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最高の舞台へ

ゼウリスの色一択。うん、綺麗だろうな。

卒業式は滞り無く終わり、卒業生だけで無く、在校生もパーティーの衣装に着替える為、寮やタウンハウスに戻って行き、夕方王宮へと皆、集まってきた。


王宮は学園の卒業を祝う為いつもより明るく、煌びやかな装いに包まれ、卒業後、王宮で働く者は自分達の新たな世界に胸躍らせ、領地に戻る者達は一生の思い出となるパーティーに、はやる足を抑えようとしている。


卒業パーティーは王宮でもかなり大きめのホールで行われる。

王宮のパーティーに出ることが出来ない下位の貴族令嬢や令息達は圧倒され、声が出ない。


招待客達が会場を埋め尽くす頃


「ミルフィリアお義姉様」


王女らしい、豪華なドレスを身に纏ったテーミスが嬉しそうに、王族の控室に入ってきたミルフィリアを出迎える。


「テーミス様。今日も愛らしいですこと」


ミルフィリアの褒め言葉に頬を染め、ミルフィリアをじっくり見た。


アイスブルーのドレスは滑らかで光沢のある最高級品。

淡い金糸の刺繍が宝石を縫い付けていなくても眩いほどの輝きを放つ。


そして身に着けるアクセサリーはアクアマリンで統一されていた。


「ゼウリスお兄様の色、一択ですのね」

「うふふ。でも、ゼウリス様の色は私の大好きな色ですから、私嬉しくて」


微笑むミルフィリアの青紫の瞳は、宝石よりも輝いている。


「きっとゼウリスお兄様もミルフィリアお義姉様の色しか身に着けていないでしょうね」


テーミスが楽しげに笑うと、ゼウリスとアルレスが控室に現れた。

アルレスは白い軍服の様な正装で、ゼウリスは白を基調に銀糸の見事な刺繍がほどこされた夜会服にミルフィリアの瞳と同じ色の宝石、タンザナイトで出来たカフスなどが差し色になっていた。


「もうあの役立たずさんは会場に?」


テーミスがチラッとアルレスを見た。


「アドンが用意した物を自慢げに見せびらかせているようだ」


アルレスもニヤッと笑い、ゼウリスに頷いた。


「さて、そろそろ行くか」


満足そうに微笑み、ミルフィリアをエスコートして会場へ向かった。

最高の舞台に役者が揃います。

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