのあの空気感が好きだ。ポヤポヤしているのに、芯のしっかりとした子なんだ。

 

「前もそうだったものね。前はランニングだとか言って、毎日お花を持って行ってたかしら」

「えー」


 そんな事まで知っているのか。なんでもお見通しって訳か。

 それしにても、相変わらずミミは起きない。めっちゃ寝ている。お腹の上に手? 手羽? を、おいてスピーッと寝息をたてている。ミミも今日は疲れたのかな?


「ふふふ、ミミも少しは役に立ったかしら?」

「しょうらね、がんばってた」

「いつも頑張ってくれると良いのだけど」


 それはそうなんだけど、でもそんなのミミじゃなくなっちゃうぞ。


「あら、それは褒めているのかしら?」

「うん、ほめてる」


 ふふふ、と優雅に笑う精霊女王。そんな事より、聞きたい事があったんだ。


「分かっているわよ、だから呼んだのですもの」


 やっぱりそうか。あの騎士団長の息子だ。


「父親は立派なのに、末子となるとああなっちゃうのかしらね」

「しょれは、まえのときのこと?」

「そうね、まさかあんな酷い事をするなんて」


 俺を囮にしただけじゃなく、魔族を殲滅した俺の背後から剣を突き刺した。

 今でも覚えている。あの時の焼けるような胸の痛みを。


「ラウ……」

「らいじょぶらよ、やりなおしたのらから、こんろはあんなこと、しゃ()しぇ()ないから」

「そうね、その為に今頑張っているのですものね」

「しょうしょう」


 そうだ、いつまでも前の事を思って落ち込んでなんていられない。今度はあんな最後にならない様に、みんなが幸せになるようにするんだ。未来を知っている俺だけが守れるんだ。


「ラウは私の愛し子ですものね」

「しょれ、しらなかった」


 前の時もそうだったのか? 前は精霊女王の存在自体を知らなかったけど。


お読みいただき有難うございます!

ロロの後書きには、ロロ①のイラストを貼り付けているのですが、ラウはなかったのでリリを使ってました。

そのうちラウのイラストを使う事になるのですね。

とっても嬉しいです!

まさかラウが書籍化されるなんて!

皆様のおかげです!有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


そういえば、リリの書籍化のお話を頂いた時に、これは新手の詐欺か?なんて失礼な事を思ってました(^◇^;)

そのリリも、来年は⑥です。頑張らないと!どんどんヤバくなってきた( ̄◇ ̄;)

ボクは光の国の転生皇子さま!⑤発売中です!

挿絵(By みてみん)

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