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134ー怒っちゃった

「らうみぃ、もっと、うしゅーくがいいみゃ」

「え? しょうなの?」

「しょうみゃ。このあたりのくうかんじぇんたい(全体)しんとう(浸透)しゃしぇる(させる)ようないめーじ(イメージ)みゃ」


 ほうほう、浸透させるイメージね。なにがあったかなぁ? 霧が出るような感じかな?

 ミミが言ったように、放っていた魔力をもっと薄く隅々にまで浸透するように広げていく。すると、俺の頭の中の3D地図にピコーンと反応があった。

 えっとこれはどこだ? この一角の隅、あの柱の向こうか? と、俺は確認する。ここまで分かればこっちのものだ。


「みちゅけた!」

「ラウ、何をする!?」

「とうしゃま、ばいんろしときましゅ!」

「ラウ! 私も行く! 一人で行くんじゃない!」

「らいじょうぶれしゅ。みみ、いくよ」

「みゃ!」


 俺はシュンッと、3D地図に反応があった場所へと転移する。父からも見えている範囲だ。

 隠れているつもりなのだろうけど、俺の探索に引っ掛かっちゃったのが運の尽きだ。

 貴族みたいな格好をしている男が一人、柱の陰に隠れていた。これは隠蔽の魔法だろうか? うまく姿を隠している。周囲に溶け込んでいて、注視しないと分からない。

 その男の真上に転移した俺は、そのまま男目掛けて落ちた。


「どどーんッ!」

「みゃみゃみゃ!」


 男の頭上からドドーンと、男の顔面にしがみ付いた。


「うわぁッ! な、なんだ!?」


 そして魔法で重さを加える。どうだ? 立っていられないだろう? そして、ついでに。


「ばいんろ!」


 男の体を魔力の縄が巻き付き拘束する。

 とうとう男は立っていられなくなって、膝を突き倒れた。


「ラウ!」

「とうしゃまー! ばいんろしましたー!」


 男の顔面に座って、俺は父に手を振る。やったね、まずは一人だ。


「一人で行くんじゃないと言っただろう! 父様が心配するのだぞッ!」

「らいじょぶれしゅ!」

「みみがいるみゃ!」

「ミミだけだと不安じゃないかッ!」

「みゃみゃみゃ! みゃん()れしゅとぉッ!」


 アハハハ、父の言い分もよく分かる。だってミミだもの。


「しちゅれいみゃッ! ちちしゃま、てっかい(撤回)しゅるみゃ!」


 ミミが怒って父の頭を突きに行った。が、パシッと手で叩かれた。


「何を怒っているんだ。本当のことだろう」

「みゃ! ひろいみゃ!」

「とうしゃま、これ、ろうしましゅか?」

「ああ、バインドしたならそこに放って置いて良い。騎士団が直ぐに見つけるだろう」


 なるほど、それだけ騎士団も動いているのだな。


「だから、ラウ。誰に見られるのか分からないんだ。安易に転移するんじゃない」

「えー、らってべんりなのに」

「みゃ! しょんなことより、みみはたよりになるみゃ! しょう、みとめるみゃ!」

「ミミ、うるさいぞ」


 フェンがニュゥッとお顔だけ出してミミに文句を言った。


「何をしているのか理解していなかっただろう? そんなので使い魔が務まるのか? ん?」


 フェンの方が今の状況をよく理解しているから、ミミは不利だぞ。


「みゃみゃみゃ! なにいうみゃ!」

「じゃあ、今何をしているのか分かっているのかよ」


 フェンが出てきて、真っ黒な翼を羽搏かせながらミミの周りを飛んでいる。あの翼、綺麗なんだ。ああいうのを「カラスの濡れ羽色」というのだろうな。

 まるで濡れているかのように、しっとりとした艶のある黒だ。


「みゃ! とうじぇんみゃ、しゃが()してるみゃ!」

「何を探しているんだ?」

「みゃ……みゃ! とにかくしゃがしてるみゃ!」

「ほらみろ、分かってないじゃねーか」

「ふぇんはいじわるみゃ!」


 はいはい、もう良いからさ。キリがない。突っ込まれたら何も言い返せていないじゃないか。


「みみ、こっちおいれ」

「らうみぃー! ふぇんが、いじめるみゃー!」


 子供みたいなことを言いながら、パタパタと飛んできて俺の顔にしがみ付いた。


「ぶふッ! みみ、いたいから」

「らって、らうみぃ!」

「わかったって。みみは、てんしゃいらもんね」

「みゃ! しょうみゃ! みみはてんしゃいみゃ! かくれてるやちゅ()をみちゅけるみゃ!」


 そういうとミミがパタパタと上空に飛んだ。


「みゃみゃみゃみゃー!」


 ミミが羽を広げると、ペカーッと光を放った。え? 光るの!? そんなことできたのか?

 ミミは真っ白な光を放った。目が眩むような強い光ではない。気を付けないと分からない程度の淡い光だ。

 だが、それを一瞬で辺り一帯に広げていく。木の陰や建物の陰なんて関係ない。行き渡らない場所なんて無いくらいに、満遍なくだ。


「しょこみゃ! らうみぃ! いくみゃ!」

「うん!」


 ピューッと降りてきたかと思ったら、俺の肩に乗りそのまま転移した。

 そうそう、それだよ。ミミもやろうと思ったらできるじゃん。なんて俺は軽く考えていた。


「ラウ!」

「あー、ミミの奴」

「フェン! どうなっているんだ!?」

「ミミがラウを連れて転移したんだ。俺達も行くぞ」


 フェンが父と一緒に転移する。フェンも転移できるのだね。そりゃそうか、精霊だもの。

 ミミと一緒に転移した俺は、また真下にいた男の顔面にポテンと落ちた。もちろん顔面にしがみ付いている。


「うわッ! 何だ!?」

「おしまいらよ」

「みゃ!」


 そしてまたドドーンと重さを加える。


「ばいんろ!」

「みゃみゃみゃ!」


 ミミ、いちいち煩いよ。


お読みいただき有難うございます!

今日はミミがちょっぴり本気を出しています。今日のお気に入りのセリフがミミの

『みゃんれしゅとぉーッ!』

です!めちゃ可愛くないですか?

いつも感想を有難うございます!

励みになってまっす。感謝です!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


リリの1話に感想を頂きました。う、う、嬉しい(T ^ T)

そういえば、リリの1話を久しく読んでいませんでした。あの頃は何も考えず、まさか書籍化されるなんて夢にも思わず書いていました。

来年は⑥が発売予定です。新しいアイデアもあるので、頑張るのです!

ボクは光の国の転生皇子さま!⑤発売中です!

挿絵(By みてみん)

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どどーんッ!って、ちゅどーんの威力の3割くらい?
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