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21話 盥回し

長く滞在したネットカフェを引き払い多少の着替えしか入っていないリュックを背負い電車に揺られていた。

またここに来る事になるとは思ってもみなかった。


「DDカードの提示を」

「はい」

「ん?少々お待ちを」


そう、ダンジョンに来た。いや、来てしまったと言う方が正しいか。


「期限が切れてますね」

「あー・・・5年振りなんで・・・」

「更新されますか?」

「簡単に出来るモンなんですか?」

「はい。失効手続きをして頂ければ」

「じゃあ、お願い出来ますか?」

「いえ、DD本部か免許センターで手続きをして下さい」

「あー、今直ぐは無理って事ですか?」

「そうですね。サイトを見て頂くかこの冊子を読んで頂くか」

「サイトで見ますね」

「はい」

「お手数お掛けしました」

「はい」


日銭を稼ぐ為にダンジョンに来たは良いが出鼻を挫かれてしまった。


スマホで検索すると免許センターが隣の駅にあるとの事で。今から急げば午後からの更新に間に合う様なので早足で駅に向かった。



免許センターは思っていたよりも小さく小綺麗な建物で中に入ると地面には矢印があり壁には手順が大きく書かれていた。

ちらほらと人は居るが一切待たされる事も無く矢印に従って進んで行く。


「更新ですか?」

「あ、いや、失効?したので」

「では、こちらに記入を」

「はい」

「失効されたカードはお持ちですか?」

「はい」


記入する手を止めてサイフからカードを出す。


「ここでは記入だけで結構です」

「あ、はい」

「それでは、この紙とカードを5番の窓口で提出して下さい」

「はい」


また矢印通りに進み5番の窓口へ。


「失効ですか?」

「はい」

「では、この紙を持って6番の窓口へ」

「はい」


あれ?カード没収されたけど・・・?


6番の窓口でさっき受け取った紙をそのまま提出する。


「失効の手数料は2万円になります」

「えっ・・・」


そんなするのか・・・。


「どうされますか?」

「あ、払います・・・」


かなり痛いが今更引き下がれない。


「では、これを持って2番へ」

「はい」


思いの外たらい回しになってる・・・。


2番では視力検査があった。

廃ゲーマー(笑)な割に視力は悪くないので問題なくクリア出来た。

その次は証明写真。その後にDD職員のおじさんに依る講習がありダンジョンの危険性や基本的なルール等の説明があった。

この5年で多少のルール変更はあった様だが概ね5年前と大差無かった。


そして、更新組はここでカードを渡されて帰って行ったが失効組はまだ居残りをさせられるらしい。

まぁ、組とは言ったが失効してるのはこの場に俺しか居ない・・・。


「えーっと、では、簡単な質問をいくつかさせて頂きますね」

「はい」

「失効された理由は?」

「えっと・・・高校の時に資格を取ったんですけど」

「はい」

「まぁ・・・色々あって引退しまして・・・」

「色々?」

「えっと・・・」

「あぁ、別に責めたりする訳では無いので言いたくない事は言わなくて結構ですよ」

「あ、はい。PT解散があったりって感じ・・・ですかね・・・」

「なるほど。では、失効される程引退されてた訳ですが。今になって復帰しようと思った理由は?」

「まぁ、お金ですね」

「なるほど。先程も講習で説明しましたが危険も伴います」

「はい」

「それでも復帰されたい。と」

「そうですね」

「解散されたと仰ってましたが」

「はい」

「PTに加入、もしくは結成される予定はありますか?」

「あー、無いですね・・・」

「ソロですか・・・」

「そうですね・・・」

「復帰される方向けの講習があるのですが如何ですか?」

「そんなのあるんですか?」

「はい。有料ですが」


oh...無料なら・・・。


「1時間2万円ですね」

「辞めときます・・・」


それは流石に無理だ。


「では、最後に」

「はい」

「体力テストを受けて頂きます」

「はい」

「この札を持って地下の訓練場へ。出て直ぐ右手の階段を下りて下さい」

「はい」

「あ、最後に余計な事ですが・・・」

「はい?」

「若いんですから無理してダンジョンに行く必要も無いと思いますよ?」

「あぁ・・・そうですね・・・」

「それと本当に余計なお世話ですが。無理だけはしない様にして下さい」

「はい・・・ありがとうございます」

「では、頑張って下さいね」

「はいっ」


久しぶりに人の優しさに触れた気がして目頭が熱くなった。

そんな姿を見られるのも恥ずかしいので足早にその場を離れ、地下にある訓練場へと向かった。


靴を脱ぎ、畳なので靴下も脱いで靴の中に突っ込んだが・・・。

誰も居ないっ・・・。


「すみません、遅くなりました」

「あ、いえ、俺も今来たトコです」



そう言いながら振り返ると、そこには見覚えのある顔があった。


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