15話 コンビニ飯
お腹は空いていたが台所でゴソゴソしている最中に母親とエンカウントするのが怖いので父親に言われた通り風呂に入って自室へと逃げ込んだ。
まだ髪は濡れたままだがベッドに横になり思案する。
母親があれだけ言うという事は石橋のお母さんからなり他からなり色々言われたんだろう。
先にやったのはアイツらだが・・・いや・・・俺の方が先って事になるんだろうか・・・その辺りは難しいラインな気もするが・・・きっと各々が自分が1番の被害者だと思っているんだと思う。俺も含めて。
これだけ拗れた以上、時間が解決してくれるか、それとも永遠に解決しないかのどちらかだろう。
明日も早いので髪を軽く乾かしスタミナの溢れてしまったソシャゲの巡回だけして眠りについた。
翌朝、寝ぼけ眼をこすりながらトイレから出ると。
「あ、はよー」
「おはよう」
洗面所で父親と出くわした。
「あ、おい、ちょっと待て」
「ん?」
「これ」
「え?」
と、1000円を裸で渡された。
「なに?これ」
「朝飯代」
「え?」
「母さんまだ寝てるから。今の内にサッと出ろ」
「あー・・・うん」
「何言っとるのか分からんから何したのか知らんけど、今晩くらいには落ち着いとるはずだから」
「あー、うん、分かった」
「ほれ、母さんが起きる前に」
「あ、うん」
と、急かされ。急いで準備を済ませ外に出た。
「おはようございます」
「おはようございます。」
予定よりもだいぶ早い時間のはずなのに豊田さんは既に家の前に車を停めて待っていた。
「豊田さんすいません」
「はい?」
「朝ご飯まだなんで」
「コンビニで宜しいですか?」
「はい」
途中、コンビニに寄って貰いお茶とおにぎりを買った。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
「お気をつけて」
「はい」
車から降りて辺りを見回すが当然見知った顔は見当たらない。
どころか車もほとんど停まってないし人気も無い。
家を出たのが早かったのでそれも当たり前か。
ガサガサガサ───。
コンビニ袋を漁りおにぎりを頬張る。
お腹が空いていたので10秒程で1個を完食。
「これも10秒チャージかな・・・」
と、呟いた。
「朝もゼリーで済ませるんですか?」
「え?」
振り返ると本田さんを筆頭に護衛PTの面々がそこに居た。
「あ、おはようございます」
「おはようございます。今日は早いですね」
「あー、ちょっと・・・ってか、皆さんも早いですね」
「我々は最終の打ち合わせがあるので」
「なるほど」
「少し打ち合わせをしたいのでお待ち頂けますか?」
「あ、はい。俺もまだおにぎり食べたいんで」
と、コンビニ袋から2つ目のおにぎりを取り出した。
「お待たせしました」
「はい」
打ち合わせと言っても最終確認のみだったので10分も掛からずに終わったようだ。
お茶の残りを飲み干しコンビニ袋に飲み終わったペットボトルを突っ込んだ。
「今日の予定ですが」
「はい」
「防具を装着しながら簡単に説明しますね」
「お願いします」
ひきこもりに引き続き廃ゲーマーも職業の方向性や能力が不明な為ステータスを振るのは禁止。
なのでパワーレベリングを継続する。
その際に、レベルが上がる毎にステータスウィンドウをチェックして増えたステータスポイントの増加量や新たにスキルが発生していないかをチェックする。
その他にも何か変化があれば直ぐ様報告をする。
簡単に言うとこんな感じだった。
「では、準備宜しいですか?」
「はい。皆さん今日もよろしくお願いします」
そして、ダンジョンへと向かった。
「順調ですねー」
「昨日も思ったんですけど」
「はい?」
「皆さんの立ち回りですよね」
「まぁ、訓練してますからねぇ」
「後ろからモンスターが来る事も無いし本当に凄いです」
「来てくれた方が僕的にはありがたいんですけどねー」
「え?」
「基本的に僕はレベルアップを禁止されてるんですよ」
「あー・・・言ってましたね」
「それがほら?佐々木君を守る為に倒した分は合法的じゃないですか」
「なるほど・・・」
「由良ぁ・・・」
「なんですか?」
「そうやって勝手に上げるから余計に上げさせて貰えなくなってる事にそろそろ気付け」
「えー、言われて上げるのって癪じゃないですか?」
「天邪鬼すぎんだろ・・・」
「無駄口はその辺で。佐々木さん来ましたよ」
「あ、はい。すいませんっ」
あまりにも安全に狩りが出来ている所為で気が抜けまくっていた・・・。
「佐々木さんどうぞ」
「はい!」
ボウガンでオークを撃ち抜いた時、頭の中にレベルアップの音が鳴り響いた。
「上がりました」
「おぉー、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「どうですか?」
「ステータスウィンドウ」
ステータスウィンドウを開き端から端まで確認した。