27話 マシマシ
ダンジョン復帰初日は思っていたよりも順調だった。収入的にも元々期待していなかったので全然納得出来た。
初日の最大の目的は慣れる事と勘を取り戻す事だったので、その目的は達成された。
2日目、調子に乗ったのが敗因だ。
余裕ぶっこいてゴブリンからコボルトに狩り場を移した事。勘を取り戻したと錯覚して気を抜いた事。
そして、ソロでの経験自体無いんだから気を抜いても良い瞬間なんて一切無いという事に気付いていなかった。
大空君のおかげで命どころか軽傷で済んだ。
身体よりもサイフの方がダメージが大きかったくらいだし・・・。
愚痴的なモノは極力控えたつもりだけど、この5年間の事を話せたのは初めてだったし気持ちは軽くなった気がしないでもない。
大空君からしたら通りすがりに助けたヤツから不幸話を聞かされて・・・今回の1番の被害者は大空君だろう。次点で大空君のPTメンバー達。
そして、懲りずに今日もコボルトを狩りに来ている。
いや、実際には懲りてはいる。懲りてはいるがジッとしていてもお金は出ていく。
ただ、反省はしているし学習もしている。
なので朝から狩りをしてお昼には一旦休憩をしにダンジョンの外へ出る。
買い取りを1日に2回もするのは効率的に良くないが仕方ない。
そして、お昼を済ませ気持ちもリフレッシュしてから再びコボルトを狩る為にダンジョンへと向かった。
ボゴォ───。
「よし・・・って、レベル上がったな」
背後からコソっとコボルトに近寄り、頭をカチ割った瞬間に頭の中にレベルアップのファンファーレが鳴り響いた。
まぁ・・・上がっても下がるから相も変わらずレベルは20のままなんだけど・・・。
ステータスウィンドウを見るのは実に5年振りだ。
思い出したくなくてその存在すら意識しない様にしていた。
ネトゲ内のステータスとは、あーでもないこーでもない。と、かなりにらめっこしたが・・・。
ずっと忘れていたが・・・ひきこもりって職業が前衛なのか後衛なのか、アタッカーなのかタンクなのか、はたまた支援職なのか全く不明でステータスポイントを振るのを禁止されていた。
ステータスさえ上がればスキルなんて無くても強くなれる。
Lv.10に上がった時から振っていなかったんだから俺には振っていないステータスポイントが52Pもある。
そう、52・・・あれ?
1レベ上がる毎に4P付与されるんだから・・・Lv.10で4P。11で8P。12で12P・・・Lv.20で44Pのはず・・・。あれ・・・?
いや、そうだ。20に上がって2次転職したは良いけどスキルが生えなくて。まだ、職業の方向性が不明だったから21までパワーレベリングして貰ってスキルが発生したんだった。
だからLv.20(+2)って考えるのが正しいはず。
そう考えればステータスポイントが52もある事に説明がつく。
謎職業、廃ゲーマーの恐らく固有スキル・・・レベルが上がるとレベルが下がる。これはレベルが固定だけどレベルアップするとステータスポイントは入る。
もしかしたら半永久的にLv.20→21の必要経験値で固定な可能性が高いっ・・・。
もしそうだとしたら強職な可能性もある。
攻撃スキルも無ければ支援スキルも無いし防御スキルも無いからステータスでゴリ押すしか無いけど・・・。
それでもレベルが上がれば上がる程にレベルを上げやすくなるし、もしそうだとしたら大器晩成型な職業だ。
体力:33
力:1
知能:1
敏捷:1
だったステータスを。
体力:50
力:36
知能:1
敏捷:1
にしてみた。
ソロなので不測の事態に備えて体力を多めに振り、そろそろ狩り場をオークに移す事を考えて残りを力に振った。
ゲーム脳的には範囲狩りでもしそうなステ振りだが殴られない前提なのでこの体力が効果を発揮する場面はなるべく来て欲しくはない。
でも・・・もっと体力多めの方が良かっただろうか・・・?
そして、ステータスウィンドウを閉じコボルト狩りに戻る。
ゲームとは違いレベル補正に依るドロップ率は存在しないっぽいのでそこの恩恵には与れないがコボルトをサクサクと撲殺していく。
体力を上げた事で持久力も上がり疲れもあまり感じない。
力が上がった事で今までよりも軽く木刀を振るっても簡単にコボルトを倒す事が出来る。
「うん、明日からはオークに行っても良さげだな」
体力の上昇、効率化による疲れの軽減があってもコボルトとのエンカウント率は変わらない。
なので明日からはオークに狩り場を移して経験値効率を上げたい。
ネカフェにひきこもっている間は知らなかったが最近はオークからドロップするオーク肉が流行っているらしく買取額も高いとの事だ。
経験値も稼ぎ懐も潤す。完璧な一石二鳥計画に笑みが溢れてしまう。
まぁ・・・今日のコバルトの買取額を全額カードに入れたが、まだまだマイナスだと言われその笑みも消え去ったが・・・。




