そして最後の日へと
あれでバグが無くなったと思うなよ、と叫びたかった。
「やっぱり、バグを叩いたらまともになった」
アルレス達の卒業間近にエリスはアドンから告白をされ、有頂天になっていた。
どうやらバグのせいで乱れたフラグがアドンルートになっていたから、アルレスだけで無く、ノドスやバーニスルート、逆ハールートにならなかったみたいだけど、今はアドンルートで我慢しよう、と。
エンディングを迎えたら、さっさとリセットして今度こそ逆ハールートを始めればいい。
そうエリスは考え、ルンルン気分でアドンから送られたドレスを胸に当て、部屋で踊っている。
だが、エリスは気が付いていない。
そのドレスやアクセサリーが何で出来ているかを。
その日は晴れやかな青空が広がる、最高の天気だった。
「お兄様、ご卒業おめでとうございます」
テーミスがにっこり笑いながら、制服姿のアルレスに挨拶をした。
「ありがとう」
赤い瞳を細め、優しく笑うアルレスはテーミスの自慢の兄。
「今日が最良の日になります事をお祈りしておりますわ」
「当然だ。最高の日にする」
カフスボタンを止め、今日が最後となる教室へとアルレスは向かった。
やっと幕が上がります。




