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121/216

121ーこっそりね

「で、ラウ。本当にそうなの?」

「あい。らからいっぱい、ちゅかうといいれしゅ」

「ふふふ、沢山使えば良いのね」

「あい」

「じゃあ、0歳から魔法を使っているラウの魔力量は……」

「ええ、あなた。きっと膨大なのでしょうね」


 まあ、大賢者だからな。

 俺は0歳から、魔法を使っていなかったとしても魔力量は多い。人類の最大値だと言っても過言ではない。それが大賢者というジョブだ。


「これは5歳の鑑定の儀が怖いな」

「内密にしないといけませんわ」

「ああ、そのように準備しよう」


 いやいや、まだ3歳だからな。あと2年もあるぞ。

 話しが飛んでしまったけど、その間者だ。

 俺が0歳の時に、デオレグーノ神王国の間者を撃退した。なのに凝りもせず、まだこの国に間者が入っているらしい。俺の後を付けていた奴の身柄を、取り敢えず拘束している。もちろんデオレグーノ神王国に帰すつもりはない。

 しかしあの時、バットが気付かなかったら誰も気付かなかったのか?

 緊急の招集が掛かって例の会議室だ。サイラスはいない。きっと拘束した男を、まだ尋問しているのだろう。


「サイラスさんは気付いてましたよ。確実にラウ坊ちゃんを、尾行していると分かるまで泳がせていたらしいです。邸の前まで来て、これは確実だと捕縛に動こうとしたところで突然倒れたんです。不思議がっていました」


 と、アンジーさんが言った。サイラスは気付いていたのか。俺は全然気が付かなかったのだけど。

 浮かれていたからなぁ。いやいや、俺は今はまだ3歳だ。そんなちびっ子が、尾行に気付いたりするかよ。

 それより、明日からは行かない方が良いよな。残念だ。と、思って俺は肩を落としていた。


「ラウ、どうしたの?」

「かあしゃま、あこちゃんにおはなをもっていけないれしゅ」

「あら、どうしてかしら?」

「え、らって……」

「ラウ、気にしなくて良いと言ったでしょう?」

「そうだぞ、ラウ。警備は完璧にするから大丈夫だ」

「かあしゃま、とうしゃま……」


 だがアコレーシアの家にまで、危険が及ぶかも知れない。それは絶対に駄目だ。


「サイラスが確認しているが、今日拘束した奴以外にラウの後を付けている者はいなかったそうだ」


 そうなのか? でもなぁ……


『大丈夫なのれしゅ。あいつだけだったのれしゅ』


 バットだ。念話で話してきた。今の状況を把握しているのか? どこから見ているんだ?


『ここなのれしゅよ』


 ここってどこだよ。俺は窓の外を見た。ああ、いたいた。この部屋は天井近くに小さな明かり取りのための窓しかない。そこにぶら下がっている小さなバットがいた。

 いや待てよ。見ているだけじゃなくて、会話も聞いているのか? 聞こえるのか?


『ぼくは魔族なのれしゅ。これでもあの偉大な、魔王様のペットなのれしゅ』


 関係あるのかな? よく分からないけど。

 とにかくバットも、他に付けている者はいなかったと言っているから大丈夫なのだろう。


「だが、ラウ。明日も行くなら変装して裏口から出なさい」

「とうしゃま、へんしょうれしゅか?」

「ああ。この周辺は貴族の邸しかないから、そうだな……従者見習いのような格好はどうだろう?」

「あら、良いわね。可愛い従者見習いだわ」


 え……そういう問題なのだろうか? まあ、取り敢えずのカモフラージュにはなるのか?

 本当に行っても良いのか? 迷惑にならないかな?

 俺が不安そうにしていたからだろう。アンジーさんが教えてくれた。


「昨日奥様とパーティーに出席した時点で、あちらには秘密裡に護衛が付いています。だから坊ちゃん、心配しなくて大丈夫ッスよ。坊ちゃんの初恋ッスからねッ!」


 そう言いながらウインクなんてしてきた。

 初恋って言うな。照れるじゃないか。初恋というよりも……なんて言ったらピッタリくるのだろう。まさか前の時からずっとなんて言えない。俺って、とっても重い奴なのかも知れないと自分で思った。

 そんな感じで、俺は次の日もトコトコと歩いてアコレーシアの家まで行ったんだ。

 父が言っていたように、従者見習いの格好をしてだ。それにも無理があるんだけど。

 だって俺はまだ3歳だから。そんなちびっ子の従者見習いなんているわけない。

 それでも、それっぽい服装に着替えさせられた。そして昨日と同じように、おフクとサイラスと一緒にトコトコと歩いて出掛けた。一応裏口を出る時に、サイラスが辺りを確認してからだ。


「さいらす、らいじょうぶかな?」

「はい、大丈夫ですよ。今日は誰も付いて来ていません。坊ちゃんは心配しなくて大丈夫ですよ。私がお守りします」

「私もですよ」

「うん、ありがと」


 心強いことを言ってくれる。昨日の内に、母から連絡が入っていたらしくて、アコレーシアの家に入るのも裏口からそっと通された。なんだかとっても申し訳ないんだ。

 俺の我儘の所為でさ。それでも、アコレーシアが笑顔で出迎えてくれるのを見ると嬉しく思ってしまう。


「らう、らいじょうぶ?」

「らいじょぶらよ。ありがと」

「アリシア様からお手紙を頂いたわ」

「あい、めいわくかけちゃいましゅ」

「あら、迷惑なんかじゃないのよ。アコだって楽しみにしているの」

「おかあしゃま、しょれはいったら、はじゅかしいれしゅ」

「あら、ごめんなさい。ふふふ」


 二人で和やかに迎えてくれた。

お読みいただき有難うございます!

ラウとアコちゃんとバットの喋る言葉がごっちゃになってしまって、誰がどうだったか分からなくなってしまいました^^;

『〜れす』だったっけ?『〜れしゅ』だったっけ?

やっぱ幼児言葉を話すのは最低人数にしないと(-。-;

来月少しご報告できると思います。

いつも感想を有難うございます!

励みにラウも頑張りまっす!

宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ロロ②の初稿が終わったらリリ⑥なのですね。ああ、また大変だろうなぁ。リリが一番大変なのです。

ボクは光の国の転生皇子さま!⑤発売中です。

来年は⑥。あと少しでラストです!皆様が変わらず購入して下さるおかげです。有難うございます!

今日はリリ③の書影を。どの書影にも思い入れがいっぱいです。

挿絵(By みてみん)

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