ミルフィリアの新しい思い出
今回はミルフィリアが辿った、新しい時間の思い出話。
時を少し戻し、オルセウス達が暗躍している時、もう1人の当事者であるミルフィリアの話をしよう。
ミルフィリアが8歳になった頃、ゼウリスの病気が完治した後、快気祝いのお茶会で初めてゼウリスと顔を合わせた。
回復したとは言え、艶が戻らない淡い金髪や力の無い水色の瞳を見れば、病み上がりで体が辛いゼウリスに負担をかけない様、挨拶の後は他の令嬢達の様にまとわりつく事はしないで、ただ、心から回復を祝った。
その優しい心使いに、ゼウリスはミルフィリアに関心を持って、その後のお茶会では他の令嬢達よりも少しだけ親密にしていた。
その数年後、側妃エロイアの不貞が発覚した事故などで、ゼウリスの異母兄妹のアルレスとテーミスが辛い立場に立たされた時、ゼウリスより3つも年が下で、12歳になったばかりのミルフィリアは彼女達を庇った。
側妃と言う大きな後ろ盾が無くなった彼らと親しくしても、得にならないからと手のひらを返す者達に傷付いていたテーミスは、1つ上で、優しいミルフィリアを本当の姉の様に慕い、そんなミルフィリアをゼウリスは婚約者にしたい、とクロイヤス陛下に頼んだのだ。
「ミルフィリア様がお義姉様になって下さるなら、わたくしとても嬉しいわ」
ゼウリスの申し出に戸惑っているミルフィリアにテーミスが嬉しそうに抱き付いた。
「それに、アドニスが居るからトーラス家もミルフィリアの輿入れを悩むことも無いだろ」
8歳下の弟の名前を出され、ミルフィリアがフワッと笑った。
「まだ幼いのに、アドニスはトーラス家は僕が守るって言っていますの」
弟が可愛くて仕方ないのだろう。
ミルフィリアの笑顔にテーミスやゼウリスも和んだ笑みを浮かべた。
燃えるような恋ではないが、きっと穏やかで温かい夫婦になれる、そんな思いがゼウリスの胸を占めていた。
次はパパさん達の思惑かなぁ?