優れた者は報われる
アドンが爵位を継承しました。
「ありがとうございます。やはり嘘ばかり並べていた、と証明できました」
アドンがゆったりとミルフィリアに頭を下げ、自分の後ろにいるエリスを肩越しに睨んだ。
「その嘘吐きをさっさと捕らえ、牢に入れたまえ、アドン・フレイス伯爵」
ゼウリスの言葉に、会場の者達が息を呑んだ。
アドン・フレイス伯爵令息と呼ばれていた青年は既に爵位を継承し、伯爵家の当主になっていた。
「ゼウリス殿下。僕が荒事が嫌いなのご存知ですよね」
そう言いながら、エリスの右腕を掴むと背後に回り、膝裏を蹴飛ばしてあっという間に跪かせた。
「ぎゃ。なにすんのよ」
「易々と出来るだろ」
エリスの悲鳴を無視して壇上から声を掛けているのはアルレスだが、ゼウリスも笑って頷いていた。
「ぎゃあ、何すんのよ。断罪されて跪くのは悪役令嬢のアイツでしょ」
何があったのか理解できないエリスが動く左手でミルフィリアを指差した。
「アクヤク令嬢ねぇ。ならお前はヒロインか?」
アルレスが好戦的な目でエリスを睨む。
「そうよ。アタシはヒロインで、此処はアタシが幸せになる為の世界で、アタシの邪魔をする悪役令嬢なんか、さっさと処刑されなきゃいけないのよ」
そうエリスが叫ぶと
「衛兵、ヒロインを捕らえよ」
直ぐ様アルレスが衛兵を呼び、エリスは床に押さえ付けられた。
精神的苦痛か肉体的苦痛か?




