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13話 black or white

由良さんが小銭を儲けた話は置いといて・・・いや、小銭なのか大金なのかは知らないが。

希少職は妬まれ疎まれるのが伝統なのかもしれない。


30分で見張りが交代し、合計1時間の休憩を取った。その時、吃驚したのは皆が皆防具を全部外していた事だ。

比較的軽装な由良さんや高橋さんならまだ分かるがタンクで重装備な本田さんも加藤さんも防具を全て外していた。

慣れているので脱ぐのに5分、装着するのに10分、チェックに3分としても脱いで着るだけで20分近く掛かる。


そうすると休めるのは実質10分程になってしまう。


「着たままの方が休めるんじゃないんですか?」

「難しいトコなんですけどね」

「際どい所ですよね」


なにが?際どいって。


「30分着たまま休むのと10分完全に休むのってトントンくらいかもですよね」

「どうだろうなぁ。俺は10分しっかり休んだ方が後が楽かな」

「まぁ、俺もですね」

「へぇ~、そういうもんなんですね」

「佐々木さんもその内分かりますよ」

「えぇ・・・」

「長期間ダンジョンに潜り続けたりすると分かりますよ」

「な、なるほど・・・」


それが分かる日はあんまり来て欲しくないな・・・。


「今回みたいに帰るのが確定してる時は脱がない方が効率良いかもですね」

「なるほど」

「30分の間に睡眠も取らないといけない時とかは・・・」

「は、はい・・・」

「脱いだ方が良いですね」

「え?」

「あぁ、やっぱりそう思いますよね」

「え?10分しか寝ないって事ですか?」

「ですねぇ」

「それこそ30分寝た方が良いんじゃないんですか?」

「人それぞれだとは思いますけど、俺の場合は脱いで10分の方が疲れが取れますね」

「へぇ・・・」

「佐々木さんも機会があれば試してみて下さい」


うん。そんな機会は一生訪れて欲しくない。


「2次転したら直ぐにその機会が来るかもですしね」

「あぁー、頑張って下さい」


いや、だから来て欲しくない・・・。


と、散々脅された所為で休めた気がしなかったが狩りが再開された。


「おぉ・・・上がりましたっ!」

「おめでとうございます」

「おめでとーございまーす」

「ありがとうございます」

「えっと・・・新しい職業は・・・」

「あ、待って下さい」

「え、はい」

「機密情報になるので戻ってから報告をお願い出来ますか?」

「あ、はい、分かりました」


家に帰るまでが遠足。じゃないけど、目的は達成したけどダンジョンを出るまでは気を抜かない方が良いだろう。



とか、考えていたけど完全に守られているだけの立場で気を抜くもクソも無かった。

皆さんが完全に仕事を(こな)し何事も無くダンジョンの外に出た。


そして、駐車場へと向かい。防具を外し・・・当然、手伝って貰ってだが。

車に積み込んだ。


「お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

「我々は別ルートで戻りますので。佐々木さんは豊田さんの車で本部に向かって下さい」

「はい。ありがとうございました」


今日は来た時も別だったからか、前回がたまたま一緒に来たからというだけなのか皆とは別行動になった。

昨日今日の付き合いだけど多少は打ち解けて来た気がしたタイミングだっただけにちょっと寂しさもあったりする。


「お疲れ様です」

「今朝はありがとうございました」

「いえいえ、仕事ですので」

「おかげでダンジョン内で眠くならずに済みました」

「あぁ、そちらでしたか」


豊田さんとの雑談も程々にDD本部に到着した。


「お疲れ様です」

「ありがとうございます」

「5階の応接室で山本さんがお待ちだそうですので、そちらにお願いします」

「はい、ありがとうございました」


地下駐車場から建物に入り、エレベーターで5階まで上がる。


チーン───。


「佐々木さんお疲れ様です」

「あ、山本さん」

「お待ちしておりました」

「今日中って結構ギリでしたよ」


そう。

パワーレベリングとはいえ、俺がLv.20に上がり2次転職を済ませダンジョンから出た時には陽も傾き、今にも夕日が完全に沈みそうな時間だった。


「予定よりも早いくらいで助かりました」

「あ、そうなんですね」

「はい。ですが、続きは部屋で」

「あ、はい」


応接室に入り、席に着いた。


「どうぞ」


と、座ると同時にコーヒーが出てきた。


「ありがとうございます」


ただし、ブラックはどう頑張っても飲めない。


「ミルクと砂糖はどうされますか?」

「お願いします」


助かった。


砂糖を入れ、ミルクも入れてしっかりかき混ぜる。

そして、一口・・・。


にがっ!


「宜しければ」


と、スティックシュガーが2本追加された。


「あ、ありがとうございます・・・」



最終的にスティックシュガー3本にミルクが2つ。

これで俺の飲めるコーヒーの最低ラインが判明した。


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