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14ーミミの受難

 そんな俺とミミを見ていた父の疑問だ。


「もしかしてミミは、ラウの思っている事が理解できるのか?」

「あたりまえみゃ。わからないほうがわからないみゃ」


 また一言多い。それに、分からない方が分からないって何だよ。


「なんだと……?」


 ほら、また父から冷たい空気が出ているぞ。


「みゃみゃみゃ、なんでもないみゃ」


 これはミミの性格なのだろう。つい、余計な事まで言ってしまう。お喋りさんだ。


「ミミはいつもそうなのよ~」


 これは母の使い魔、リンリンだ。

 リンリンは一言でいうと綺麗だ。幻想的でリンリンの周りが仄かに光っているようにも見える。

 この中では一番お姉さんらしい。だからか、話し方も一番流暢だ。


「ミミは精霊女王によく叱られていたわ~」


 あらら、リンリンにも同じ事を言われている。


「本当に優秀なのか?」


 父がそう疑いたくなる気持ちはよく分かる。


「あぶばぶぅ」

「らうみぃ。もっというみゃ」

「ラウは何て言っているんだ?」

「みみは、いいこみゃっていってるみゃ」

「本当なのだろうな」

「ほんとうみゃ。うしょちゅかないみゃ。みみはいいこみゃ」


 まあ、良い子だとは言った。だけど、優秀かどうかはまだ不明だ。だって今は一緒に遊んでいるだけなのだから。

 いつも俺が高速ハイハイで爆走しているのを、パタパタと飛んで見ているだけだ。


「らうみぃ、しょんなことをいうみゃ!?」


 まあ、何でも良いんだけど。


「ラウ、少し魔法を使ってみてくれないか?」

「あうばばー」

「ミミ、ラウは使えないのか?」

「しらないみゃ。みみがしってるわけないみゃ」

「なぁんだとぉ……!?」


 ああもう、本当にミミは。思わずプクプクのお手々を、額にピトッとつけてしまった。

 ちょっと呆れてしまう。いい加減に学習しないとだぞ、ミミ。


「らうみぃ、なんなのみゃ?」

「あうあばー」


 だから、そんな言い方をするからだよ。今迄、本当はそれを確認しないといけなかったんじゃないのか?


「むじゅかしいことは、いうなみゃ」

「ぶぶぶぅ」


 だから、ミミがどうして俺の使い魔として来たのかを考えてみろよ。


「みみは、らうみぃのちゅかいまなのみゃ。いっしょにいるみゃ」

「あばぶう」

「らからみみは、しゃぽーと(サポート)しゅるみゃ」


 そうだよ、それができていないだろう?


「あうぶうぅ」

「らってらうみぃと、いちゅもいっしょにあしょんでいるみゃ。そりぇがだめなのみゃ?」


 ああ、こいつは何も分かってないぞ。


「ミミ……ちょっと来なさい」


 そう言って、また体ごとガシィッと父に掴まれて何処かへ連れて行かれるミミ。


「みゃみゃみゃみゃ! なんなのみゃぁぁぁーーー!?」


 面倒みきれないなぁ。


「ふふふ、まだまだおバカさんね」


 母の眼が笑っていない。これはチェンジと言われても仕方ないぞ。


「ミミはあんな感じなのよ~」

「あら、そうなの? なのにどうして選ばれたのかしら?」

「あれでもミミは、魔力操作に優れているのよ~。だからだと思うわ~」


 ああ見えて、ちゃんとこの世界に存在するものの姿になって実体化をしている。それは精霊さんにとっては、凄い事なのらしい。

 それだけ精密な魔力操作が必要なのだそうだ。

 何故なら名前のある精霊さんというのは、俺達が想像できない程の魔力量を持っている。その魔力量を制御して、実体化する。

 精霊さんは俺達と違って、超自然的な存在なのだそうだ。


「精霊は姿を消せるのだもの、そんな面倒な事はしないのよ~。でも、ミミはできるの~。普通にかるぅ~くできちゃうのよ~」


 なるほど。凄いらしい事は分かった。

 でもミミは、何をするべきかを分かっていない。基本を分かっていないんだよ。

 だからそこを教え込まないといけない。


「あうあばー」

「あらあら~、ラウってお利口さんなのね~」


 おや? リンリンにも俺が考えている事が分かるのか?


「あばぁ?」

「分かるわよ~、精霊だもの~」


 そうだった。なら具体的に、何をどうするのか教えてくれるようにミミに言ってくれないか?


「そうね~、でも面白いじゃない~?」

「あぶぅ」

「あら、ラウはまだ話せないのね~」


 おうよ。赤ちゃんだからな。


「ぶぶぶぅ」

「うふふふ、かぁ~わいい~わぁ~」


 フワリフワリと飛んで来て、俺の肩に留まった。

 お、なんだかお花の良い匂いがするぞ。


「ミミと違って私は綺麗にしているもの~」


 え? ミミって汚いのか?


「そんな事ないわ~。でも、お風呂には入らないわね~」


 まあ、鳥さんだから。


「あら、鳥さんの見た目をしているだけで、精霊なのよ~」


 精霊さんはお風呂に入るのか?


「私くらいになると入るわね~。入らなくても、精霊は汚れたりしないのよ。でもお風呂って、気持ちいいじゃない~?」

「おう、俺も入るぜ」


 ほうほう、色々あるんだな。一回目の時は精霊との接点なんてなかったから新鮮だ。

 そんな話をしていると、またボロボロになってミミが戻ってきた。

 一体父に、何をされているのだろう?


「らうみぃ……とっくんなのみゃ」

「あばぶー」

「まほうのとっくんをしゅるみゃ」

「あばぁ?」

「もうこわいみゃ。ちちしゃまも、ありしあしゃまもこわいみゃ。もっとみみを、だいじにしゅるみゃ」


 またブツブツ言っていた。


「まじゅは、ひかりをだしてみるみゃ」

「あぶあー」


 そんな事を言われても、できないぞ?


お読みいただき有難うございます!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ミミは、優秀らしいけど今だにそれが発揮されていない。ラウちゃんのサポートをしっかりとしないと本当にお父様のお小言だけでは済まないかもね(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾頑張れ‼️ミミ [一…
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