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9話 ボウかボーか

ダンジョンの直ぐ側にある駐車場に車を停め荷物を下ろす。


「こんなトコに駐車場なんてあったんですね」

「あぁ、ここはDD職員専用の駐車場なんで一般にはあまり知られてないんですよね」

「へぇ~、そういえばダンジョンに来る時は公共交通機関を使えってアナウンス色んなトコで聞きますね」

「でも、救急車やドクターヘリが常駐してたりするんでDD職員でも自由に使えるって訳でも無いんですけどね」

「へぇ~」


と、ヒーラーの高橋さんに装備の装着を手伝って貰いながら雑談に花が咲いていた。


「ご存知だとは思いますがこういった情報も他言されない様お願いします」

「あ、はい」

「情報の出方に依っては揉める事もあるので」


と、加藤さんに釘を刺された。


「最初なんだからもっと緩く行こうよ」

「いえ、最初だからこそしっかりと」


高橋さんは父さんよりも確実に年上だけど好々爺というと流石に失礼なのかもしれない。

まぁ、優しそうなおじさんだ。

それでヒーラーなんだからやっぱり職業はその人の性格だったり資質が影響するんじゃないかと思う。


と、考えるとひきもこりな俺は・・・いや、深く考えるのは止そう・・・。


「準備出来ましたか?」

「はい」

「それでは前列から私と松田が横に並びます」

「はい」

「その後ろに由良と高橋が並び、2人の後ろに佐々木さん」

「はい」

「最後尾に加藤という隊列で動きます」

「分かりました」

「それから、加藤。これ」

「はい」


と、本田さんが加藤さんに渡したのはボウガン。


「佐々木さんに使って貰おうと思ってるのですが」

「はい」

「一応、所持も使用も禁止されているので。ははは」

「え?良いんですか?」

「まぁ、良くは無いですねぇ」

「えぇっ」

「そこは、まぁ、アレです。黙ってればバレないと言いますか」


後で怒られたりしないんだろうか・・・?


「佐々木さんの安全を優先した結果の判断ですから」

「そう言われると何も言えないです」

「って事でダンジョン入るまで見えない様に盾で隠しといてくれ」

「はい」


ダンジョンに入りサクサクと進んで行く。


1階層は主にゴブリンが彷徨いている。しかも、単体な事が大半なので低レベル時のレベル上げに最適だ。

続いて2階層はゴブリン以外にもコボルトがチラホラと出始める。戦力的にはゴブリンもコボルトも大差は無い。

無いが・・・コボルトは二足歩行する犬なので犬派にとっては地獄である。


「佐々木さん」

「はい」

「1次転までどこを狩り場にしてました?」

「1~3階ですね。安全第一なんでそこまで混んでなければ1階がメインって感じですけど」

「じゃあ、コボルトもいけますよね?」


ペットは飼ってないが飼うなら犬を飼ってみたい。

なので出来れば御免被りたい所ではある。


「あー、苦手そうですね」

「は、はい・・・」

「でも、空いてて見られにくいんでコボルトでボウガンの練習しちゃいましょうか」

「あ・・・はーい・・・」


3階層はコボルトがメインでゴブリンはほぼ姿を見ないが、ゴブリンの代わりにオークがチラホラと姿を現す。

そして、ゴブリン・コボルトから一気に難易度が上がるのがオークだ。

正確に言うとオークから死亡率が一気に上がる。


ゴブリンやコボルトの武器は棍棒だったり切れ味の悪い短剣だったり奇襲を受けない限り攻撃を受けたとしても即死とは中々いかないがオークの武器は大斧やメイスの様な一撃必殺武器なので下手に攻撃を受ければ防具は粉砕し盾も砕け散る。

という事はその攻撃を受けた肉体は余裕でひき肉になってしまう。


なので、初心者は潜っても3階層まで。それも、オークを見かけたら即座に離脱。それがセオリーだが、下手をすると別のPTに擦り付ける行為になってしまうので1階2階が混んでいる時のみ3階まで下りても仕方ないという風潮がある。


そして、俺達はというと9割方1階層でレベル上げをした。土日で混み過ぎて芋洗い状態の時のみ2階に行った程度だ。

3階は興味本位で1回見に行った事がある。って程度だったりする。


という訳で、芋洗い状態の1階層を抜け多少は空きもある2階層も抜け一息に3階層までやってきた。


「加藤」

「はい。佐々木さんどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

「ボウガンの経験は?って、無いですよね」

「無いですね」

「とりあえず構えてみましょうか」

「え?こ、こうですか・・・?」

「あー、それで大丈夫です」

「え?良いんですか?」


思ってたよりも小ぶりなボウガンだったので両手でハンドガンを構える形になったがこれで良かった様だ。


「張力も大した事無いんで手で引けますよ」

「はい」


確かに。

かなり重く感じるが手で引けない事も無い。


「レベルが上がればもっと簡単に引けますよ」

「なるほど」



そうして俺のパワーレベリングが幕を開けた。


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