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10ー精霊さん

「ふぅ〜、とってもおいしかったみゃ。やっとおちちゅいたみゃ」

「いいかしら?」

「なんなのみゃ? ここまれとおかったのみゃ。しゅこしきゅうけいしゅるみゃ」

「そう、それはご苦労さま。私はアリシアよ。精霊女王から聞いてないのかしら?」


 休憩すると鳥さんは言ったが、母は華麗にスルーだ。

 また少し、母が纏う空気が冷たくなってきた。ちょっぴり怒っているのではなかと俺は冷や冷やしながら見ていた。


「ありしあしゃま、きいたのみゃ。よろしくみゃ。けろ、こんなにとおいとは、おもわなかったのみゃ」

「そうなのね」

「そうなのみゃ。ほんちょにほんちょに、ちゅかれたのみゃ」


 そう言いながら、今度はせっせと毛繕いをし始めた。

 どんどん、母の周りの空気が冷たくなっていく。いい加減に気付かないか?


「じゃあ、チェンジしようかしら?」

「みゃ? ちぇんじってなんなのみゃ?」

「役に立たないから違う子にして頂戴って、精霊女王に言っちゃおうかしら?」

「み、み、みゃみゃみゃ!」


 途端に鳥さんがプルプルと震え出した。

 尾羽までプルプルと震えている。


「や、やめてほしいみゃ。しょんなことをしたら、しかられるみゃ」

「なら、ちゃんとしなさい?」

「わかったのみゃ。ごめんなのみゃ」

「ごめん?」

「ち、ちがったのみゃ。しゅみましぇんみゃ」

「よろしい」


 おう、母ってば怖いのだ。俺までブルッと震えてしまった。

 あ、いかん。これは怖いから震えたのではなくて、あれだ。


「ぶぶぶぶぅ……」


 ブル……ブルルル……


「ふ、ふ、ふぇ~」

「あらあら、フク」

「はい、奥様」


 おフクが俺を抱っこして、側にあるベンチにハーフケットを敷いて寝かせる。

 分かる? 赤ちゃんなんだよ、俺。ブルルッと震えて出ちゃった。


「オムツ替えましょうね」

「あうぅ」


 すまない。まだ自分で出る前に行くとか無理だから。


「まだあかちゃんなのみゃ」

「あなたはもう一人前なのでしょう?」

「あたりまえみゃ。しぇいれいじょうおうに、しんらいしゃれてるのみゃ」

「あら、そうなの?」

「そうなのみゃ。じぇちゅだいの、しんらいなのみゃ」

「ふふふ」


 本当なのかよ。てか、精霊女王って何なんだ?

 一回目の時は、そんなワードは出て来なかったぞ。もちろん、この鳥さん自体も出てこない。

 俺が記憶を持っていると言う事。それにやり直しだと言う事も、有り得ない事なのだけど。

 それにしても、一回目とは違い過ぎるだろう?


「ふ、ふ、ぶえっくちゅ」

「あらあら、大変。寒かったのかしら?」

「ばうばぁー」


 大丈夫だ。ちょっと下半身おっ広げたから、スースーしただけだ。

 おフクが手早くオムツを替えてくれて、スッキリした俺。


「ばぶあー」


 また懲りずに鳥さんに手を伸ばす。


「なんみゃ?」


 今度は流石に(つつ)いてこない。


「この子はラウよ。私の子なの。貴方が仕える子よ」

「みゃ!? まらあかちゃんなのみゃ!」

「そうね」

「どうしてみゃ!?」

「必要だからよ」

「そんなことないみゃ! あかちゃんみゃ!」

「やっぱりチェンジしようかしら?」

「みゃみゃ! それはやめてみゃ」


 なかなか話が進まない。

 ここでもう一度言おう。母のジョブはエレメンタラー。精霊使い。

 母は精霊と意思疎通ができる。そのジョブで精霊女王とも、交流があるのだそうだ。

 母は父と婚姻する前から、薬草を育てている。それも、普通では、採取できない希少なものばかり。

 邸の裏に、人目を避ける様に建てられた温室がある。態々、母の為に父が建てたらしい。今はそこで育てている。

 人類未踏の地にしか生息していない、貴重な薬草もあるらしい。

 それを母が、どうやって手に入れて育てているのか?

 精霊だ。精霊にお願いして、薬草を採ってきてもらう。そして、精霊に教えてもらいながらそれを育てているんだ。

 そのお陰で、数年前に病が流行った時も直ぐに薬が作られ、この国では被害が少なかったらしい。

 そういえば一回目の時も、母はせっせと薬草を育てていた。貴重な薬の材料になるからと話していた事がある。

 今回は精霊女王に、使い魔になる子を寄越して欲しいと相談した。それでやって来たのがこの鳥さんだ。これでも歴とした精霊さんだ。

 あんまり頼りにならなそうだけど。


「ありしあしゃま、まかしぇるみゃ。どんとまかしぇるのみゃ」


 モフッとした鳩胸をグイッと出している。胸を張っているつもりなのだろう。

 この胸のところの羽が、モフッとフワッとしていて、その所為で俺は息ができなかったんだ。

 でも、触りたい。


「ぶぶぶぅ」


 おフクに抱っこされながら、手を伸ばす。触りたいんだ。


「ぶぶぅ、あぶあー」

「うるしゃいみゃ」

「なんですって?」

「な、な、なんでもないみゃ」


 この鳥さんは学習能力がないのだろうか。ほら、母の顔を見てみ? 微笑んでいるようで、目は怒っているだろう?

 それくらいの事は分からないと、世の中やっていけないぞ。

 母には逆らえないと、早く認識する方が良い。俺でも分かった。母は怒らせたら怖いのだと。


「が、がんばるみゃ。よろしくみゃ」

「よろしくお願いしますでしょう?」

「よ、よろしくおねがいしましゅみゃ」


 語尾に『みゃ』と言うのは、デフォなのか?

 鳥さんなのだから『ピヨ』ではないのか?


お読みいただき有難うございます!

すみません、遅くなりました。

何をどこに投稿したのか訳分からなくなってました!^^;

応援して下さる方は是非!評価やブクマをして頂けるととっても嬉しいです!

張り切って続きを書きます。(๑˃̵ᴗ˂̵)/

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり怒らせると怖いのは母上様なのだ‼️それにこの精霊大丈夫か⁉️ 空気を読もう。このさき、生きていく為にも(-。-; [一言] この精霊何処生まれ❓名古屋出身なのか異世界で⁉️語尾がみ…
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