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20話 居場所

1000万円を元手に起業出来る様な才能は無いので却下。

無難にバイトをしながら生活して、定時制や通信の高校に行く事も考えた。


ただ、元友人や母親から悪意を直接ぶつけられて全てがどうでも良くなってしまった。


住んでいた街を離れ、ネットカフェを転々としながら流れ着いたのは片田舎の駅前にあるネカフェだった。

ここが他と比べてずば抜けて安いとかサービスが良いとかでは無く、中学時代に良く通ったネカフェとシステムや雰囲気が似ていた。ただそれだけな気がする。



近所のスーパーで3割引シールの貼られた弁当を買い、それをお昼過ぎの公園のベンチで食べ、そのままベンチで横になった。

ここ数日、レイドイベントで寝る間も惜しんで狩りをし続けた所為か疲れが溜まっていた。


「君、ここで何してるの?」

「え?」


人が気持ちよくうつらうつらしているというのに揺り起こされた。


「警察?」

「うん、そうだよ。で、君はここで何してるの?」

「え、ご飯食べてちょっとボーっと・・・」

「学生?学校は?」

「あ、いや、学生じゃないです」

「じゃあ、フリーター?」

「あ、いや、無職ですね・・・」

「はぁ~、ダメだよ?もっとちゃんとしないと」

「は、はい・・・そうですね・・・」

「それでね?不審者が居るって通報あったから」

「え?俺ですか?」

「うん、そう。だからね、ちゃんと家に帰りな?」

「はい・・・すいませんでした・・・」


たまにこの公園で弁当を食べるのがリフレッシュになっていたが・・・。

公園の対角線にベビーカーを押したママさんグループが俺の方を見ている事に気が付いた。

通報したのはあのグループの誰かだろう・・・まぁ、こんな日中に若い男が1人で弁当食べて寝てたりしたら見るからに怪しいし、こんな怪しいヤツが居ると安心して赤ん坊や小さい子供を遊ばせる事が出来無い。


それは分かるが自分の居場所はこんな公園にすら無いという事実が悲しかった。

急ぎ足でネカフェに逃げ込み、更にはゲームの中へと逃避した。



[たそまる]:よろですー

[†魔弾の射手†]:よろ

[kj]:46

[ぽんちゃん]:よろしくお願いします

[田中]:よろしくね

[ぽんちゃん]:レベ低いので足引っ張ったらごめんなさい

[たそまる]:だったらぽんちゃんさんにヒール優先して回しますね

[ぽんちゃん]:ありがとうございます^^

[田中]:他に注意事項なければー

[kj]:おk

[†魔弾の射手†]:おk

[たそまる]:おkです

[ぽんちゃん]:okです!

[田中]:ではいきますね



出来るなら誰とも接する事無く1人でやりたいけど・・・レイドイベントでPTを組まなければ流石にクリア出来ないので仕方なく野良PTでレイドに参加している。


ここ数年、本当に人との繋がりを断って来た。

アイツら以外にもクラスメイトにも電話番号やアカウントが知られていたのでスマホも契約しなおした。

その新しいスマホに連絡して来るのは父親だけだったがそれも何時の頃からか嫌気が差し解約した。

今使っているスマホはただの電子決済専用端末に成り下がっている。



[田中]:お疲れ様でした

[たそまる]:おつでしたっ

[kj]:02

[ぽんちゃん]:お疲れ様でした。足引っ張ってなかったですか?

[†魔弾の射手†]:おつ

[たそまる]:大丈夫でしたよー

[田中]:皆さん良い感じで連携取れてましたよ

[ぽんちゃん]:良かったです^^

[田中]:良い感じだったんでこのPTで固定にしませんか?

[たそまる]:私は大丈夫ですよー

[kj]:俺はこれで抜けます

[田中]:そうですかお疲れ様でした

[kj]:ありでした

[たそまる]:ありでしたー



ゲームの中でもモニターの向こうに人が居るかと思うと深く関わりたくない。

ただ、こんな生活もそう長くは続かない。

高校を退学してから5年が経ち1000万あった貯金も残り僅かになっていた。


今更バイトをするのか?

今更高校に行くなり大検を取る?


就職出来るならしたいが高校中退で5年間ひきこもりで親とも連絡が着かない。

金も無ければ資格も無い、何も無い・・・。


こんな生活とは決別しなけれればいけないが何をすれば良いのかも分からない。

ただ、金は無い。


なので中学時代プラス5年の努力の結晶とも言えるこのアカウントを売りに出した。

たった4万円と引き換えに逃避先であるデータすら失った。



これで完全にこの世界に俺の居場所はなくなった。


RMTダメ!ゼッタイ!

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